中耳炎

薬剤師さんに聞く!子どもの中耳炎に効く漢方やツボって?

子どもがよくなる病気の一つ、中耳炎。プールや風邪を引くたびに中耳炎を繰り返し、耳鼻咽喉科通いを続けているお子さんも多いことでしょう。そこで今回は、中耳炎の症状を和らげ、中耳炎になりにくい体質改善に役立つ漢方とツボを、薬剤師で鍼灸師の髙橋さんに教えてもらいました。

■発見が遅れることもある中耳炎

中耳炎になると耳の痛みがあり、発熱を伴うこともありますが、赤ちゃんの場合は発見が遅れることもあります。耳だれが出ている、耳を普段以上によくいじっている、など普段と違う様子があれば、耳鼻咽喉科を受診しましょう。

また幼児でも、テレビの音を大きくしたり、名前を呼んでも気づかないなど、普段より聞こえの悪い様子が見られたら、滲出性(しんしゅつせい)中耳炎の可能性があります。耳の中に滲出液がたまる滲出性中耳炎は痛みや熱を伴わず、気づくのが遅れやすいので注意しましょう。

■中耳炎の予防と対処のポイント

中耳炎になったら基本は病院を受診して、抗生剤で原因となる細菌を退治する必要があります。中耳炎の予防や対処のため、日常生活で気をつけたいポイントは以下の通りです。

鼻水には注意する
鼻水には細菌やウイルスが多く含まれているため、鼻をすするのはよくありません。また鼻をかむときは、片方ずつかむようにしましょう。鼻の粘膜の通りが良くなるので、寝た姿勢より座ったり、立った姿勢の方が鼻づまりが楽になることもあります。
風邪にかからないようにする
風邪を引くと、中耳炎の症状が出やすくなります。普段から予防には気をつけて、風邪を引きにくい身体づくりに努めましょう。たとえかかっても、しっかりすぐに治療することが重要です。
食生活に気をつける
日ごろからアイスや冷たい飲み物のとりすぎは控え、発酵食品や根菜類などを良く噛んで食べるようにしましょう。

■オススメの漢方

中耳炎は、東洋医学の考え方では「水毒」といって身体の水分バランスが崩れた状態に原因があると考えます。そのため治療には、水の状態を整えて、免疫力をあげるような漢方薬を使います。中耳炎のタイプごとに、オススメの漢方をご紹介します。

急性中耳炎には:小青竜湯(しょうせいりゅうとう)


半夏(ハンゲ)

熱、痛みを発散させる作用がある「麻黄(マオウ)」と、身体の水分バランスを調整し、鼻水やアレルギーを改善する作用がある「半夏(ハンゲ)」などを配合。花粉症や、慢性鼻炎などに良くつかわれる薬です。胃腸がとても弱い場合には、「六君子湯(りっくんしとう)」などの胃腸薬を併用する場合もあります。

滲出性中耳炎には:小柴胡湯(しょうさいことう)


黄芩(オウゴン)

身体の水分バランスを調整する作用がある「半夏(ハンゲ)」と、抗炎症作用、解熱鎮痛作用がある「柴胡(サイコ)」、「黄芩(オウゴン)」などを配合。免疫力を高める作用もあるので、風邪をひきやすい体質の改善のために使用する場合もあります。中耳炎で、かつ、みぞおちの辺りが張っている場合に良く効きます。胃腸がとても弱い場合は「六君子湯(りっくんしとう)」などの胃腸薬を併用することもあります。滲出性中耳炎は急性中耳炎の後に移行して発症することもあるので、最初にしっかり治療しておくことが大切です。

中耳炎を繰り返す、なかなか治らない場合:黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)


黄耆(オウギ)

体力・気力を回復させ、新陳代謝を盛んにする漢方。膠飴(コウイ)という、米(特にもち米)、小麦、粟などの粉に麦芽を混ぜて糖化させ、煮詰めた水飴の成分が入っているので甘く飲みやすいのが特徴です。含まれている桂皮(ケイヒ:シナモンのこと)、甘草(カンゾウ)などが胃腸の働きを良くし、黄耆(オウギ)には抵抗力をつける働きがあります。ただし、シナモンアレルギーの人は服用の際に注意が必要です。

虚弱体質の改善などにも使われる薬で、偏食で食が細く、疲れやすい体質を改善して抵抗力をつけます。抵抗力をつけると、ぶり返しにくくなります。また、おなかの調子を整えて、水分バランスを良くする作用もあります。

■オススメのツボ

ツボを指圧するときは、入浴中かお風呂上りが効果的です。呼吸に合わせてゆっくりと、息を吐きながら押し、吸いながら離すのがコツ。カイロでツボを温める方法もあります。お灸は入浴の前後30分は皮膚がやけどしやすい状態になっているので避けてください。熱すぎるときは無理せず外してください。

>>ツボの指圧方法やお灸などの治療器具について、詳しくはこちらをご覧ください。

以下に紹介するツボは、急性、滲出性いずれの中耳炎にもよいツボです。それでは実際に、中耳炎のときによい4つのツボを刺激してみましょう。

完骨(かんこつ)


乳様突起(にゅうようとっき/耳の後ろにある少し膨らんでいる骨)から1cm下にいき、そこから頭の中心部に指1本分ずれた位置、へこんでいる部分にあるツボ。上に押し上げるように指圧すると良く、顔周りの血行を促進するので、耳の疾患や過剰皮脂などのトラブル改善を促します。

聴宮(ちょうきゅう)


耳の穴の前に出ている部分(耳珠:じじゅ)の前方で、顎を動かして少しへこむところにあるツボ。耳の穴をふさぐイメージで押します。耳周りの血流を良くして、症状改善をうながします。

腎兪(じんゆ)


腰に手を当て、親指があたるところにあるツボ。背骨に向けて押すと効果的です。腎の働きを促し、回復力を高めます。

関元(かんげん)


中耳炎のときは身体の抵抗力が弱まっているので、元気が出る「関元」を押してあげましょう。指で、痛がらない程度に押すくらいで大丈夫です。

中耳炎になると不快な症状に悩まされるだけでなく、学童期になれば勉強に集中できないなどの弊害も出てきます。病院でしっかり治療するのはもちろんですが、漢方やツボの力も借りることで症状を改善を促進させてあげましょう。

(※)腎とは……漢方医学でいう「腎」とは内分泌系、泌尿・生殖器系、免疫系、中枢神経系の機能の一部のこと。


2015/06/04

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この記事の監修/執筆

薬剤師髙橋 公子