女性の病気

2015/06/04

遺伝性乳がんの予防的摘出手術は日本でも可能?

この記事の監修/執筆

Navigene編集部

遺伝性乳がんの予防的摘出手術は日本でも可能?

もし遺伝子検査で、遺伝性乳がんや卵巣がんの発症リスクが高いと判断されたとして、いったい日本で予防のための摘出手術はできるのでしょうか。

リスクが高い場合は切除によって予防

乳がんは、もともと欧米でも頻度が高い病気。米国の統計では、乳がん患者全体の5~10%が遺伝性のものだとされています。

欧米のデータでは、50歳までに乳がんを発症する遺伝性のリスクは、遺伝子変異をもたない場合の16~25倍とのこと。しかも若い年齢で発症しやすく、両乳房に発症しやすいという特徴があります。

欧米では遺伝性乳がんの研究を進め、予防的切除によってリスクを減らせるとの結論がすでにえられました。アメリカではそれらの根拠にもとづき、リスクが高いと判断された場合に切除手術が実施されています。

アメリカの予防的切除は民間の保険を適用

日本では予防的切除は保険は適応されませんが、アメリカではこの手術に保険が適応される可能性があります。アメリカでは日本と違い民間の医療保険が主流です。

遺伝性乳がん・遺伝性卵巣がんの検査および予防的切除によるリスク軽減効果を認め、保険適用とする企業が存在するというのは、大きなメリットですね。

アンジェリーナ・ジョリーが手術に踏み切ったきっかけにも、保険適応できたことがあったのかもしれません。

日本では、遺伝子検査がまず保険適用ではありません。費用は20万~30万円程度。保険適用外の手術となるといったいどれだけかかるでしょうか。

自分の遺伝情報を知り、先に病気のリスクを排除する、という考え自体が日本にはまだあまり馴染みがないのです。

日本のHBOC治療の最先端

日本ではまだ、遺伝性乳がん・卵巣がん(HBDC)の予防的切除が積極的にはおこなわれていません。

日本人を対象とした調査・研究が進んでおらず、日本人への予防効果をしめす研究データが不十分なためです。

これに対し、2014年より日本人の乳がん患者の情報を整理・研究する取り組みが始まっています。

近い将来、HBOCに対する予防的切除手術に日本の保険が適用される可能性がみえてきました。

HBOCに関する正しい知識の普及のため、医療関係者を対象とした教育セミナーや、乳がんおよび卵巣がんの患者を主な対象とした一般向けの公開講座などの啓発活動も実施されています。

日本での遺伝性乳がん・卵巣がんへの予防的切除手術。発症の高リスクを背負う方にとっては、保険適用での早期実現が望まれます。そのためには、日本における調査・研究の進展と広い理解を得られる社会的環境づくりが重要となります。


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