好き嫌い

小学生の子どもが好き嫌いで給食を食べない…原因とよい改善策は?

小学校に入る頃になると、身体や心の発達や活動量の増加に伴い、必要な食事量が増えます。学校給食は栄養バランスを考えた献立なので、食べてもらいたいという気持ちも大きいせいか、かつて小学校では嫌いなものも残さず全部食べるよう指導されていました。しかし、最近では無理強いせず、子どもの個人差に合わせる傾向にあり、家庭で「食べる力」を育むことがとても大切になっています。家庭でできる対応を考えてみましょう。

子どもが食べ物の好き嫌いをする理由

保育園や幼稚園では、給食、お弁当、おやつの有無など、保育環境によって食環境も異なります。これが小学校に入ると、多くの場合は給食になり、配膳や片付けなどにも関わるようになります。この時期に子どもが好き嫌いをする理由はさまざまです。その理由に関わらず食べることを無理強いしてしまうと、苦痛な気持ちがさらに苦手意識を助長してしまいます。では、子どもの好き嫌いにはどのような理由があるのでしょうか。

【理由①】苦手な食材・料理がある
「小学生なのにまだ好き嫌いがあって……」という悩みを聞くことがあります。栄養の面で心配もあるでしょう。しかし、小学生のお子さんでも好き嫌いは多くみられます。
3歳から中学生までの子を持つ親に対して行われた調査では、子どもに野菜の好き嫌いがあるという回答は、男女合わせた全体の6割にのぼりました。また、男子では小学校低学年が最も多く、7割近くの子どもに野菜の好き嫌いがあると報告されています。
その理由のひとつが味覚です。人間は本能的に苦味や酸味を「毒」や「腐敗物」と認識するために、これらの味を嫌います。また、ぐにゃっとした食感は「腐敗」を連想させるため、嫌われる傾向があります。ですから、ピーマン、人参、ナス、水菜、トマト、レバー、魚などは嫌われがちなのです。

【理由②】嫌な経験をした記憶
「ピーマンを食べたら苦かった」など食材の味に対する不快な記憶はもちろん、「牛乳を飲んでお腹を下して痛い思いをした」「嫌いなのに無理やり食べさせられた」などの苦痛な経験の記憶も、子どもの気持ちを複雑にします。

【理由③】小食
成長が著しい児童期は、年齢が上がるにつれて給食の食事量も増えます。その一方で、個性はもちろん、生活スタイルや男女差など、成長の個人差が大きくなる時期でもあり、ちょうどいい食事量の個人差も大きくなります。小食の子どもには、給食の一食分が多すぎて食べきることができないということもあるでしょう。そのために、好きなものから食べて、嫌いなものは食べずに残すということが当たり前になって偏食が進んでしまいます。

まずはその子なりの理由を理解し、それに応じて好き嫌いを減らす方法を考えることが大切です。

家庭で食べられるように練習する方法

好き嫌いを減らすために、家庭でできることを紹介します。

【対処①】調理法を工夫する
調理の仕方によって出来上がりの味は変わります。子どもが好む味にするためには、苦味や酸味を抑えて、甘味やうま味を活かすことが大事です。ただし、ただ単に苦い食べ物や酸っぱい食べ物を避けて甘い物を与えるのでは、好き嫌いを助長してしまいます。
苦味や酸味の強い野菜類や魚の甘味やうま味を引き出すためには、「出汁で煮る」「油で揚げる」という調理法がおすすめです。とくに芋類や根菜は、出汁で煮ると甘さが際立ちます。カラッと揚げると、食べやすい食感に加えて、油で甘みやコクがプラスされて子どもに好まれやすくなります。
また、歯の生え変わる時期には、噛みにくいことから食が進まないこともあります。このような時期には、やわらかくしたり、小さく切ったりと、食べやすい工夫をして配慮してあげましょう。

【対処②】見た目を楽しく演出する
子どもが嫌いなものを食べるきっかけは「好奇心」であることが多いので、食べたくなるような工夫をしてみましょう。


・家族が美味しそうに食べる
・野菜を型抜きでかわいい形にする
・好きなキャラクターの食器を使う
・お弁当箱に入れる
・キャンプやピクニックなど食べる環境が違うときに挑戦する

このように、子どもが食べてみようと思う楽しい演出をしてみましょう。

【対処③】親子で一緒に料理をする
出来上がった料理で好き嫌いがある場合でも、一緒に作ることで食べられるようになることがあります。素材を見て調理の過程を体験することや、自分で作った達成感によって食べる意欲が高まります。食材を残さず食べることの大切さや食文化の豊かさを知る「食育」の機会にもなります。

【対処④】少しずつでも食べさせる
苦手な食べ物は食べ続けることによって好きになるといわれています。少しずつでよいので、嫌いなものを食べ続ける環境作りをしましょう。栄養面で考えると、わからないようにして混ぜ込むのも食べさせる方法のひとつです。しかし、苦手なものを克服することは自信になり、食への興味や好き嫌いを減らすきっかけになります。調理法や環境を整えながら、苦手なものに触れる機会を作ってあげることも大切です。

【対処⑤】量を少なめに盛りつける
完食できたことは自信につながります。残すことが多い子どもには、少なめに盛りつけ、食べ終わったらおかわりをするようにしましょう。嫌いなものを食べたり、完食できたりしたらたくさん褒めてあげましょう。

前述の野菜の好き嫌いに関する調査の中で、子どもの好き嫌いについての相談相手を母親に訊いた結果、第一位は誰にも相談しないという回答で3割以上でした。同じ質問で「先生」に相談するという母親は0.2%と、とても少ない結果となっています。子どもが好き嫌いをする理由はさまざまで、それは普段の生活にあります。悩みを家庭だけで解決しようとせず、担任の先生に相談して給食の時間の様子を聞いたり、学校の栄養士さんにメニューやレシピを相談したりしてみましょう。いろいろな意見を聞きながら、試行錯誤していくとよいでしょう。

執筆者:山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・母子栄養指導士・サプリメントアドバイザー。株式会社 とらうべ 社員。妊婦や子育て世代へ向けた食の講習や、働く人への食生活指導を行う。一児の母。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

<参考>
カゴメ株式会社 「子どもの野菜の好き嫌いに関する調査報告書(2011年8月)」


2018/12/31

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ