大動脈閉鎖不全症

2015/08/26

心不全になることもある「大動脈閉鎖不全症」、その原因と症状・対処法について

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心不全になることもある「大動脈閉鎖不全症」、その原因と症状・対処法について

大動脈の弁に異常があり、完全に閉じないことで起こる大動脈閉鎖不全症。先天的な異常だけでなく、合併症として発症することもあるため、どんな病気か知っておくとよいでしょう。ここでは大動脈閉鎖不全症の原因や症状などについて説明します。

大動脈閉鎖不全症って?

大動脈閉鎖不全症は、大動脈から心臓に向かって血液が逆流する病気です。通常は、左心室が収縮し終わってから大動脈へと血液が送り出され、大動脈弁が閉じ血液が全身へと流れます。しかし、大動脈弁の動きが不十分な場合、大動脈に送り出された血液は心臓が拡張する際に再び左心室に逆流してしまいます。すると、左心室が全身に一定の血液を送ろうと余分に働くようになり、負担がかかります。逆流量がさらに増えると、全身の血流量が減少し、心不全を招くケースもあります。

大動脈閉鎖不全症の原因

大動脈閉鎖不全症の原因は、通常3つある大動脈弁が1つ少ないなどの先天的な異常と、大動脈弁に欠損孔が接している心室中隔欠損、ファロー四微症、マルファン症候群などの合併です。先天性の大動脈弁が1つ少ない二尖弁は、100人に1人の割合です。また、川崎病や感染性心内膜炎、リウマチ熱といった全身疾患に併発するケースや、弁輪拡張症などによる弁や心臓の働きの低下によるケースもみられます。

大動脈閉鎖不全症の症状

大動脈閉鎖不全症の症状は、初期段階で現れることはほとんどありません、そのため、これまでと同じように日常生活を送っている人が多いです。
弁の働きが悪化してくるのに伴い、心臓への負担がかかって、胸痛が出てきます。また、酸素を含んだ血液が、全身に行き渡らなくなり、階段を急に昇降するなど突然運動を行うことで、呼吸困難や息切れなどの症状が現れます。さらに、夜間発作性呼吸困難によって、夜間の呼吸が苦しくなり、左側を下にして眠れなくなることも。急激な心不全を起こす可能性もあるため、注意が必要です。

大動脈閉鎖不全症の治療と予防

大動脈閉鎖不全症は、学校の健診などで偶然心雑音を指摘されて気付かれることが多いです。内科的治療としては、利尿薬、血管拡張薬の内服、水分制限などが行われます。内科的治療で自覚症状が軽減しない場合や心機能の低下がみられる場合には、手術が行われます。 人工弁置換術(ちかんじゅつ)と言って人工の弁と自分の大動脈弁を交換する手術が一般的ですが、人工弁は成長が期待できないことと弁の周りにできる血栓による弁の機能不全が生じることがあり、手術を繰り返さなければならない可能性があります。また抗凝固(こうぎょうこ)療法が必要になり、副作用の問題もあります。近年、自己の肺動脈弁を大動脈弁として用いる手術(ロス手術)も行われていますが、長期間の成績などまだ不明な点も残されています。

初期段階では症状がない場合が多いため、自覚症状が現れた頃には病状が進行していたということが多いです。したがって、定期的に経過観察を行い、血液の逆流の状態が悪化していないか、機能低下していないかを確認することが大切です。
大動脈閉鎖不全症の進行を予防するためには、大動脈や心臓に負担をかけないような生活が重要です。十分な睡眠とバランスのよい食生活を心掛けましょう。


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