便秘・痔

2017/12/12

恥ずかしがらずに病院へ。「痔」をきちんと知ろう

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

恥ずかしがらずに病院へ。「痔」をきちんと知ろう

出産を機に痔になった、という女性の方も多いことでしょう。
恥ずかしいからと病院に行くのをためらって悪化させる場合もあります。生活習慣と密接にかかわっている排泄のこと、とても身近な問題ですね。
肛門の病気の総称を「痔」といい、大きくは「いぼ痔」「切れ痔」「痔ろう」の3つの種類に分けられます。
今回はこの痔について詳しく解説していきましょう。

いぼ痔(痔核)について

いぼ状に腫れができる状態をいいます。主に便秘になった排便時のいきみなどで、肛門部に負担がかかり、直腸肛門部の血液循環が悪くなって静脈叢(じょうみゃくそう)という毛細血管の集まっている部分がうっ血してしまい、腫れあがることで起こります。
また、いぼ痔ができる場所によって、その症状が違います。
肛門の歯状線(肛門と直腸との分かれ目)より上側にできるものを内痔核(ないじかく)、下側にできるものを外痔核(がいじかく)といいます。

内痔核の症状

内痔核とは、排便時の負担によって、歯状線より上に粘膜下の静脈叢がうっ血してできた、いぼ状の腫れをいいます。
この周囲の組織は痛みを感じる知覚神経が通っていないので、痛みを感じることは少なく、出血することで痔に気がつく場合が多いようです。排便時に便器が真っ赤になってびっくりすることがあります。
症状が進んでくると、炎症によって痛みを感じることが出てきます。
また、いぼが肛門の外に出てきて気がつきます。

外痔核の症状

外痔核は、排便時にかかる負荷によって、歯状線より下の皮膚部分の静脈叢がうっ血してできた、いぼ状の腫れをいいます。
肛門の外側の皮膚には知覚神経が通っているので、外痔核では痛みを感じます。
急性の炎症を起こして血栓などができれば、腫れて激しく痛みます。

切れ痔(裂肛)とについて

肛門の出入り口付近の皮膚が切れた状態で、「さけ痔」ともいわれます。
便秘で硬い便が通過する場合や、下痢などで強い勢いによって肛門が切れたり、肛門部の血液循環が悪くなることで起こります。肛門上皮には知覚神経が通っているので、切れ痔になると強い痛みがでます。
切れ痔は女性に多い傾向があります。それは、便秘になるのは女性が多いからです。
ダイエットなどで食事量を制限すると便が増えず、腸管が刺激されず、便秘になり易くなります。便秘になると便が硬くなり、無理に排便することで肛門付近を通過する際に、肛門上皮が裂け、切れ痔ができてしまいます。
便秘気味になると、切れ痔が慢性化してしまい、痛みのために排便を我慢することで便秘を引き起こし、便が硬くなるという悪循環に陥ります。このような悪循環が起こると、切れ痔はさらに悪化してしまい、治癒しにくくなる傾向にあります。

切れ痔の症状

排便時の強い痛みがまず挙げられます。出血もあります。
ただし、外痔核のような多量の出血ではありません。拭いたときにペーパーに付く程度です。
ですから、問題は痛みです。
肛門上皮を便が通過するたびに強い痛みを感じることになります。この痛みが内肛門括約筋をけいれんさせ、さらに痛みを助長することもあります。

痔ろう(穴痔)

肛門と直腸との境界の歯状線にはくぼみがあります。そのくぼみに大腸菌などの感染により炎症が起こり、化膿して膿がたまります。
これは、肛門周囲膿瘍と呼ばれます。この症状が繰り返されると、細菌の入り口と膿が皮膚を破って流れ出ることになり、トンネルのように1本に貫通してしまいます。これが痔ろうです。
痔ろうは強いストレスや下痢によって免疫力が低下することが原因となって起こります。男性に多い傾向です。

痔ろうの症状

肛門周囲の皮膚が腫れてきて痛みがでてきます。発熱することもあり、痔ろうになると膿が出てくるので、下着が汚れます。
治療には、手術が必要です。

痔の予防

これまでのさまざまな痔の種類で話から分かるように、痔の発症には便秘や下痢が深く関わっています。
ですから、痔を治すために薬を使うことも必要ですが、何より生活習慣を改善する必要があるのです。
以下のようなことがポイントです。

肛門のケア

排便の時間は3~5分を目安としてください。便が出ないときは無理せず切り上げましょう。
まだ便が残っているような気がして、無理に出してしまおうとしてはいけません。長い時間いきむと肛門に負担がかかってしまい、うっ血や出血につながります。
便意をもよおしたときに無理なくするような習慣が大事です。
また、便意があるのに我慢することを繰り返すと、便意を感じなくなってしまい、直腸に便が長くとどまり、水分が吸収されて、便が硬くなり、排泄時に肛門に負担をかけてしまいます。
便意は我慢せず、したくなったらすぐするようにしましょう。
排便後については、最近、温水便座を使うことが多くなってきました。便が出た後に温水で洗い流すことが習慣になっている人も多いでしょう。
肛門の便を落とすということでは、とても効果がありまた気分も良いものですが、洗いすぎによって皮膚炎になる人などがでてきています。
お尻の皮膚はデリケートです。
温水で洗い流した後は、紙で優しく拭き取ります。ゴシゴシ拭かず、紙を押し当てるようにして優しく拭き取りましょう。
そして、しっかり乾かします。押し当てるようにして水分を拭き取りましょう。

入浴

肛門部が温まることで、肛門のうっ血が改善されて痔の予防になります。また、肛門が清潔に保たれるので、入浴は大事な習慣です。
シャワーではなく、湯船にゆっくり入りましょう。半身浴でも構いません。

排便習慣

朝は食事を摂ることによって腸に刺激がいき、便意が起こりやすい時間帯です。
朝、余裕をもって起床して、朝食を摂り、排便をする習慣をつけましょう。

無理なダイエットはしない

極端に食事量を減らすようなダイエットは、便秘につながります。食事量が少ないと、便のかさが増えず、少量の便では便意が起こりません。
食物繊維をしっかりとって、栄養のバランスがとれた食事を心がけましょう。

同じ姿勢を続けない

3長時間飛行機に乗ったり、デスクにずっと座ったり、逆に仕事で立ち仕事を続けたりと、同じ姿勢でいることで肛門がうっ血してしまいます。
できるだけ、軽い体操などをして体を動かしましょう。

食生活

便秘予防には食物繊維が必要です。食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らむことで、便のかさを増して、軟らかさが出ます。
野菜やイモ類、海藻、キノコ類、ドライフルーツ、こんにゃくなどが食物繊維の多いものです。また、整腸作用のある乳酸菌、乳糖、オリゴ糖などを積極的に摂りましょう。

ここまで痔の種類や特徴、予防法について見てきました。
排便習慣でも触れましたが、朝食をきちんと食べることが便秘予防です。
起床後に水や牛乳を1杯飲むのも腸への刺激になります。
アルコールや香辛料は、便秘気味の場合は避けたほうが良いでしょう。肛門を刺激してうっ血の原因となる可能性があるためです。

【参考】
天藤製薬株式会社 『ボラギノール 基礎知識』

<執筆者プロフィール>
南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師・株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。タッチケアシニアトレーナー
<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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