双胎間輸血症候群

双子を妊娠…双胎間輸血症候群とは?

双子を妊娠した場合、それぞれの子どもが元気に生まれてきてくれるのか心配になりますね。妊娠中のトラブルも多いのではないでしょうか。そこで、専門家に相談してみました。

20代女性からの相談:「多胎妊娠で双胎間輸血症候群に…今後が心配」

一卵性の双子を妊娠しているのですが、どうやら、双胎間輸血症候群になってしまったようです。多胎妊娠にはリスクがすごくあると聞きました。この先不安です。どちらか亡くなるかもしれないと言われました。そして、片方に障害が残る可能性も言われました。実際、双胎間輸血症候群で無事に二人が生まれるのはどのくらいの確率なのでしょうか。また、障害が残る確率も知りたいです。周りに同じようになった人がいなくて相談もできません。毎日不安で眠れません。どこか相談を聞いてくれるような所があるのでしょうか。(20代・女性)

血流のバランスが崩れて双胎間輸血症候群が起こる

多胎妊娠の場合、共有する胎盤の血流のバランスが悪くなることで双胎間輸血症候群が起こることがあります。

一絨毛膜性双胎児の妊娠で心配される合併症の一つが「双胎間輸血症候群」です。胎盤を共有しているため、胎盤側で一部お互いの血管がつながっている(吻合血管)部分があり、双方の血流のバランスが崩れてしまうことで起こります。(看護師)
双胎間輸血症候群は一絨毛膜性双胎に起こる特殊な病気です。共有している胎盤でつながっている血管を通じて、お互いの血管が両方の胎児の間を行ったり来たり流れています。通常はバランスがとれていますがこのバランスが崩れた時に発症するのが双胎間輸血症候群です。(看護師)

少なくとも胎児への影響がある

血液を送る方(供血児)と血液を受ける方(受血児)にそれぞれ起こりやすい病気の特徴があります。双胎間輸血症候群の場合、少なくとも胎児への影響はあると考えておいた方が良いでしょう。

どちらかの血液が、もう一方の胎児へ流れ込むため、血液を送る方(供血児)は、低血圧・貧血・乏尿・腎不全・発育不全などを合併し、血液を受ける方(受血児)は、高血圧・多尿・心不全・胎児水腫などを合併し、それぞれ症状が重症化すると脳神経障害を起こしたり胎児死亡にいたったりする可能性があります。(看護師)
血液を余分にもらっている側の胎児は全身がむくみ、心不全や胎児水腫という状態になります。また、胎児の尿量が増えることにより羊水過多になります。そして、血液を送り出している胎児は発育不全で小さくなります。尿量が少なくなるため、腎不全や、羊水過少となります。どちらの胎児も状態が悪くなることが特徴なのです。(看護師)

治療によって生存率が上がる

治療法としては、胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術があります。治療をすることによって、生存率が上がるようです。

治療は、主に血液を受けている側の胎児(受血児)の羊水を吸引する羊水吸引や、吻合血管を遮断するレーザー手術(胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術)が行われます。現在の症状の進行状況と胎児の成長を観察しながら、主治医と相談して治療を進めて行くことが最優先となります。(看護師)
治療は在胎週数や重症度によりますが、未熟児治療が可能な週数であれば、分娩を早め、新生児治療を行います。(看護師)
新生児治療が困難な週数では、胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術が行われ、これによって生存率が上昇し、神経学的後遺症は減少しています。色々な研究データがありますが、300症例以上の治療経験がある東邦大学医療センター大森病院では、1人以上の赤ちゃんの生存率が約94%・2人の赤ちゃんの生存率が約75%・生存している赤ちゃんの後遺症の合併率が約5%という結果があります。(看護師)
さまざまな理由で胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術が行えない場合、受血児側で過剰な羊水を吸い出すという方法が行われます。日本胎児治療グループによると、重症度に差はあるものの、1人が助かる確率は約50~60%であり、そのうちの約4分の1に脳神経の後遺症を残すということです。(看護師)
胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術が可能な施設は日本では9施設です(2018年12月現在)。重症度の判断や治療を行っている病院での対応可能な範囲(新生児管理・胎児治療)に応じて、高次医療施設と連携を取りながら管理・治療することが重要になりますので、主治医や家族とよく相談しましょう。(看護師)

不安を感じたら相談してみよう

出産後の不安は、病院や自治体など専門機関に相談するようにしましょう。市町村の保健師や看護師ならば、話しやすいかもしれませんね。

出産後の不安については、病院に育児診療科を設けている場合もありますし、妊娠中に保健所の保健師から情報を得るのも良いでしょう。(看護師)
受診している産科の医師や助産師、看護師へ相談されるのはもちろん、市町村の保健師は地域の子育てをサポートしてくれますから、相談窓口として利用できると思います。動きにくくなれば家庭訪問もしてくれますので、頼ってみてください。地域で活動している多胎ママのサークルなども紹介してもらえるかもしれませんので、是非一度相談してみてください。(看護師)
体の状態を一番把握している受診先の病院の医師や助産師・看護師にぜひ相談してみましょう。医師に話しにくい場合は、助産師・看護師に声をかけてみましょう。(看護師)

多胎妊娠の場合、双胎間輸血症候群になる可能性があります。胎児への影響は重症度によって少なからずあるようですが、治療によって生存率が上がるそうです。今後の不安については、溜め込まずに医師や助産師・看護師に相談すると良いでしょう。

参考:
・大森病院 総合周産期母子医療センター「双胎間輸血症候群について
・日本胎児治療グループ「双胎間輸血症候群(TTTS)とは

監修者:青井 梨花(あおい・りか)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。病院や地域の保健センターでの勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・出産・育児相談や女性の身体の悩みに関する相談に親身に応じ、赤ちゃんタッチ講師も務める。一児の母。

2019/02/02

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