体外受精の基礎

体外受精よりも人工授精を勧められるのは何故?

現在、不妊治療中で人工授精を数回行っている女性からの相談です。結果が伴わないことから体外受精を希望しましたが、医師からは人工授精を勧められてしまい、治療方針に対して疑問に感じています。専門家はどのように答えているでしょうか?

不妊治療についての相談:「早く体外受精を開始したいです」

妊活中です。最初の病院で人工授精を2回、不妊専門のクリニックへ転院後さらに2回の人工授精を行いました。4回から6回で結果がでなければ体外受精をと言われていましたが、夫が乏精子症のためクリニックの転院時に最初から体外受精を希望していることを先生にお伝えしました。それでもまだ若いからという理由で2回ほど人工授精を勧められたので挑戦したのですが結果はダメでした。
人工授精の際には夫の精子の状態を数値化した用紙をいただきましたが1回目は基準の半分。この地点で何度やっても結果は同じではないかと思ってはいたのですが、結局2回目へ。そしてやはり2回目も基準値の半分以下の数値でした。それなのにまだ人工授精をすすめてきたのでさすがにお断りしました。私は33歳ですが、今妊娠したとしても出産は34歳です。そして2人目希望の場合には確実に35歳オーパーでの不妊治療になると思います。それを考えたら早く体外受精を開始したかったのですがこの先生はなぜ人工授精をすすめたのでしょうか?やはり病院の利益のためですか?
夫は先天的に精巣の機能が弱くこれ以上精子が増えないこともお伝えした上でのことでした。(30代・女性)

一般的な不妊治療の考えに基づいて判断した可能性も

医師は、過去の不妊治療の内容や年齢、欠精子症の程度などによって治療方針を提案します。質問者さんの状況を一般的な考えに基づいて判断したところ、人工授精での妊娠の可能性があると判断したことから、人工授精を勧めたのではないかとの回答でした。

質問者さんの場合は、ダンナさんが乏精子症とのことですが乏精子症も軽度〜重度のものがありそれによって治療方針が異なります。重度の乏精子症ですと、人工授精を繰り返し行なってもほとんど妊娠の期待ができませんので最初から体外受精や顕微授精を提案されると思います。(看護師)
最初の病院・今の不妊専門のクリニックでも人工授精を提案されていることから軽度〜中等度の乏精子症と判断されていると思います。そのため、35歳未満と年齢が若いことと、人工授精を含む一般不妊治療で75%の人が妊娠するということを踏まえ医師は人工授精を勧めたのではないでしょうか。(看護師)

体外受精の相場は人工授精の約10倍

人工授精よりも体外受精の方が、相場が高いことから、病院の利益のためであったら体外受精を勧めてくるのではないかとの回答でした。

体外受精ですと、心身の負担だけでなく経済的な負担も大きくなります。そのことも考慮されての提案だったのかもしれないです。(看護師)
人工授精も体外受精も保険適応外です。人工授精の相場は3~5万、体外受精の相場は30~50万なので儲けだけを考えるならすぐに体外受精としてもいいと思われます。 (看護師)
医師が人工授精をすすめる理由は、人工授精は、半年続けて一区切りということもあるのではないでしょうか。希望の治療法ができない場合や医師の治療選択に納得できない場合は、話し合うことが必要です。ですが、何度か体外受精の希望を申し出ているようですので、転院もしくはセカンドオピニオンを聞くというのも一つです。転院も簡単ではありませんが、相談者様がおっしゃるように、治療の期間を考慮すると時間は大切に使うのが重要ですね。(看護師)

不妊治療中は、誰しもが早く結果を出したいと願うものです。そのため、焦りから医師の考えと相違が生じることは少なくはありません。医師にも医師なりの根拠に基づいた治療方針があるかもしれません。今一度、お互いに納得いくまで話し合うことをお勧めします。

参考文献:
成田収 著 不妊治療体外受精のすすめ 南山堂 出版 2015.11
辰巳賢一 著 最新 不妊治療がよくわかる本 日本文芸社 出版 2011.01
浅田義正/河合 蘭 不妊治療を考えたら読む本 講談社 出版 2016.07


2018/11/13

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