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ワインのちびちび飲みは要注意!「酸」で歯が溶ける『酸蝕歯』

歯の病気といえば虫歯があまりにも有名ですが、『酸蝕歯(さんしょくし)』という病気をご存知でしょうか?
聞きなれない酸蝕歯は、その名の通り「酸に蝕まれた状態の歯」です。 
虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶け出すことから始まる虫歯同様に、酸蝕歯も気をつけたい病気です。
原因や対策について解説していきます。

酸蝕歯とは

酸蝕歯は、酸性の食べ物や飲み物の影響で、歯が溶けてしまう病気です。
初期の段階では歯の表面が柔らかくなる程度ですが、進行すると歯の表面が溶けて、神経が走っている部位の「象牙質(ぞうげしつ)」がむき出しになってしまいます。
また、酸蝕歯の進行によって、歯が黄ばむ、透けて見える、つやがなくなる、しみる、被せ物や詰め物が合わなくなる、などの症状があらわれます。
虫歯は原因菌が糖などの栄養素から酸を作り出し、歯を溶かすことで起こります。
酸蝕歯も同様の過程をたどるのですが、特定の場所にできる虫歯とは違い、酸蝕歯は口の中全体で起こるため広範囲まで影響が及ぶという特徴があります。

歯が溶けるメカニズム

歯の表面はミネラル成分で構成される「エナメル質」で覆われ、その硬さが保たれています。
エナメル質は酸に弱いため、食事や細菌の影響で溶け出す現象「脱灰」が起こります。
このとき働くのが唾液です。
唾液は酸を中和してエナメル質を元に戻す「再石灰化」という働きをします。
私たちの歯は、通常は脱灰と再石灰化を繰り返すことで健康な状態を維持しています。
しかし、ダラダラと食べ飲みして口の中を長らく酸性の状態にしていたり、唾液の分泌が悪かったりすると、脱灰に対する再石灰化が追いつかなくなり、やがて歯が溶けてしまうのです。

口腔内が酸性に偏る原因

酸性度は「pH:ペーハー」によって示されます。
pH7が中和で、これより数値が小さければ酸性、大きければアルカリ性と表わされます。
通常、口腔内はpH6.5~7で、弱酸性から中性に保たれています。
これに対して、エナメル質の脱灰はpH5.4以下で起こるといわれています。
口腔内が酸性に偏る原因として、次のようなことが挙げられます。

強い酸性の食品をちょこちょこ摂る

 酸性の酸っぱい物を食べると唾液がたくさん出ます。
これは、口腔内を中和しようとする「再石灰化」の反応です。
しかし、酸性の強い食品をちょこちょこと摂り続けてしまうと再石灰化が追いつかなくなります。
とくに、次のような飲み物はちょこちょこ飲みやすいので注意が必要です。


 ・コーラ pH2.2
 ・100%オレンジジュース pH 3.4
 ・栄養ドリンク pH2.9
 ・黒酢 pH3.1
 ・スポーツドリンク pH 3.3
 ・ビールやワイン pH5.0以下

甘い飲み物を頻繁に飲むのはよくないと意識しそうですが、栄養ドリンクや黒酢などは健康志向から、スポーツドリンクは熱中症予防のためにこまめに飲むことが多いと思います。
いずれもちょこちょこ飲みに気をつけたい飲み物です。
また、お酒もちょこちょこと長時間飲み続けることが多いでしょう。
さらに、食べ物では、柑橘系のレモン、みかん、オレンジや酢を使ったドレッシングなども酸性が強い食品です。

唾液の分泌が悪い

 通常、人はつねに唾液を分泌している状態ですが、次のような条件によって分泌量は変化します。


 ・よく噛むことで分泌が増える
 ・酸っぱい物を食べると分泌が増える
 ・睡眠中は分泌が減る
 ・薬の副作用で分泌が減る
 ・過度なストレスで分泌が減る

つまり、噛まずに食べる、寝る前に飲食をする、過度なストレスがかかっているなどの生活習慣は、再石灰化を抑えることにつながってしまいます。

そのほかの要因

 逆流性食道炎、アルコール依存症、摂食障害など、嘔吐を繰り返すような症状が起こると、強い酸性の胃液が口腔内に流入して歯に悪影響を与えかねません。これらの疾患はきちんと治療することが重要です。

酸蝕歯を予防する5つの対策

日常でできる酸蝕歯への対策をご紹介しましょう。

(1) 毎食後に歯を磨く

口腔ケアの基本です。
ただし、食べた直後はエナメル質が柔らかい脱灰状態になっている可能性もあります。
再石灰化の目安は食後30分程なので、歯を磨くのは食事の30分くらい後が推奨されています。

(2) 飲み物も時間を決める

とくに酸性が強い飲み物は食事時間に飲むようにしましょう。
こまめな水分補給には、pH5.5以上のミネラルウォーター、お茶類、牛乳、豆乳などがおすすめです。
また、夏場のスポーツやレジャー、暑い環境における労働などでスポーツドリンクをこまめに摂取する場合は、半分に薄めて飲用するとよいでしょう。

(3) よく噛んで食べる

唾液の分泌を促すためには、よく噛んで食べることを心がけてください。
食後にガムを噛むのもおすすめです。
最近では虫歯になりにくいキシリトールが含まれるガムも多く出回っていますので、お口の健康習慣として効果が期待できます。

(4) 規則正しい生活習慣を心がける

「規則正しい生活リズムでバランスのよい食事を摂る」「適度に身体を動かしてリフレッシュする」「十分に睡眠をとる」こうした基本的な生活習慣は歯の健康にも大切です。

(5) 定期的にチェックする

虫歯も痛みもないからもう何年も歯医者に行っていない…そういう方が多いのではないでしょうか。
酸蝕歯をはじめ、虫歯や歯周病はじわじわと進行しますので、歯の定期検診が効果的です。
専門的なケアやブラッシングの指導などが受けられ、何か異常が見つかれば早期治療にもつながります。
食べること・話すことは生きる上で欠かせません。
長く健康を保つために、今できるお口によい習慣を取り入れていきましょう。

<執筆者プロフィール>
山本 ともよ(やまもと・ともよ)
管理栄養士・サプリメントアドバイザー・食生活アドバイザー。
株式会社 とらうべ 社員。企業で働く人の食と健康指導。糖尿病など疾病をもった人の食生活指導など活動中

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供

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2019/07/08

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この記事の監修/執筆

ニュース編集部