統合失調症

2015/10/20

子どもにも起こる「統合失調症」の診断方法や治療法は?

この記事の監修/執筆

専門家監修記事

子どもにも起こる「統合失調症」の診断方法や治療法は?

統合失調症は、さまざまな感情や思考などをとりまとめるための脳内機能に何らかのトラブルが生じる精神疾患です。10代後半から20代にかけてが発症のピークと言われていますが、まれに10歳前後の子どもにも発症する場合があります。ここでは子どもの統合失調症について解説します

統合失調症とはどのような病気?

統合失調症は、以前は「精神分裂病」という病名で呼ばれていましたが、言葉のもつ響きの悪さや分裂という表現の見直しから2002年に統合失調症に改められました。脳の中で、ものごとを見たり聞いたりする「知覚」や、考えたり判断する「思考」の部分がうまくコントロールされないために、人との交流や社会的生活にさまざまな支障が出てしまう精神疾患です。

実際にはないものをあるかのように知覚する「幻覚」や、現実にはおこっていないことを信じ込む「妄想」の症状を示すのが大きな特徴で、そのほかには、話に脈絡がなかったり、支離滅裂な発言をする「思考の混乱」が見られます。統合失調症は、100人に1人はかかるといってもよいほど、身近にある病気と言われています。発症の男女比率に大きな差がありませんが、発症時期の平均年齢は男性のほうが若干低い傾向が見られます。

全体的には10代後半から20代が発症のピークとなっていますが、まれに10歳前後の子どもにも発症がみられます。しかし、子どもの場合、妄想や幻覚を口にしても、子どもにはよくあることだと軽く見過ごされ、初期の段階で発見することは困難な一面もあるようです。早期発見、早期治療、そして家族の協力のもとに再発予防の治療を継続していくことが大切な疾患です。

子どもの統合失調症はどのような症状が出るの?

小児の統合失調症は、急に発症するのではなく、不登校や、問題行動、チックなどの症状が出るようになってから、ある程度の期間をかけて徐々に発症することが多いと言われています。成人と同じように幻覚や妄想といった症状が生じやすく、特に、周囲から悪口を言われているなどのように、他人によって自分が傷つけられるというような恐怖の気持ちを抱き、そこから引きこもりへとつながるケースも多く見られます。

また、感情に訴えかけるような場面に遭遇しても、楽しくて笑う、悲しくて泣くなどの感情表現が見られず、表情に変化がなくなる傾向がある反面、ほんの小さなことにカンシャクを起こしたり、乱暴な行動に出ることもよくあることです。妄想や幻覚、幻聴などの症状を「陽性症状」、感情の欠乏や意欲の低下などを「陰性症状」と呼びます。

子どもの場合、大人ほど言葉を使って自分の状況を表現することができないため、奇妙な遊びや不可解な行動、突発的な行動という形で症状が現れることも少なくありません。統合失調症は、発症の年齢が低いほど精神面での発達に支障をきたし、のちに重症につながりやすいとされていますので、子どもの異変や異常な行動に気づいたときは、できるだけ早く小児専門の精神科に相談することが大切です。

子どもの統合失調症の診断と治療方法とは?

統合失調症がなぜ発症するのかについては、まだ詳しくはわかっていません。現時点では、遺伝や脳トラブル、本人の性格といった「脆弱さ」の面に、転居や親の離婚、入学・卒業というような「ストレス環境」が複雑に絡み合い、発症のきっかけとなるのではないかと考えられています。したがって、子どもの発症に関して、お母さんが自分の子育てのしかたを自責するような必要はまったくありません。

小児の統合失調症の診断は、自閉症や恐怖症、うつ病など他の精神疾患との区別が困難な面もあるため、長い期間をかけての経過観察ののち慎重に診断されます。統合失調症であるとの診断が下ると、抗精神病薬を服用し、幻覚や妄想などをコントロールする治療が基本となります。症状の回復が感じられるようになっても、治療を中断してしまうと再発してさらに悪化しやすい傾向があるため、小児の精神治療に精通した専門医のもとで、家族とともにリハビリテーションやカウンセリングなどさまざまな支援を受けながら、焦らずに治療をすすめることが望まれます。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加