乳がん

2018/08/07

自分の乳房はどのタイプ? “がん”が発見されにくい「高濃度乳房」

この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部

自分の乳房はどのタイプ? “がん”が発見されにくい「高濃度乳房」

日本人女性の11人に1人が一生のうちに患う可能性があると言われる「乳がん」。
乳がんで亡くなる女性の数は増加の一途をたどっています。
ですから定期的な検診はとても大切です。
しかし、検診を受けていてもがんが発見されにくい「高濃度乳房」という乳房のタイプがあることはご存知でしょうか。
今回はこの「高濃度乳房」と乳がんを見落とすリスクについて、ご説明したいと思います。

乳がんの基礎知識

はじめに、乳がんについて基本的なことを解説します。
乳がんとは乳房にできる悪性の腫瘍(しゅよう)を指します。
乳房は主に母乳を分泌する乳腺(にゅうせん)組織と、それを包む脂肪やじん帯、血管、神経などで構成されています。
乳腺組織は母乳がつくられる小葉(しょうよう)や、母乳が通る乳管(にゅうかん)などから成り立っていますが、乳がんの約9割は乳管で発生しています。
また、乳がんは早い段階でも小さな転移が進んでいる場合があります。
しこり部分を除去する手術や放射線療法のほか、進行具合によっては化学療法、ホルモン療法、分子標的薬治療が組み合わされて、がんが全身に散らばっている可能性を視野に入れた治療も行われます。

増える乳がんとその原因

乳がんの患者数は増加傾向にあります。
その背景には、欧米化にともなう食事を含む現代の生活習慣や、妊娠・出産・授乳といった女性のライフスタイルの変化、女性ホルモンのバランスなどが関わっていると考えられています。
また、乳がんを発症した人の約5〜10%は遺伝が関与していると考えられており、血縁者に乳がんを患っている方がいるという場合は、より注意を払うべきでしょう。
ただし、家系的に乳がんが多いからといって、必ず乳がんを発症するわけではありません。
大事なのは、若い世代でも乳がんになる可能性があると認識し、常に注意する気持ちを持つことです。

乳がんを早く発見するために…

乳がんの早期発見には、自己チェックがとても大切です。
乳がん患者のおよそ半数以上は、自分で症状に気づき乳がん発見に至ったと言われています。
月に1回は自分の乳房をチェックする習慣を持って、乳房のしこりや痛み、皮膚のひきつれなどに気がついたときには、速やかに受診して必ず相談をしましょう。
また、40歳以降は2年に一度の検診が推奨されています。
乳がん検診には、問診や医師が実際に目でみて触れて確認する「視触診」、「マンモグラフィ検査」、「超音波検査」などがあります。
なかでもマンモグラフィは乳がんの死亡率を減らす有効性が科学的に認められている検査です。
受診率の高い欧米では、乳がんの患者数が増えていても死亡数は減ってきています。
一方、日本人女性の乳がん検診受診率は低く、死亡率も増えているため、現在「ピンクリボン活動」に代表されるような啓蒙活動が盛んに行われています。

ただし!「マンモグラフィ検査」にも限界はある

しかしながら、マンモグラフィ検査に限界があることもわかってきています。
マンモグラフィ検査は、2枚の透明な板で上下左右から乳房をぎゅっと押さえてレントゲンを撮る検査法です。
この画像では、がんがある場合、白く映し出されます。
しかし、乳腺も同じように白く映ってしまうため、乳腺が特に発達している若い女性や、乳腺の密度が高い「高濃度乳房」の女性では、がんが発見されにくかったり、逆に実際は異常のない人が「がん」と診断されてしまったりするケースもあるのです。

「高濃度乳房」の判定と現状

乳房のタイプは4段階に分かれています。
乳腺密度が高い順に、「高濃度乳房」「不均一高濃度」「乳腺散在」「脂肪性」に分類されます。
そして、日本人のおよそ5〜8割は「高濃度乳房」か「不均一高濃度」に該当すると考えられています。
自分の乳房がどのタイプなのか、気になる女性は多いでしょう。
このような状況を受け厚生労働省は、2017年に「高濃度乳房」の判定を女性に通知する体制を整えると発表しています。
しかし、現時点で実施している自治体は少なく、対応も完全に定まっているわけではありません。
「高濃度乳房」はあくまでその人の乳房のタイプですが、乳がんのリスク因子を否定はできません。
なおかつ、一つの所見であって病気ということではないのです。
こうした点に運用の難しさがあるため、誤解を招かないように正しい認識を広めなければなりません。
マンモグラフィとあわせて超音波検査を行う、さらにはMRI検査やPET検査などを行うといった病院や検査機関もあります。
ただし、実施施設はごく限られており、検診目的になると自費なので高額になる可能性は否めません。
将来的には、その人の乳腺タイプや遺伝のリスクなど、個人にあったオーダーメイドな検診の普及が望まれます。
現段階で言えるのは、自分の身体をよくモニタリングして、気になる兆候を見逃さないよう心がける、ということでしょう。
【参考】日本経済新聞『乳がん見逃すリスク「高濃度乳房」知って 厚労省、通知体制を整備』(2017年7月3日記事)


<執筆者プロフィール>
井上 愛子(いのうえ・あいこ)
保健師・助産師・看護師。株式会社とらうべ社員、産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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