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今さら聞けない「漢方薬」 ふつうの薬とは何が違う?

「漢方薬」と聞くと、どのようなイメージをお持ちでしょうか?
「ふつうの薬よりなんか良さそう」「副作用が少ない」「緩やかに効果がでる」などでしょうか。
しかし、私たちになじみ深い、一般的ないわゆる“ふつうの薬”との違いを説明できる方は、意外と少ないように思います。
そこで今回は、漢方薬の基礎知識についてご紹介していきたいと思います。

生薬:漢方薬は自然の素材でできている

西洋医学でいうところの「診断」は、東洋医学では「証:しょう」と呼びます。
診察を意味する「四診:ししん」を経て「証」が決まると処方されるのが漢方薬です。
西洋医学の薬は、有効成分だけを抽出、化学的に合成…など、いわばピンポイントで即効性のある効果を狙っています。
それに対して漢方薬は、自然由来の素材からつくられる「生薬:しょうやく」です。
全体のおよそ8割が植物系で、根・葉・茎・実・花・種・樹皮などが使われます。
残りの2割ほどは動物系と鉱物系で、皮や骨や角や貝、石や化石などが使われます。

剤型:薬の形

加熱・乾燥・砕く・挽く・蒸すなどの加工を施してできた自然由来の生薬は、素材を複数組み合せて漢方薬に仕立て上げられます。
そして、次のような薬の形状で提供されます。

湯剤(とうざい)
お湯で煎じる「せんじ薬」。オーダーメイド処方により、さじ加減が可能。

散剤(さんざい)
挽いて粉末にしたもの。
水に抽出されにくい成分や、湯剤では飛んでしまう芳香成分を含んでいる場合、また、ゆっくりと成分を吸収する必要があるときに用いられる。

丸剤(がんざい)
粉末をハチミツなどで丸めたもの。飲みやすく、保存・携行などに便利。

膏剤(こうざい)
ゴマ油やハチミツで溶いた塗り薬。

エキス製剤
湯剤をフリーズドライにしたもの。煎じる手間がなく携行や保存が可能。

漢方薬の特徴

漢方薬は「身体に対してどのような働きがるのか」という観点から、「四気五味あるいは五気七味」の薬効に分類されます。

■四気(五気)
・熱薬:からだを強く温めて新陳代謝を促す
・温薬:からだを温める
・涼薬:からだを冷やす
・寒薬:からだを強く冷やして、鎮静や消炎作用を与える
・平薬:熱でも寒でもないニュートラルなもの

■五味(七味)
・酸味:収縮作用、収斂(しゅうれん:下痢、炎症、潰瘍を治療する)
・苦味:鎮静作用、瀉下(しゃげ:下剤や便秘薬)
・鹹味(かんみ、しおからさ):やわらかくする、瀉下
・甘味:中和、緩急作用(けいれん性の痛みの緩和)
・辛味:発散、健胃作用
・淡味:湿をとる、利尿、鎮静
・渋味:収斂、かためる、止瀉作用(ししゃ:いわゆる下痢止め)

漢方薬の副作用について

「薬は毒」ともいわれます。
薬効を果たす「作用」に対し、治療目的に沿わない作用のなかでもとくに有害な作用が「副作用」です。
西洋医学に基づいた薬は、即効性を求めるあまり副作用が強くなることもあります。
一方漢方薬は、長期間の服用により体調・体質の改善や症状の緩和をはかるため、どちらかといえば副作用は少ないといわれています。
しかしやはり薬ですから、生薬固有の副作用や、不適切な証(漢方における診断)から生じる副作用、飲み合わせや食べ物との相互作用やアレルギー反応など、さまざまな副作用が指摘され、対策も研究されています。
たとえば、風邪のひき始めの鼻詰まりや寒気、発熱や頭痛などに効果がある「麻黄湯:まおうとう」は、交感神経を刺激して、高血圧、動悸、食欲低下、腹痛、下痢などの副作用が指摘されています。

元々体力のある人が内服する分にはよいのですが、胃腸の弱い人や高血圧や不整脈のある人、高齢者などには慎重に用いられます。
また、インターフェロン治療をしている肝臓病の患者が「小柴胡湯:しょうさいことう、食欲不振や胃炎、胃痛などに用いられる」を服用したところ、間質性肺炎を起こしたという症例があり、現在併用が禁忌となっています。
さらに、食物アレルギーをもつ小児に対してはアレルゲン物質が配合されていないことの確認、妊婦への禁忌や慎重投与なども指摘されています。

瞑幻(めいげん):一時的な悪化症状

漢方薬は一般的に初診時に処方されたものを2~4週間服用することが多いようです。
この間に、身体や病気への効果、病態の変化や副作用の有無を確認します。
よって、「漢方薬の効果が現れる目安は2週間」といわれています。
しかし、服用を始めてすぐに、下痢・嘔吐・めまい・吐き気・発疹・鼻出血・頭痛などの症状が現れる場合があります。
これは一時的な症状で、漢方薬が患者の身体の自己治癒能力を上げるためにでてくる現象と考えられています。
強まった抵抗力が病気に作用し始めた一時的な悪化現象として、「瞑幻」と呼ばれ副作用とは区別しています。
発汗剤、下剤、催吐剤などでよく見られるようです。
ただし、瞑幻と副作用の判別は専門医の判断によりますから、自己判断は禁物です。

視野を広げてみると、世界は「グローバル化」が進み、なにごとも一体となって問題に取り組む姿勢が求められています。
経済問題然り、テロや戦争、環境、資源や食料…そして、病気や健康も一体化が必要でしょう。
ご説明したとおり、“治し方”のスタンスは異なる西洋薬と漢方薬ですが、私たちも双方の正しい基本情報を押さえておくことが大切です。

【参考】
花輪壽彦/監修『漢方薬・生薬の教科書』(新星出版社 2015)

<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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2018/04/07

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この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部