溶連菌

2015/08/25

子どもの溶連菌感染症の特徴と症状、予防法は?

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子どもの溶連菌感染症の特徴と症状、予防法は?

幼児や低学年の児童に多く発症する溶連菌感染症、名前は耳にしたことはあるけれど、実際どんな病気か分からない方も多いでしょう。溶連菌感染症の特徴と症状、治療法について、また感染してしまったお子さんに対して家庭内でママができるケア法についてお伝えします。

溶連菌感染症は、溶連菌(A群β溶血性連鎖球菌)という細菌によって起こる感染症です。主にのどに感染後、咽頭炎や扁桃炎、猩紅熱などを引き起こします。幼児や低学年の児童に多く、特に4~7歳の子ども(※1)に最も多く発症します。

のちに述べる感染様式から判る通り集団生活(保育園、幼稚園、小学校など)を送るお子さんでの感染例が多く、発症のピークは「冬」と「春から夏にかけて」の年2回です。

「溶連菌」について、強調されるべきポイントは次の3つです。

・38~39度の発熱とのどの痛みなど一般的な喉風邪と似た症状から始まることが多い一方、嘔気/嘔吐といった腹部症状が現れることもあります。
・急性期の溶連菌を完治させたあと合併症予防の観点からは、10日間から2週間、抗生物質の服用が必要です。
・溶連菌における治療のポイントは急性期にあるのみならず、合併症を併発していないか経過を見ることも大切です。急性期の症状が治まったからと安心して油断することは大敵です。医師の診察をきちんと受けましょう。

どのようにして感染する?感染力、感染経路は?

●溶連菌の感染経路は?

・溶連菌感染症にかかった患者の咳や、くしゃみなどのしぶきに含まれる細菌を吸い込むことで感染する飛沫感染
・感染した人に直接触れたり、感染した人が触った物や感染した人により汚染された食品を介して細菌が口や鼻に付着することにより感染する接触感染

●とても強い溶連菌の感染力!兄弟への感染も注意!

溶連菌は発症し始めたばかりの急性期が最も感染力が強く、この時期の兄弟への感染率は25%(※2)との調査結果があります。
兄弟姉妹が溶連菌に関した場合は、家族もみんな手洗いうがいを徹底し溶連菌の症状が疑われる場合は早めに受診しましょう。
また人から人へ感染するため、家庭、学校、幼稚園、保育園などの集団の中での感染するケースが多いです。

溶連菌感染症の潜伏期間や症状は?

溶連菌感染症の潜伏期間は2~5日ほどです。その後、突然以下のような症状が現れます。38~39度の発熱とのどの強い痛み、嘔吐の症状の後には、体や手足にかゆみを伴う細かい赤い発疹があらわれます。また、舌にイチゴのようなブツブツができるイチゴ舌になります。抗生物質の服用で、大半の場合は、熱は数日で下がりますが、解熱して一週間ほど経ってから手足の皮膚がむけ、手のひらが赤くなることもあります。以上の経過は典型的な溶連菌感染症の経過であり、必ずしもすべてのお子さんに同様の症状が出現する訳ではありません。アトピー性皮膚炎の症状のあるお子さんは、溶連菌に感染することで皮膚症状が強くなることがあり、注意が必要です。

38~39度の発熱とのどの強い痛み、嘔吐の症状の後には、体や手足にかゆみを伴う細かい赤い発疹があらわれます。また、舌にイチゴのようなブツブツができるイチゴ舌になります。抗生剤の服用で、大半の場合は、熱は数日で下がりますが、解熱して一週間ほど経ってから手足の皮膚がむけ、手のひらが赤くなることもあります。特に、アトピー性皮膚炎の症状のあるお子さんは、溶連菌が病変部に入り込むと重症化する場合があり、注意が必要です。

溶連菌感染症の予防は?ママがお子さんのためにできるケアは?

溶連菌感染症の予防接種はありません。溶連菌は飛沫感染しますので手洗い・うがいを徹底して感染を予防することは、他の感染症の予防と同じです。飛沫感染の予防には、マスクも有効です。溶連菌付着した食品やコップから感染してしまうことがあるので、家族が溶連菌感染症にかかってしまった場合には、感染した家族と食器を共有しないように気をつけましょう。

●口の中の症状

溶連菌に感染症すると、扁桃腺が肥大し赤くなり白い膿が付着します。
しかし、この症状はほかの病原体でもよく見られるため溶連菌感染症特有のものではありません。
のどや口蓋垂(のどちんこ)の周りに紅斑(赤い斑点)や小出血斑が出ると、溶連菌感染症の疑いが強くなります。
また、先述したイチゴ舌という舌にイチゴのようなぶつぶつができるケースもあります。

●顔の皮膚への症状

顔に現れる症状として、鼻や額、頬に紅斑やニキビのような小さいぶつぶつができたり、カサカサして肌荒れのような症状が現れる場合があります。

●からだの皮膚変化

体にも顔同様に紅斑やぶつぶつとした丘疹ができたり、体全体が赤くなりカサカサと荒れることがあります。

●手や指、腕の皮膚変化

溶連菌感染症の症状の中で、最も特徴的に症状が現れるのが手や指、腕への症状です。
まず手の変化として、皮膚がカサカサ、ごわごわする、手のひらのしわに沿って皮が白くむけてくる(落屑)場合があります。また、指先の変化としては指の皮が白くむけたり、皮がむけてつるつるになったり、赤く変色する、指の間に紅斑ができる場合があります。

溶連菌感染症の診断・治療法

まずは年齢や発熱、周囲の流行状況やのどの状態、体、手足の発疹状態から溶連菌感染症を疑います。
見た目だけでもかなり特徴的な症状ですが、確定診断をするためには綿棒で喉の粘膜を取り5~10分程で判定できる検査キットで検査を行います。溶連菌感染症の治療法としては、抗生物質や熱やのどの痛みを緩和する薬の服用で治療していきます。合併症を予防するためにも一般的に10日程服用が必要とされており、指示通りしっかりと服用することが大切です。抗生物質による治療では、一般的にはペニシリン系の抗生物質を使用します。ペニシリンアレルギーがある場合はアレルギー反応を起こさない抗生物質が処方されます。溶連菌感染症の治療において強調されるべきポイントは、抗生物質を内服する理由は急性期症状を抑えるのみならずある程度合併症予防にもなる、と言う点です。抗生物質内服後症状は比較的速やかに改善することも多いのですが、症状が改善したからといって内服を中断することなく、必ず医師の指示通り飲みきることが大切です。

溶連菌感染症の予防は?ママがお子さんのためにできるケアは?

溶連菌感染症の予防接種はありません。溶連菌は飛沫感染しますので手洗い・うがいを徹底して感染を予防することは、他の感染症の予防と同じです。飛沫感染の予防には、マスクも有効です。溶連菌が付着した食品やコップから感染してしまうことがあるので、家族が溶連菌感染症にかかってしまった場合には、感染した家族と食器を共有しないように気をつけましょう。
ママがお子さんのために家庭でできること、注意をしたいこととして以下のようなものが挙げられます。

・特に発熱している際、脱水症状にならないようにお子さんに十分に水分を補給してあげましょう。
・のどの強い痛みがあることが多いので、おかゆ、うどん、豆腐、麩などお子さんが食べられるような、のどごしがよい、消化しやすい食べ  ものを用意してあげてください。食べづらそうでしたら、水分だけでもたっぷりと摂れるように心がけましょう。
・熱が下がってきたときは、お風呂に入っても大丈夫ですが、長湯にならないように。発疹が出ている間は、温めるとかゆみが強くなってし  まいますので、温めすぎないよう注意してください。
・肌を傷つけないように、爪を短めに切ってあげることが大切です。

溶連菌感染症は大人も感染する?子どもとの症状の違いは?

●判断が難しい大人への感染

溶連菌感染症は、一般的には水ぼうそうやおたふく風邪のような子どもがよくかかる病気の一つとされていますが、大人にも感染します。大人が感染した場合は子どもの感染とは異なり、特徴的な症状が少なく判断が難しいです。子どもが感染したので念のため一緒に検査を受けたら感染していたと判明する場合もあります。

合併症の有無に要注意!

溶連菌感染症は有効な抗生物質を飲むことで比較的早く症状が改善しますが、のちに合併症を引き起こす可能性もあるため油断は大敵です。
溶連菌が原因となる合併症には、猩紅熱、リウマチ熱、急性糸球体腎炎などがあります。治療が中途半端だと特に一部合併症を発症する恐れがあります。急性期の症状が改善した後にも合併症が出現する可能性はありますので、医師の指示に従い定期的に診察を受けましょう。抗生物質をしっかり飲む理由は、合併症、特にリウマチ熱を予防するためです。

溶連菌感染症が引き起こす合併症について

溶連菌感染症の怖い点として、合併症が挙げられます。溶連菌感染症の治療を途中でやめてしまうと、感染から数日から数ヶ月後に重い合併症を引き起こすことがあるため、溶連菌が治ったと思っていても注意が必要です。

溶連菌感染症が引き起こす可能性がある合併症

●粘膜・呼吸器系

咽頭炎
喉のなかでも咽頭部分に炎症がおこる病気です。代表的な症状としては、喉の痛みや咳、頭痛や喉の異物感、発熱、喉の渇き、全身の倦怠感などがあります。

扁桃炎
扁桃が病原体に感染することにより炎症を起こした状態で、白い膿栓が付着することもあります。症状としては高熱やのどの痛み、悪寒、倦怠感、頭痛、関節痛、リンパ節の腫れなどがあります。

中耳炎
鼻から入ってきた菌が鼓膜の奥に入ることにより、膿がたまる病気です。 膿が抜けきるまでには早くても1か月、膿の量によっては2~3か月かかることもあります。

副鼻腔炎
副鼻腔の粘膜に細菌が感染することにより炎症が起こり、鼻づまり、鼻水、咳、頭痛などの症状が出ます。

肺炎
肺に細菌が入り込むことで感染し、炎症を起こします。症状としては高熱、胸の痛み、悪寒、息切れ、咳、痰、痰を吐き出そうと咳を繰り返すことによる喉の炎症を起こす場合があります。

●皮膚、軟部組織系

伝染性膿痂疹(とびひ)
水ぶくれ(水疱)が全身に広がる様子が火事のように飛び火することに似ているため、飛び火(とびひ)とも言います。虫刺されやあせもなどを掻いてできた皮膚の傷に細菌が入り、発症します。皮膚に水ぶくれができてかゆみがあり、やがて膿を持ちます。破けると皮膚がめくれ、ただれてしまいます。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)
細菌感染によって皮膚の深いところから皮下脂肪にかけて起こる、化膿性感染症です。
広範囲にわたって赤く腫れ、熱感と痛みを伴います。

丹毒(たんどく)
蜂窩織炎より浅い真皮レベルでの感染症です。顔や四肢に出ることが多く、皮膚に正常部位との境界が明瞭なはっきりとした赤い腫れが現れ周囲に広がっていきます。赤い腫れは、熱感と痛みを伴います。

●その他

トキシックショック症候群(TSS)
急に発症する非伝染性の全身疾患で、症状としては低血圧、発疹、多臓器不全、初期の回復期にみられる表皮の剥脱です。

リウマチ熱
溶連菌に対する免疫が溶連菌と誤って自分の関節、心臓、脳、皮膚、皮下脂肪を攻撃することで起こる病気です。
主な症状としては痛みが移動しているかのように感じる関節炎や、弁膜症という後遺症が残る場合もある心炎、意識とは関係なく顔や手足が動いてしまう舞踏病、紅い線状の湿疹ができる輪状紅斑、円形の堅いしこりができる皮下結節があります。

急性糸球体腎炎
主に溶連菌などの細菌による扁桃や皮膚への感染・炎症がきっかけとなり、顔や目、足のむくみ、血尿や蛋白尿、尿量の低下、一過性の高血圧などの症状が現れます。

感染したら出席停止?出勤、登園、登校しても大丈夫?

溶連菌感染症は、学校保健安全法において第三種感染症に規定されており、それによると状況に応じて出席停止の措置が必要な疾患とされています。溶連菌感染症と診断され流行の恐れが強い場合、抗生物質を服用してから感染力がほぼなくなる24時間以上の経過を待つために受診した当日と翌日は登園、登校はできません。あくまでも周囲の流行状況を加味しつつ判断されるため、溶連菌と診断された場合はかかりつけ医及び学校の判断を仰ぎましょう。

溶連菌感染症のまとめ

溶連菌感染症は幼児や低学年の児童に多く、保育園や学校などの集団の中で感染することが多いです。手洗いうがい、マスクの着用などしっかりとした対策、予防をすれば感染を防ぐことが期待できます。兄弟間での感染も多いため特に兄弟がいる家庭での注意も必要です。大人への感染、また重大な合併症を引き起こす可能性もあります。また、再発や合併症への対策として安易に治ったと思うことなく、しっかりと薬を服用し安静にして完治させましょう。


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