一人歩き

赤ちゃんが一人歩きできるのはいつから?遅いのはなぜ?家庭でできる練習方法

育児をする中で赤ちゃんと経験する、たくさんの「はじめて」。その中でも「最初の一歩」はとくに感動が大きいものでしょう。一方で、なかなか歩きはじめないことに不安や焦りを感じてしまうママもいます。周りの子とつい比べてしまう前に、成長の目安を知っておきましょう。

赤ちゃんの身体の発達

まずは、生後間もない頃から、一人歩きを始めるまでの赤ちゃんの身体の発達をみてみましょう。
はじめは手足をバタバタしたり、顔を左右に動かすような動きだけだった赤ちゃんも、少しずつうつ伏せの状態で頭をあげられるようになったり、首がすわったりして、抱っこも安定してできるようになっていきます。また寝返りができるようになったり、お座りをしたりするという段階を経て身体の筋肉が少しずつ鍛えられ、ハイハイやつかまり立ちをするようになります。つかまり立ちができるようになると、ひょんなことから椅子や壁を伝って歩くことができ、最終的には何かにつかまることなく、一人で立ったり歩いたりできるようになります。
ただし、これはあくまでも発達の流れを大きくまとめたものです。母子手帳の乳児身体発育曲線などにも、首すわりや寝返りなどができる時期の目安が記載されていますが、その月齢には幅があり、できるようになる順番もこの通りではありません。例えば首がすわる前に寝返りをしたり、ハイハイをほとんどしないまま伝い歩きを始めたりする赤ちゃんもいます。
満1歳になると、生まれたときと比較して身長はおよそ1.5倍、体重はおよそ3倍となる赤ちゃん。それぞれの身体の成長度合いや性格、育つ環境など、いろいろな要因が関わりながら、一人ひとりの赤ちゃんは自分のペースで発達していきます。

一人歩きが遅いのはなぜ?

一般的な目安として、平均的な歩き始めの時期は1歳頃と言われますが、とくに早い赤ちゃんでは9〜10ヶ月頃から歩く場合もありますし、ゆっくりめの赤ちゃんは1歳半を過ぎてからという場合もあります。この時期は、早ければ良い、遅いと問題があるというわけではなく、どんなふうにステップを踏んでいくかはそれぞれの赤ちゃんの個性です。
一人歩きを始める時期に差がある理由としては、もともと赤ちゃんが持っている身体能力も多少は関わりますが、それよりも、一人ひとりの性格や環境が与える影響のほうが大きいと考えられます。動くことに積極的な赤ちゃんは歩き始めるのが早かったり、慎重派の赤ちゃんはゆっくりだったりすることもあります。また、早い時期から保育園に通っている、兄弟がいるなど、身近に上手に歩くお手本がいると、歩き始めるのが早い傾向がみられます。
もう1つ、2500g前後で生まれた赤ちゃんが、標準以上の体重でやや太り気味になった場合も、歩くのが遅くなることがあります。1歳頃はまだまだ手足が小さいために、その重い体重を支えられないためです。

おもちゃでつかまり立ちさせて歩かせるのはあり?

歩き始める時期には個人差があるとはいえ、早く歩く姿をみたいと願うママやパパもいるでしょう。きっかけ作りとして「おもちゃでつかまり立ちさせて歩かせるのはあり?」という疑問は多くの方が抱くものです。
たとえば押し車や歩行器などを使ってつかまり立ちをさせ、歩く練習をしてみるのは、悪いことではありません。ただし、あくまで遊びのひとつとして、赤ちゃんが楽しめる範囲で行うことが大切です。
気が乗らない赤ちゃんを無理やり歩かせようとすると転倒のリスクもあり、不安が強くなったり、歩くことが嫌になってしまったりする可能性があります。
おもちゃでつかまり立ちさせて歩かせる場合は、赤ちゃんの発達や運動への興味を見極めながら、必ず安全な場所で大人が付き添って行いましょう。

一人歩きさせるための練習方法

伝い歩きはするけれど一人で歩かない、という場合の練習方法としては、少し離れたところに赤ちゃんの興味があるものを置いてみたり、身近な人が楽しそうに歩く様子をみせたりしてみましょう。赤ちゃんが「歩いてみたい」という気持ちを引き出すことにつながります。
でも、焦って歩く練習をさせようとするのはご法度です。大人が焦ったり苛立ったりする様子を、赤ちゃんは敏感に感じとって萎縮してしまいます。赤ちゃんは、日常生活のさまざまな動きを通して、身体の筋肉やバランス感覚を鍛えています。その子の準備が整えば、ちょっとしたきっかけで自然と歩きだす日が来るので、大人はおおらかな気持ちで見守ってあげましょう。
1歳前後になり、周りの赤ちゃんが歩けるようになる中で、我が子がなかなか一人歩きをしないと気がかりになってしまうママもいるでしょう。発達障害など何か発育に問題があるのではないか、と考えてしまうこともあるかもしれません。
でも、少なくとも1歳半健診までは、ゆったりと様子をみていて問題ありません。健診の時点で伝い歩きができていれば、その後しばらくして歩き始める赤ちゃんも多くいます。歩き始めるのがゆっくりで長い期間ハイハイをしていると、全身運動になるため足腰や腕の筋力が備わります。
性格として慎重派の赤ちゃんもいるため、焦らずに見守り、気になる場合は健診などのタイミングで小児科の医師に相談してみましょう。

一人歩きし始めた赤ちゃんの行動範囲

いざ赤ちゃんが一人歩きをし始めると、喜ばしい反面、親の注意が必要なシーンも増えていきます。視界と行動範囲がぐんと広がった赤ちゃんは、興味が向くまま、好きなところへ移動しようと試みます。しかし、歩きはじめたばかりの赤ちゃんの歩行はとても不安定です。初めは赤ちゃんの横や後ろに立って背中を支えてあげるなどして、挑戦する気持ちの手助けをしてあげましょう。
家中を歩き回れるようになるため、テーブルの角にクッションを貼ったり、触ると危険なものは別の部屋や届かない場所にしまっておいたりするなど、安全対策を万全にしましょう。とくに、歩き始める時期が早いと姿勢が不安定になりやすく、家の環境がまだ整っていないと、転んで怪我につながるという恐れもあります。多くの時間を過ごすリビングだけでなく、キッチンやお風呂、洗面所、玄関、階段などにもいろいろな危険が隠れています。床に段差があって転びやすかったり、万が一転んだときに大きな怪我につながりやすそうな場所があったりしないか、早い段階で確認しておきましょう。
外で歩いて運動したり、自然に触れ合ったりして刺激を受ける機会を作ることも、赤ちゃんの成長には欠かせません。でも、家の外では自転車や車が行き来していたり、溝や赤ちゃんがすり抜けられる柵があったりするなど、思いがけない危険がより多く潜んでいます。興味のまま行動する赤ちゃんは、まだして良いこと悪いことを理解して動くことはできません。外で歩かせる場合は、公園など安全が確保できる場所からはじめ、絶対に目を離さないようにしましょう。また、靴選びは機能性を重視し、足の発達を妨げないものを選んであげることも大切です。

歩けるようになることは、赤ちゃんにとって、自分の世界が大きく広がる素晴らしい経験です。また、転んだり、尻もちをついたりしながらも、少しずつ歩けるようになっていく過程は、子育てをする家族にとってもかけがえのない思い出になることでしょう。焦りを抱えず、今しかない時期を十分に楽しみましょう。

執筆者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ 社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

2018/12/29

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ