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2018/09/16

見逃すと危険! 夏の突然死「夏血栓」とは?

この記事の監修/執筆

ニュース編集部

見逃すと危険! 夏の突然死「夏血栓」とは?

今年の夏は猛暑と熱帯夜が続き、メディアには「危険な暑さ」という表現が頻繁に登場しました。
熱中症の危険性はよく知られるところですが、最近にわかにクローズアップされているのが「夏血栓」です。
まだまだ暑い日がつづくと言われています。
熱中症より怖い、とも喧伝される「夏血栓」はどのような症状なのでしょうか?

初期症状は熱中症に似ている「夏血栓」

熱中症とは「体温が上がり、体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能が働かくなったりして、体温の上昇やめまい、けいれん、頭痛などのさまざまな症状を起こす病気」(※)と定義されています。
これまで「暑い環境で生じる健康障害の総称」とも言われてきました。
軽度であれば皮膚血管の拡張で血圧が低下し、脳への血流が悪くなる「熱失神」、中度では大量の発汗により血液の塩分(ナトリウム)濃度が低下し、筋肉痛やけいれんを起こす「熱けいれん」になります。

さらに重症化すると、大量の発汗から脱水状態となり、全身の倦怠感、頭痛、おう吐、集中力や判断力の低下を引き起こす「熱疲労」や、体温上昇のために中枢機能に異常をきたす重症の「熱射病」へと症状が悪化していきます。
「夏血栓」の初期症状は、この熱中症に似ています。
熱中症の症状は体温調節が利かなくなることに起因しますが、夏血栓の場合は血液がドロドロ状態になることで起こります。
血栓とは血液の塊を指すのですが、猛暑の影響で血栓ができ、当初はめまいや倦怠感、ふらつき、動悸、息切れといった症状に見舞われます。
夏血栓は、暑さによる脱水状態から血液中の水分が減り赤血球などが詰まりやすくなる、また、皮膚血管の拡張により血圧が低下して血流が悪くなる、などに起因すると指摘されています。
※全日本病院協会『熱中症について

心筋梗塞や脳梗塞への発展:突然死の恐れも!

実は、夏血栓は進行すると心筋梗塞や脳梗塞につながる危険性もある恐ろしい症状です。
こうした最悪の結果に至る前兆として「一過性脳虚血発作(TIA:Transient Ischemic Attack )」の発症について注意を促す専門医もいます。
TIAは、文字通り一時的に脳の血流が悪くなって運動マヒなどの症状が現れ、数分や数十分などごく短時間、長くとも24時間以内にその症状はなくなります。
多くの場合は、血流が再び回復して脳の機能も元にもどるのですが、そのまま脳細胞が死んでしまうような事態になると「脳梗塞」を発症します。
ですから、症状を見過ごして放置すると、脳梗塞の発症リスクも高くなると言われています。
熱中症と思いこんで対処をして、TIAに適切に対応できず危険な状態に陥る可能性もありうるとのこと。
最悪のケースでは突然死を招きかねないTIAについて、専門医は警鐘を鳴らしています。

熱中症との違いは?

熱中症と似ていることから初期対応の遅れが懸念される「夏血栓」。
次のような点が熱中症と違いますので、ぜひ心に留めておきましょう。

熱が出ない
 熱中症では体温が上昇して体温調節が利かなくなります。
 その結果、高熱や脈が速くなるといった症状がでますが、夏血栓にこうした症状は見られません。

夏血栓に特徴的な「マヒ」
 TIAに特徴的な症状は、身体の左右どちらかに出るマヒ反応です。


 ・片側の手足に力が入らない
 ・顔も含めて半身が痺れている
 ・ろれつがまわらない、コトバが出ない
 ・急に片目が見えなくなる
 ・視野の半分が見えなくなる
などがよく起こる症状とされています。

ほかにも、水を口に含んでも飲み込めなくてこぼしてしまう、などもあるといいます。
熱中症で救急車による緊急搬送が要請されるのは、意識がはっきりしなくなってくる中程度以上です。
これに対して、夏血栓の場合は初期対応の速さが決定的で、専門医は発症から治療にかかるまでのデッドラインは4時間半と指摘しています。
ですから、夏血栓には一刻も早い救急要請が求められています。

夏血栓予防にも水分補給は重要!

熱中症、夏血栓ともに、予防として水分補給 が大変重要になります。
血液が脱水状態にならないように、のどが乾いたら我慢をせずこまめに少しずつ水分補給をしてください。
加えて、血栓を招かない食生活の改善も予防になります。
たとえば、青魚のEPA(エイコサペンタエン酸:青魚に多く含まれる必須脂肪酸の一種)やハイカカオのフラボノイド、納豆や玉ねぎ、ミルクといった、いわゆる血液をサラサラに保ってくれる食材を摂ることも推奨されています。
冬に多い血管が破れる「脳出血」とは対照的に、脳梗塞などの原因となる血栓は夏場に多いことがわかっています。
意外に思われるかもしれませんが、コレステロール値が高い、血液が濃いといった、いわゆる予備軍の人に限らず、健康な人でもかかりやすいと言われています。
熱中症と同等の注意を要する病気が、最近の猛暑によってまた一つ増えたと言えるのかもしれません。

<執筆者プロフィール>
藤尾 薫子(ふじお かおるこ)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。産業保健(働く人の健康管理)のベテラン

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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