腸重積

2015/09/28

早期発見が重要!子どもの「腸重積」の症状と対処法は?

この記事の監修/執筆

一般開業医(GP),製薬医学認定医,消化器内視鏡専門医加藤 淳(かとう じゅん)

早期発見が重要!子どもの「腸重積」の症状と対処法は?

腸重積は、腸の中に腸が重なってしまう病気のことです(下記の図参照)。つまり、腸の中に腸が押し込まれた状態になるのです。患者の80%~90%が生後3カ月から2歳までの幼児といわれています。また離乳食前後にその発症が多いとも言われています。性別では、男の子の方が女の子より2倍くらい多く発生するともいわれています。

腸重積を起こすと、食べた物が腸内に詰まり腸が締めつけられた状態に陥ります。長時間にわたって締めつけられた腸は、血液をスムーズに流すことができず、やがて壊死、出血、腹膜炎を引き起ことにもなります。詰まって固くなった食物が腸内を傷つけることもあります。時間経過に伴い、腸重積をおこした部位も含め腸全体に血行障害が生じ、腸管壊死を生じる結果となります。腸管壊死が生じると、腸の壁が破れ(腸穿孔)、腸の内容物が腹腔内に漏出し、結果、腹膜炎などの重篤な病気を併発する恐れも懸念されます。

腸重積の具体的な症状

・腹痛

腸重積を発症すると、周期的な腹痛を起こし 突然火がついたように泣き出します。号泣したかと思ったら泣き止む、といったように、腹痛に合わせて号泣と泣き止むのを繰り返すのが特徴です。また通常の風邪あるいは感染性の下痢症状と異なりぐったりしてくるいわゆる”重篤感”をママは感じるかもしれません。

・嘔吐

激しく泣いて嘔吐する、顔面が蒼白であるなど重症感のある嘔吐を繰り返す場合 は注意が必要です。普段の嘔吐と様子が異なる場合には、腸重積などの重篤な症状を起こしていることがあります。

・血便

症状が進行すると、血便が出るようになります。血便は、最初のうちは粘液が混じった淡い状態ですが、放っておくとイチゴのような真っ赤な血便にかわります。鮮やかな血便は、重症化のサインともいえます。腸重積が重症化する前に、子どもの異変に気づいたらすぐに専門の医療機関を受診しましょう。加えて、脱水症状をおこしていることも考えられるので、こまめな水分を与えることも忘れないようにしてください。

・その他の症状

手でおへそのやや右上を触れると、腸重積を起こしている部分がしこりとして確認できます。しこり部分を強く触れると、痛みで激しく泣きます。

腸重積の原因

原因ははっきりとは断定できませんが、一般的にはウィルスに感染したことにより腸の中のリンパ節が腫れる、リンパ組織が増殖するなどして腸重積が起こると考えられています。胃腸炎を引き起こすウィルスに感染した際、夜間に腹痛や嘔吐が激しくなりぐったりとする場合や、激しく泣く時には注意が必要です。また、ロタウィルスワクチンを接種後、一週間以内に腸重積を発症する場合があることも確認されています。ワクチンの接種後は、腸重積の症状が見られないかを注意深く見守りましょう。
ウィルス感染が原因ではない場合は、小腸にポリープがある、膵臓組織が小腸に迷い込んでいる、メッケル憩室(生まれつき腸管の一部が袋状に残っている)が考えられます。

子どもの腸重積を疑うポイント

・子どもの様子

腸重積の代表的な症状として挙げられるのは、急に泣き出したり、泣きやんだりを周期的に繰り返す特徴があることです。泣き方も突然で、火がついたように泣く場合が多いようです。激しい腹痛や嘔吐を伴い、幼児の場合はお腹を抑えながら痛みを訴えます。約15分おき位の短い周期で症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、次第に顔色が蒼白にかわり、ぐったりとした状態になります。

また、お腹の右上に細長くてソーセージ様の固いしこりが見られる場合があります。そっと触ると、極度に痛がったり泣きだす場合は、腸重積の疑いが強いといえます。お腹の異常に早く気付くためには、普段から子どもの状態をしっかりと確かめておくことが大切ですね。

・血便の見極め方

血便は、腸重積発症後時間が経過していない場合には、見られないこともあります。おむつに出ているのは通常の便でも、医療機関で浣腸を行った時に血便が出ることもあります。先述したように、便がイチゴのように真っ赤に変化するのは症状が悪化してからなので、血便が見られない時も周期的な号泣や嘔吐の症状がある場合には注意しましょう。

腸重積かも…と思ったら

・腸重積が疑われたらすぐに受診

腸重積は、適切な時期に処置を行わないと重篤な状態になる可能性の高い危険な病気です。腸の壊死から腹膜炎に至った場合は、命に関わります。
腸重積が疑われる症状が見られた場合は、なるべく早く医療機関を受診しましょう。

・子どもの腸重積は何科を受診する?

一般的には小児科を受診します。休日などで小児科を受診できない場合は、地域の休日医療センターに行きましょう。小児担当医が不在のこともありますが、必要な場合には処置を行うことができる医療施設を紹介してくれます。

腸重積の病院での検査・治療方法

・腸重積の検査と診断

腸重積の検査方法には、「便の確認」「触診」「超音波検査」「X線撮影」などがあります。 便が出ていない場合には、浣腸をして便を出し検査を行います。 また、腹部の触診では陥入部がしこりとなって触れられるため、腹部を直接手で触ることにより腸重積を起こしている部分を判断できます。 さらに、超音波やX線といった映像による診断も有効です。

・腸重積の治療

腸重積は、いったん発症すると進行が早い病気として知られています。わずか2~3日で血便が出るまで重症化してしまうので注意が必要です。しかし、発症から24時間以内なら、高圧浣腸などの治療方法で症状を劇的に改善することができるそうです。

高圧浣腸とは、水圧や空気圧を利用して腸内を洗浄する方法のことで、重なってしまった腸を元に戻す効果が期待できます。発症から時間がたち、高圧浣腸で腸が元にもどらない場合は、入院して開腹手術をおこないます。入院治療は、幼い子どもにとって肉体的負担はもちろん精神的負担が大きいものです。そうならないためには、ママとして子どもの腸重積にいち早く気付くことが求められます。

腸重積の再発について

腸重積を起こした場合、約10%のお子さんに再発が見られます。そのため、処置後に絶食と入院を勧められます。
また、一度腸重積を起こし処置を受けた後に、嘔吐や周期的な腹痛を起こした場合には注意が必要です。再発に気づけるように、腸重積を起こした際の症状をよく覚えておきましょう。
処置から数カ月経過した後に再発することもあるので、同様の症状が現れたら腸重積にかかったことがある旨を伝えて受診しましょう。あらかじめ腸重積を経験したことがわかっていれば、早期の診断の役に立ちます。

【まとめ】

腸重積は、早期に適切な治療を受ければ完治することができる病気です。しかし一方では、腸重積の治療後に約10%が再発していることがわかっています。突然のように発症する腸重積は、決して人ごとではありません。特に、2歳以下の幼い子ども、離乳食前後の子どもを持つママにとって充分注意したい病気であることを知っておきましょう。子どもの日ごろの健康状態や様子を常に見守ることが、腸重積の早期発見と早期治療につながるのではないでしょうか。


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