女性の病気

2015/06/19

「遺伝性乳がん卵巣がんの予防的切除」日本の現状は?

この記事の監修/執筆

Navigene編集部

「遺伝性乳がん卵巣がんの予防的切除」日本の現状は?

もしあなたがHBOCと診断された場合、乳房温存手術か全摘出手術か、どちらを選びますか?「乳房は残したい」と思うか、再発のリスクを避けるか、とても難しい選択です。

HBOCと診断される場合には2パターンがある

研究の結果、遺伝性乳がん卵巣がんの発症と関連している2種類の遺伝子が特定されました。またこの遺伝子のどちらかに生まれつき病的変異があると、発症のリスクが高いことも分かりました。

この変異が見つかった場合、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)と診断されます。

HBOCと診断されるケースには、1.未発症でHBOCと診断される場合、2.乳がん発症後、疾患の鑑別の結果HBOCと診断される場合、の2つのパターンが存在します。

HBOCと診断された場合、継続的な検診が必要となります。あらゆる選択肢を十分に検討しなければなりません。

日本における予防的切除の現状

日本でも、過去に予防的切除をおこなった事例はあるようです。しかし個人情報ということで公にはされず、詳細な内容までは知ることができません。

切除による予防効果をしめす日本人の研究データは乏しく、保険も適用されないことから、予防的切除は積極的にはおこなわれていません。

ただし日本の病院では、医師・看護師・専門のカウンセラーの協力により、きめ細やかな遺伝カウンセリングが実施されています。十分な検討を重ねた結果であれば、希望者に対してHBOCのリスク軽減のための乳房切除術、卵巣卵管切除術を実施する体制は整っているといえます。

発症してしまった場合の全摘出について

乳がん発症後にHBOCと診断された場合には、乳房温存か全摘出手術か、どちらかを選択することができます。日本人は体の一部を傷つけることに対してまだまだ抵抗感が強く、温存手術を選択する方が多いようです。

ただHBOCの場合、乳がんの再発リスクが高いことから、温存よりも全摘出のほうがよいという考えもあります。温存手術か全摘出手術かという選択は、HBOCの場合とても重要な判断となります。

幸いなことに、日本でも2013年ころから各再建の施術法が保険適用となり、乳房再建手術にも保険が効くようになりました。経済負担が軽減したことにより、乳がんを発症してしまったHBOC患者が、全摘出によるリスク軽減という選択肢を選びやすくなったということですね。

乳房再建手術に保険が適用されるようになったことは、HBOC患者にとっては、画期的な成果といえます。若い年齢で発症する率が高いHBOC。保険適用による経済的負担の軽減や社会的な理解がまだまだ必要です。


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