感染症

2015/07/17

子どもに流行するりんご病の原因、治療法や予防法とは?

この記事の監修/執筆

田村医院・院長田村 仁

子どもに流行するりんご病の原因、治療法や予防法とは?

ウィルス感染が原因のりんご病

りんご病は、ヒトパルボウィルスB19が原因の感染症です。ヒトパルボウィルスB19は、一度感染すると終生免疫を獲得するため、成人の約6割から7割がすでに免疫をもっているウィルスであることが分かっています。りんご病は、ヒトパルボウィルスB19の免疫をもたない子どもの間で流行する感染症です。潜伏期間は、10日から20日前後と長く、症状が表われてから初めてりんご病と診断されます。中には、発疹のでない不顕性感染(ふけんせいかんせん)の場合もあり、発症しても知らない間に治癒するケースも見られます。c

りんご病の特徴的な症状は、頬が赤くなった後に、手足に紅斑が現われることです。手足に現れる紅斑はレース状で、やがては全身に広がる症状が見られます。また、紅斑が出る潜伏期間の間に、微熱や倦怠感など風邪に似た症状を見せる特徴もあります。しかし、子どもの場合は症状が軽く、潜伏期間中は軽い風邪と診断されるケースがほとんどです。紅斑も一週間程度でいったん治まり、その後も表われたり、消えたりを繰り返しながら次第に治癒していきます。

成人が感染すると重症化の恐れも

子どもの間で流行するりんご病ですが、成人がりんご病に感染すると発熱や全身に及ぶ倦怠感に加えて関節痛などを引き起こし、子どもと比べると重症化する傾向が見られます。さらには、特徴的な発疹が消えるまで3週間以上の期間を要する場合もあります。りんご病は、10歳以下の子どもに多く発症することで知られていますが、成人の中にはヒトパルボウィルスB19の免疫をもたない場合、発症することがあることも覚えておきましょう。

成人の中でも、妊婦がりんご病に感染すると、胎児に悪影響をおよぼす危険性が高まることが懸念されます。稀ですが、流産や胎児貧血、胎児水腫など深刻な症状をひきおこすケースがあるのです。妊娠初期や中期は特に注意が必要です。妊娠中は、周囲でりんご病が流行していないか、家族に感染していないかをしっかりと把握することが必要と言えますね。さらに流行期には、家族以外の子どもとできるだけ接触しない生活を心がけたいものです。

りんご病の治療と予防は?

りんご病には、効果的な治療薬はありません。従って、治療には対症療法が行われます。子供の場合診断は、りんご病の特徴である発疹の状態をみるといった臨床症状から判断されます。大人の場合には、風疹などと見分けるのが困難であることがあり、そういった場合はウィルス学的な検査が行われます。。発疹が出てからは、すでにウィルスの排出は治まっており、安静にすることで快方に向かう場合がほとんどです。発疹が強くかゆみを伴う症状のときは、かゆみ止めを処方してもらうと良いでしょう。また、完全に症状が治まるまでは、日光など強い刺激を避けることも大切です。

りんご病は、潜伏期間中がもっとも感染力が強く、つばなどによる飛沫感染や肌に触れる接触感染によってすぐに伝染してしまいます。りんご病は、症状のほとんど出ていない。

あるいは潜伏期間中は、りんご病に感染しているということを本人も周囲も気が付けないため、爆発的な感染があっという間に感染が広がります。。そのため、集団生活をしている学校や幼稚園などで伝染を防ぐことは難しい感染症なのです。一方、特徴的な発疹が表われてからは、感染力はほとんどなく、隔離の必要もありません。

残念ながら有効的なワクチンがないりんご病は、うがいや手洗い、マスクの着用などの一般的に考えられる予防法しかありません。これらを徹底するのはもちろん、春から夏にかけての流行期には不要な外出を控え、子どもが多く集まる場所や人混みを避けることもりんご病の予防には効果的と言えます。万が一妊娠中にりんご病に感染したと疑われる湿疹などの症状が見られたら、血液検査でヒトパルボウィルスB19の抗体検査を受ける必要があります。胎児への影響を考えて、できるだけ初期の段階での診断が求められるのです。

子どもの間で感染が広がるりんご病ですが、症状も軽く重篤になることが少ない感染症です。しかし、りんご病によく似た症状を見せる溶連菌感染症や膠原病のSLEの場合も考えられるので、出来るだけ早く専門医の診断を受けることが大切です。りんご病とはどういった感染症なのか、症状や予防法についての正しい知識をもつことが重要と言えますね。


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