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2018/04/26

沈黙の臓器・腎臓の状態は「クレアチニン」の値でわかる?

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

沈黙の臓器・腎臓の状態は「クレアチニン」の値でわかる?

毎年の健康診断、しっかり受けていますか?
ご存じのとおり、健診は現在の健康状態を測定・検査します。
結果が正常範囲でないと再検査や受診を促されます。
そうすると特定の病気の早期発見と治療が目的である「検診」を受けることになります。
「毎年しっかり受けている」という人も、その結果に記載されている項目に、馴染みがないものも多いのではないでしょうか。
今回は定期健診などで検査される値の一つ「クレアチニン」に注目してご説明したいと思います。

血液検査でわかる「クレアチニン」の値

クレアチニンは筋肉が運動をするために必要なエネルギー源で、アミノ酸の一種「クレアチンリン酸」が代謝された後にできる老廃物です。
老廃物ですから、前項でご説明したとおり、通常は腎臓の糸球体でろ過され尿として排出されます。
しかし、腎臓の働きが悪くなっていると尿中への排出がうまく行われず、血液中に増えていきます。
つまり、血液検査で「クレアチニンの量が多い」という結果が出たということは、腎臓の機能とりわけろ過能力の低下を示していると考えられます。
クレアチニンについてさらに詳しく見ていく前に、次の項では腎臓について確認していきましょう。

腎臓の機能

腎臓は胃の後ろ側、肝臓のすぐ下に左右一対あります。
タテヨコ11×5センチくらいの大きさで、重さはひとつ150gくらいです。
「そら豆」のような形をしています。
医学的には「泌尿器」に分類され、腎臓から始まって尿管を経て膀胱につながり、尿道へ続いていきます。
もっとも重要なことを意味する「肝心かなめ」は、「肝心」とも「肝腎」とも表されます。
これは、肝臓・心臓・腎臓が人体にとってとても重要な臓器だという意味に由来しています。
2つある腎臓は、移植などで一つなくなっても機能はしますが、重要な臓器であることに変わりはありません。
腎臓のおもな働きとして、身体の水分量を調節して脱水を防ぎ、老廃物を排出し、ナトリウムやカリウム、カルシウムやリンなど電解質のバランスを調整しています。
さらに、体液のpfバランスを調節する、ホルモンを分泌する、ビタミンDを活性化する、といった役割も担っています。
腎臓には毎分1リットルもの血液が腎動脈から入ってきて、「糸球体(しきゅうたい)=毛細血管が集まっているところ」でろ過され老廃物が取り除かれます。これを原尿といいます。
その後原尿は尿細管に流れていき、99%は体内に再吸収され血液に戻り、残りの1%が尿として排出されるのです。
ちなみに、原尿は一日に約150リットルも作られるといいます。

クレアチニンの基準値

それでは、クレアチニンはどれくらいの基準値なのでしょう。
男性と女性では筋肉量に差がありますから、クレアチニンの代謝量も違います。
血液中のクレアチニン量は、男性の方が女性よりも多い基準値が定められています。
また、クレアチニン量の増加によりA~Bのカテゴリが定められています。


・A(異常なし)
 男性0.50~1.00 mg/dl以下 / 女性0.40~0.70 mg/dl以下
・B(軽度異常)
 男性1.01~1.09mg/dl / 女性0.71~0.79 mg/dl
・C(要経過観察・生活改善)
 男性1.10~1.29 mg/d / 女性0.80~0.99 mg/dl
・D(要治療または要精密検査)
 男性1.30 mg/dl以上/ 女性1.00 mg/dl以上
(※mgはミリグラム、dlはデシリットル)

基準値はA判定で、これより高くなると、病気としては腎機能障害、急激な血流低下によるショック、腎不全などが疑われます。
病気以外では脱水状態、筋肉量の増加、薬の副作用などが想定されます。
反対に基準値よりとくに低いと、筋肉疾患や筋肉量の減少が疑われる場合もあります。

クレアチニンの異常からわかること

腎臓の機能が50%くらいまで低下しないとクレアチニンの値は高くならないといわれます。
腎臓が「沈黙の臓器」と呼ばれるのは、このように自覚症状が現れにくいためです。
ですから、血液検査の結果クレアチニンの値がB判定以下になっていたら、すぐにでも対処をした方がよいでしょう。
内科や泌尿器科、専門医を受診して診てもらうことをおすすめします。
そのうえで、C判定の人は生活習慣の改善を、D判定の人は精密検査を受けて必要なら治療を始める必要があります。

慢性腎臓病への進行

腎機能が低下すると次のような症状が起こってきます。


・食欲低下、だるさ、頭痛など
⇒ 老廃物が血液中に残留するため
・高血圧やむくみ
⇒ 電解質のバランスが崩れるため
・脱力や不整脈
⇒ カリウム濃度が上がるため
・貧血
⇒ 赤血球が十分に作り出せなくなるため
・骨がもろくなる
⇒ ビタミンD活性化が阻害されるため

このような状態が続くのが「慢性腎臓病(CKD)」と呼ばれる疾患です。
現在、患者数は増加していて約1,300万人いるといわれています。
また、慢性腎臓病は毛細血管の病気であるため生活習慣病をあわせ持つ人が多い、という点も懸念材料です。
合併症として脳卒中や狭心症、心筋梗塞といった心血管疾患を発症する人も多いのです。

最悪の場合腎不全にいたる慢性腎臓病の進行段階

クレアチンの値から計算される「eGFR(推算糸球体濾過量)」は、腎機能がどれくらい低下しているかを6段階で表し、慢性腎臓病の重症度の判断に使われる数値です。
次のような区分になっていて、ステージ2以上は危険信号です。
※%は腎臓の残っている機能を示します


・ステージ1
 90%以上、腎障害はあるが機能は正常
・ステージ2
 60~89%、腎障害があり軽度の低下
・ステージ3a
 45~59%、軽度から中程度の低下
・ステージ3b
 30~44%、中程度から高度の低下
・ステージ4
 15~29%、高度の低下
・ステージ5 :15%未満、腎不全

腎臓病は放置して重症化すると生命の危険にかかわります。
腎不全になると「人工透析」や「腎移植」といった高度な治療が必要となります。
また、腎機能は一度低下すると元に戻らないといわれています。
健康診断の結果でクレアチニンの値に異常があったら、軽視してはいけません。
早期の段階で生活習慣を改善するなど、重症化させないように対処することが重要です。

【参考】
・和田高士『最新改訂版 検査と数値を知る事典』(日本文芸社 2012年)
・和田高士『ちょっと心配な健康診断の数値がすぐにわかる本』(Gakken 2014年)

<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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