帝王切開の傷

自然分娩は帝王切開分娩より偉いの?

自然分娩と帝王切開に対する考え方や認識は、人それぞれ違うようです。子育て中の女性からの相談です。帝王切開分娩を経験しご苦労されたようですが、周りの方が帝王切開分娩を自然分娩より安易なものと捉えているため、ご理解が得られず悩まれていたようです。何が原因なのでしょうか。自然分娩と帝王切開分娩の違いについて、専門家からのアドバイスを集めました。

子育て中の女性からの相談:出産方法の「自然分娩と帝王切開」の違いについて

一度もメスを入れたことがなかったので、仕方がなかったとはいえ、傷口が大きく残っているのが、少し悲しいです。子どもに、「ここどうしたの?」「痛かった?」と時々聞くときは、「あなたはここから出てきたんだよ」と誇らしく思えますが、それ以外では、傷一つなかったのになあと。また自然分娩で出産した他人、家族も含めて、そちらの方が大変に決まっている、痛みも強かったに決まっていると決めつけられ、いばられるのには気分が悪いです。生んだ後、結構すぐに歩ける状態にある人と、1日以上安静にして、傷の痛みや、尿をとる管を外す痛みなどあり、どちらの分娩方法でも大変であるのに、どうして差別されるのでしょうか?(47歳・女性)

自然分娩と帝王切開分娩については人それぞれ認識が違う

新しい命の誕生は喜ばしいことです。自然分娩でも帝王切開分娩でも、出産はどちらも大変です。

帝王切開でも麻酔をしてお腹を切るわけですから、命がけです。自然分娩と変わらず大変であることに変わりはなく、差別するような人のいうことはあまり気にしないことをお勧めします。そのような方は帝王切開での分娩方法への理解が乏しいのでしょう。(看護師)
分娩方法としては自然分娩の人の方が多いために、そのようなことが言われてしまうのかもしれません。出産する時はみんな大変な思いをするのでつい「自分はこんなに大変だった」と言いたくなってしまうのです。しかし、自然分娩だろうと帝王切開だろうと関係ありません。(看護師)
質問者様のおっしゃる通り、帝王切開は手術後に痛みが強くあったり、思うように動けなかったりする期間が長くあり、とても大変なものです。帝王切開を経験された方や、医療関係者など知識のある人であれば、自然分娩と帝王切開のどちらもが立派な出産方法であるという認識を持っていますし、差別的な考えを持つことはありません。(看護師)
分娩方法にこだわりを持ったり優劣をつけたりするような考え方をする人がいるのも事実です。分娩方法以外にも母乳とミルクどちらで育てるかということ等をはじめとして、育児に関して様々な考え方があり、お母さん方の不安や悩みの種になっていることがあります。実際は、分娩や育児の最善の方法は、それぞれのお母さんや赤ちゃんの状況によって全く異なります。分娩や育児の方法について批判をしたり差別的な考えを持たれたりしている方は、正しい知識を持っておられない場合がほとんどです。(看護師)

出産で経験した努力や苦労はその人にしか分からない

命の誕生は母も子も命がけです。子どもにとっては、尊敬するママであることには変わりありません。

傷が大きく残ってしまうのは、女性として気になることではありますよね。でもその傷は質問者様が命をかけてお子様を出産された証でもありますので、おっしゃる通り誇らしく思っていただいていいと思います。また、傷が残っていて気になる場合は、傷をきれいにする方法もあります。形成外科で目立ちにくくする治療を受けることができます。傷跡によって治療方法はさまざまであり、完全になかったようには治せない場合もありますが、一度相談してみてはいかがでしょうか。(看護師)
どんなお産も尊いものです。どんなお産でもお母さんが頑張ってくれたから赤ちゃんは生まれてこられるのです。赤ちゃんのために身体にメスを入れたこと、自信を持ってください。痛かったこと、怖かったこと、手術後のことなどお子さまにたくさん伝えてあげてください。お母さんは辛い思いをたくさんしたけれど、それはあなたの命を守るため、そしてあなたに会うためだったのだと。周りの人の価値観よりもご自身とお子さまの価値観を大切になさってください。(看護師)
育児に関することなどでご家族と考え方が合わない場合、病院や学校など育児に関する機関へ行くときはなるべくご家族に同行してもらうと良いと思いますよ。専門職からの正しい知識をご家族で一緒に共有することで、考え方のずれがなくなり、質問者様だけが辛い思いをすることがなくなるのではないかと思います。周囲の声が気になることもあるかと思いますが、質問者様の分娩方法に対する考え方は間違っていないので、自信を持ってください。帝王切開の傷を誇らしいと思う気持ちを大切にしていただきたいと思います。(看護師)

一人ひとりの考え方が違うように、努力や苦労も人それぞれです。他の方に理解を求めるのは、なかなか難しいことと思います。出産についても同じように、自然分娩も帝王切開分娩も、経験した人にしか分からない苦労があることでしょう。経験者以外には、なかなか理解をされにくいものです。確かに理解されにくいことは悲しいことです。ですが、知識や経験がある方は理解しています。あまり考え込むより、お子様との時間を大切にすることの方が重要ではないでしょうか。


監修者:座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師・タッチケアトレーナー。病院産婦人科での勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・育児相談、産後ケアや赤ちゃんタッチをはじめ妊娠・育児講座などに定評があり、精力的に活動中。

2018/11/21

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