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2017/12/06

病気の原因は失恋!? 「ブロークンハート症候群」とは

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

病気の原因は失恋!? 「ブロークンハート症候群」とは

「失恋しちゃって、胸が苦しい…」
こうした言い回しは、一般的にはつらい気持ちを表すための比喩的表現として用いられます。
ところが、失恋などのストレスが原因で、本当に胸の痛みが生じて苦しくなる、「ブロークンハート症候群」という病気があるのです。
今回は、このブロークンハート症候群についてご説明いたしましょう。

原因は強いストレス

過度な身体的・精神的ストレスによって、心臓の筋肉である心筋に異常をきたすことを「ブロークンハート症候群」といいます。
ブロークンハート症候群を発症すると、心筋がうまく収縮できなくなって血液を送り出す機能が低下し、胸の痛みや呼吸困難、血圧の低下などの症状を引き起こします。
ブロークンハート症候群は、専門的には「たこつぼ型心筋症」と呼ばれています。
この名前は、発症時の心臓の形に由来しています。
ブロークンハート症候群になると、心尖部(しんせんぶ;心臓の尖端)がほとんど収縮しなくなり、心臓の先がバルーンのように膨らんだ状態になります。
一方で、心基部(心臓の上方)は強く収縮するため、心臓がたこつぼのような形にみえるからです。
発病の詳しいメカニズムはわかっていませんが、最近では、ストレスによる「カテコールアミン(副腎髄質ホルモンの総称)」の増加に関係しているのではないか、と考えられています。
また、患者層は閉経後の女性が多いことから、閉経後に分泌量が減少する女性ホルモン(とくにエストロゲン)が影響している可能性もあるとして、研究がすすめられています。

ハッピーな出来事も原因になる

日本でブロークンハート症候群の症例が初めて報告されたのは1990年といわれていますが、阪神大震災や新潟中越地震などの震災時に患者数が急増し、注目されました。
このときの患者も中年の女性に多かったという記録が残っています。
また、この症候群は、肉親や友人の死、口論、失恋などマイナスな出来事によるストレスが引き金となって発症するケースがほとんどですが、必ずしもそうとは限りません。
「European Heart Journal誌オンライン版2016年3月2日号」(※)によれば、心理的な出来事が発症の原因である485例のうち、結婚や孫の誕生など本来喜ばしいはずの出来事がきっかけのケースも20例(4.1%)あることがわかったのです。
つまり、なにがストレスになるかは人によって千差万別、幸せのなかにもストレスは存在する、ということなのでしょう。
※参考:
ケアネット「幸せでも“ブロークンハート症候群”発症の恐れ」

治療法と留意点

ブロークンハート症候群は、時間の経過とともに自然に治癒することも多いのですが、急性心不全や心破裂などを合併する可能性も含み、軽視はできません。
また、この症候群だけが原因で死亡することは稀ですが、持病などがあると死に至るケースもあり、こうしたケースでは症状に合わせた投薬治療などで対応します。
しかし、発症の詳細なメカニズムは明らかになっていませんから、いまだに根本的な治療法や予防は確立されていないのです。

こうした現状を踏まえ、わたしたちが気をつけるべき点は、ブロークンハート症候群の症状である胸の痛みや呼吸困難は、心筋梗塞などほかの病気でも起こりうるということ。
すなわち、症状が出ているのに我慢してしまうと、重大な病気の発見を遅らせてしまうかもしれない、ということです。
「最近、胸が痛む」などの症状を感じたときは、軽く考えずにまずは病院に行って医師に相談するようにしましょう。

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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