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2018/05/08

気づきにくく、誤解されやすい… 大人にも多い「ADHD」

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

気づきにくく、誤解されやすい… 大人にも多い「ADHD」

ADHD(注意欠如・多動性障害)は発達障害のひとつで、アスペルガー症候群や学習障害ともに、その多くは知的障害をともないません。
ADHDは大人の患者数も多いといわれながらも、近年まで病気や障害とは理解されませんでした。
「変な人」や「空気を読めない人」、「だらしない人」など未成熟な人という誤解を受けやすく、生きづらい思いをしていたでしょう。
この機会に、ADHDという障害について、ご一緒に理解を深めてみませんか。

発達障害の基準とADHDの特徴

生まれつきの脳機能のアンバランスな発達と、それによって生じる人とのコミュニケーションや社会生活の困難さが発達障害の基準となっています。
現在では知的障害とは区別されていて、「自閉スペクトラム症」「学習障害」「注意欠如・多動性障害」に大きく分類されています。
ADHDには3つの基本症状があります。
「不注意(注意欠如)」「多動性」「衝動性」です。
次項より順にみていきましょう。


・不注意(注意欠如)
・片づけが苦手、人の話を聞けない、忘れ物が多い
・今やらなければならないことを先延ばしにする
・好きなことにのめり込み何も耳に入らない
・人の話を最後まで聞けない
・時間を守ることができない
・退屈することが大の苦手

「不注意」はADHDの中核的症状だといわれます。
脳の軽い機能障害のために、目覚めていても覚醒レベルが低下してボンヤリすることがあります。
また、集中力が続かないため状況や上司などの指示が理解できません。
その結果、適切な行動がとれずトラブルにつながってしまいます。
さらに、自分に不要な情報をシャットアウトできないことから注意散漫で、「整理・整頓・管理」が不得意になりがちです。本人はどこから手をつけたらよいかがわかりません。

一方で、興味がある好きなことには極端にのめり込む「過集中」もみられ、夢中で時間を忘れることもよくあります。
そのため、約束の時間を守れなくなり、周囲からすると「どうでもよいことに囚われて、大切なことがおろそかになっている」ように見えます。
また、人間関係における「不注意」では、たとえば他人の話を最後まで聞けないことがよくあります。
相手がしゃべり始めた途端「わかった、こう言いたいんでしょう!」と早とちりしたり、話の腰を折って口を挟んだり、何も聞いていなかったりします。
こうして、何度も大事な用件を聞き間違えて周囲からひんしゅくを買うなど、周囲の評価を下げることになってしまうのです。
しかし、本人はふざけているつもりはなく、真剣にやってそうなるので、落ち込んで自分を責めたり、抑うつ状態になったりすることもあります。
不注意のために状況にマッチしていなくても、頭の中で本人は目まぐるしく想像したり考えを凝らしたりしています。ゆえに思考のない退屈は苦手です。
このようにADHDの「不注意」は集中力がないわけではなく、必要なとき、必要な場所に注意力をとどめることが出来ない、好きなことにしか集中できない、という特徴を持っています。


・多動性
・周囲から「うるさい」「しゃべりすぎ」と言われる
・落ち着いてゆっくりとした気分になれない
・暇だとイライラしている
・飽きっぽい
・貧乏ゆすり
・用もないのにウロウロしている
・ひんぱんに髪形を変える
・コロコロと趣味が変わる
・テレビのチャンネルをひんぱんに変える
・座っている時しょっちゅう姿勢を変える
・引っ越しが大好き
・転職をよくする
・つき合う相手が頻繁に変わる
・チェーンスモーカー

多動性は「早口、おしゃべり、飽きっぽい、ウロウロ、ソワソワ」といった落ち着きのなさ、考えなしに思いつきで行動するといった特徴があります。
とくに子どもの頃の症状が顕著で、モゾモゾと授業中に身体を動かしたり、カタカタと椅子の音をさせたり、席を立って歩き回ったりする言動が目立ちます。
大人になると目に見える多動性は影を潜めることもありますが、ゆったりくつろげない、落ち着きがない、せっかちで人の話を聞けない、などといった形をとって現れることがあります。


・衝動性
・キレやすい(感情をコントロールできない
・思いつきや行き当たりばったりで行動する
・順番が待てない
・興味を惹かれるとすぐに手を伸ばして触ったり、手に取ったりする
・ガマンができない
・理由もなく急にテンションが高くなってウキウキしたりする
・空気が読めない
・ギャンブルにのめり込みやすい
・DV(ドメスティックバイオレンス)や児童虐待に走ることがある
・衝動買いがおさまらないことがある
・浴びるほど酒を飲んでしまったりする
・運転が乱暴で交通事故が多い傾向がある
・その場の勢いで異性と関係を持ってしまいやすい

衝動性は生涯にわたって持続するADHDの症状といわれています。
うまく感情をコントロールできないことが大きな原因です。
そのため、後先考えずに思いつきで行動してしまい、トラブルや失敗をくり返す傾向があります。
深刻化すると社会的に不適切な行動に走る可能性もあり、事故、ギャンブルや暴力などにつながりかねません。
子どもの頃と比べ、多くの大人のADHDでは成長するにつれて分別をわきまえるようになるといわれています。
しかし、ふと気がゆるむ、アルコールが入る、などが引き金になり、衝動性の傾向が表面化する場合もあります。
また、ADHDには内向的・消極的な「不注意タイプ」と、外向的・積極的な「多動性・衝動性タイプ」、そして「混合タイプ」の3つのタイプがあります。
とくに目立ちにくい「不注意タイプ」は女性に多く、発見が遅れる悲劇が繰り返されてきました。

患者さんたちは社会生活や日常生活で様々な困難や悩みを抱えています。
まずは周囲の私たちがADHDの特性を理解し、正しい知識を得ることが大切です。

【参考】
星野仁彦『それって大人のADHDかもしれません』(アスコムBOOKS 2011年)

<執筆者プロフィール>
山本 恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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