腹痛

2015/10/08

子どもに起こりやすい腹痛とは?主な原因と対処法について

この記事の監修/執筆

一般開業医(GP),製薬医学認定医,消化器内視鏡専門医加藤 淳(かとう じゅん)

子どもに起こりやすい腹痛とは?主な原因と対処法について

子どもは内臓の機能が未熟なため、腹痛が起こりやすいのです。また大人と違って、子どもは症状を言葉で上手に説明することができません。子どものお腹が痛いとき、治療に緊急を要する病気を引き起こしていないか心配ですね。今回は子どもの腹痛の主な原因を取り上げ、その症状と対処法について解説いたします。

子どもの腹痛の特徴

腹痛の訴えは、年齢によってさまざまです。言葉のまだでない赤ちゃんは泣くことでしか訴えることができません。また、小さな子どもの場合は「お腹が痛い」と訴えていても、他のところが痛い場合や、つまらない、寂しいなどの感情を「お腹が痛い」と表現していることもあります。小学校中高年になると、ストレスが腹痛として現れることもあります。

なかにはお腹が痛いのに言葉で訴えることができず、お腹をくの字に曲げて膝を抱えている場合や、座り込んだり大人の側から離れないこともあります。腹痛のサインを見逃さないようにすることも大切です。

子どもに多い腹痛とは

子どもの腹痛の原因はさまざまなのですが、急な腹痛で最も多い原因は、子どもの場合「便秘」「腸のガスだまり」が考えられます。そのほかには「急性胃腸炎」「風邪」「心因性」「周期性嘔吐症」による腹痛も多くなっています。
治療を急ぐ病気には、乳児の「腸重積」や2歳以上の子どもに起こる「虫垂炎」があります。また子どもは、アレルギー性紫斑病から腎炎を、おたふくかぜから急性膵炎を起こす、といったようにほかの病気の合併症が原因で腹痛を起こすこともあり、腹痛のほか全身に他の症状を伴っていないかよく確認する必要もあります。

子どもの腹痛の原因

(1)子どもの便秘・ガスだまり

子どもの便秘は、無理にトイレトレーニングを進めることや、遊んでいて排便のタイミングを失うこと、オムツにかぶれによる肛門部の痛みや肛門周囲の溶連菌感染症、水分や食物繊維の摂取不足などが原因となって起こります。

便通の頻度は子どもによって異なりますが、2日以上排便が起こらなければ便は硬くなって出にくくなります。一般的には、排便が週に3回未満の場合を便秘と言います。しかし、毎日出ていてもちょっとずつ肛門から便が漏れ出ていたり、コロコロの便で便を出すときに力まなければいけなかったり痛みがある場合は便秘といえます。

便秘になると便がスムーズに出なくなるので、排便時に肛門が傷ついたり、痛みを伴うことがあります。排便することが苦痛となり、さらに便が直腸に溜まったままになると直腸が伸びて便が溜まりやすくなります。直腸に便が下りた刺激で便意が起こりますが、便が溜まっていることに慣れてしまうと便意を生じにくくなります。こうした悪循環が便秘の症状を悪化させ、便秘が慢性化していきます。便秘は、慢性化してしまう前になるべく早くに適切な対処を行うことが大切です。

便秘の治療は、便を軟らかくしたり腸に刺激を与えて排便を促す薬などの服用や、直腸を刺激して水分を加えて便を出しやすくする浣腸、坐剤が用いられます。まずは、腸の中に溜まっている便を 内服薬や浣腸などで出してから、治療を開始します。薬で出ない場合は指で掻き出して、便を取り除くこともあります。(摘便)

・便秘・ガスだまりで腹痛を起こしているときの対処法
子どもに便秘・ガスだまりが起こると、泣いたりうずくまって苦しんだりすることもあるほど、強い痛みを伴うことも少なくありません。その様子を見た大人は心配してしまいますが、便やガスが出てしまえば腹痛は消え、子供はすぐにケロッとしています。即効性のある治療法は浣腸です。家庭で市販の浣腸を使うのが難しい場合は、迷わず小児科に行って浣腸をしてもらいましょう。

浣腸を繰り返し行うとくせになるのではと心配する方がいらっしゃいますが、便が直腸に長くとどまっている方が 直腸が伸びて便秘が慢性化する原因となるため、浣腸で出してあげる方が良いのです。 浣腸をした後は、食物繊維や水分摂取を増やしたり、定時にトイレにいくうまく排便リズムを作る等に加え、子どもが力みやすいようにロダンの「考える人」の様な排便姿勢を早期に習慣付ける等、アフターケアも大事なことで、これらの複合的アプローチで浣腸の回数も減るようになります。

・便秘・ガスだまりを予防するには
子どもの便秘とそれに伴うガスだまりは、便秘を放置することで習慣になりやすいので、子どもが排便を毎日していないようなら便秘対策を行い、スムーズな排便を促進させましょう。便秘の予防には、野菜、果物、豆類といった食物繊維が豊富な食品や、腸の働きを良くするヨーグルトや乳酸菌飲料等を意識して与えるのが効果的です。また水分不足、運動不足も便秘をひきおこしやすいので注意しましょう。便秘を起こしやすい子どもには、毎日お腹を時計回りにグルグルとマッサージし、腸のぜん動を促進してあげるのもおすすめです。また、赤ちゃんが泣いたらすぐに抱き上げて泣き止ませていませんか?泣くことも、ハイハイできないような生まれたばかりの赤ちゃんにとっては大切な運動です。時には時間を決め、しっかりと泣かせてあげることで腸が動き、便秘が解消される場合があります。

(2)ウイルス性胃腸炎

ウイルス性胃腸炎による腹痛は、胃腸に炎症を起こすウイルスに感染したために起こります。下痢や嘔吐、発熱を伴うことが少なくありません。

ウイルスを含む水や食べ物の摂取や、ウイルスに感染した人を介して感染します。突然の繰り返す 嘔吐で症状が始まり、水様便が出て、発熱がみられることもあります。

子どもによくみられるウイルス性感染症を起こす原因ウイルスには、冬場に多くみられ、ウイルスに感染した人を介した食中毒に多いノロウイルスや、夏場に多くみられるロタウイルス、夏風邪として知られ咽頭炎、結膜炎、発熱を 伴うアデノウイルス、気管支炎や喘息様症状、肺炎などを引き起こすエンテロウイルスなどがあります。ノロウイルスやロタウイルスによる感染の場合には、白っぽい便や薄黄色の水様便がみられます。

風邪と診断された場合でも、胃腸症状を引き起こすウイルスが原因の場合は、ウイルス性胃腸炎の症状がみられ、「お腹の風邪」という表現をされることもあります。

たいていはウイルスが体内からいなくなれば回復し予後も良好ですが、乳幼児は下痢や嘔吐によって脱水を起こしやすいので、症状の重い場合やミルク、水分がとれない場合はすぐに小児科を受診しましょう。受診の有無に関わらず、症状のある間はこまめな水分補給を心がけましょう。スポーツドリンクを半分程度に水で薄めたものが吸収がよく脱水予防に効果的です。一口くらいの少量ずつ、複数回に分けて与えます。

(3)心因性の腹痛

・子どもの心因性の腹痛
子どもには、検査しても特に悪いところが見当たらないのに起こる心因性の腹痛も多くなっています。子供は感受性が強いのでストレスを感じやすく、嫌なことがあったり環境が変わったりすると、ストレスから自律神経が反応して腹痛が起こりやすいのです。

血液検査やX線、超音波などの画像検査、便の検査などを行い、腹痛を起こす原因がないかを調べ、心因性の腹痛や、乳糖不耐症、便秘など、腹痛を起こす起因となる疾患がないにもかかわらず、腹痛を起こす場合は反復性腹痛と呼ばれます。 乳糖不耐症の場合は、乳製品や乳糖を含む薬を飲んだ時に腹痛が起こることで判断できます。乳糖不耐症と診断された場合には、乳糖を分解する薬の服用や乳糖を含む乳製品を避けます。

便秘や乳糖不耐症でもなく心因性の腹痛が疑われる場合には、家庭や学校での心配事や悩み事がないか、腹痛の原因となる出来事について保護者に問診が行われます。平日に痛みが強くなり、週末や夏休みなどの長期休みには軽くなる腹痛は心因性の腹痛の特徴です。

・心因性の腹痛の対処法
心因性の腹痛の場合は、受診して子どもの腹痛に治療が必要な病気が隠れていないことを確認した上で、症状がおさまるまでゆっくり休ませましょう。同時にストレスの原因を見つけて解決することがのぞまれます。

心因性の腹痛は、時間はかかるもののやがては回復に向かいます。保護者がゆったりと構えて子どもが腹痛を訴えても否定せずに受け止め、子どもの気持ちに寄り添いましょう。心因性が原因の場合は、腹痛や下痢などの症状に対して腸の蠕動運動を調整する薬や整腸剤、下痢止めなどが用いられます。専門医の紹介を受け、カウンセリングなどが行われることもあります。

絶対に見逃さないで!すぐに受診が必要な腸重積・急性虫垂炎

子どもの腹痛で特に危険な病気として、腸重積と急性虫垂炎があげられます。どちらの病気も治療が遅れると、命に関わることもある腹膜炎を引き起こす場合があるので、疑われる場合はすぐに受診しましょう。

・腸重積の症状・対処法

離乳食前後の1歳以下の乳児に起こりやすいのが腸重積です。感染症や腸の異常なぜん動が原因で腸が閉塞する病気で、腹痛、嘔吐、粘血便がみられます。これらの症状を伴って赤ちゃんが時折激しく泣くようなら腸重積が疑われます。すぐに治療をしないと腸が壊死してしまったり、時には手術が必要になる危険な病気です。疑わしい場合は一刻も早く病院を受診してください。

・急性虫垂炎の症状・対処法

急性虫垂炎の腹痛は、腹部全体の痛みから始まり次第に右下腹へと特定されていくのが特徴で、患部は押したり軽くジャンプする時さらに強く痛みます。また胃部の不快感、軽い嘔気、微熱など、一見風邪症状に類似する症状が先行する場合もあります。子どもの虫垂炎は半日から1日の間に重症化しやすいので、疑わしい症状がみられたらすぐ受診しましょう。 また子どもが腹痛を訴える場合、これらのほかにも重い病気が潜んでいる場合もあるので、基本的には早目に病院で診察を受けることをおすすめします。

子どもが腹痛になったときのケア

・受診の目安

腹痛を訴えても、活気があり食欲もある場合や、便秘の症状が疑われ、排便すると腹痛が和らぐ場合は様子を見てもよいでしょう。

しかし、便に血が混じっている場合、我慢ができないほどの腹痛がみられる場合、腹痛がだんだん強くなる場合、発熱を伴う場合、お腹がパンパンに膨らんでいる場合、お腹が板のように硬くなっている場合、お腹を触ると余計に痛がる場合、黒いカス状のものを嘔吐した場合、股関節のつけ根付近が腫れている、痛がっている場合、お腹をぶつけたり、打ったりした後に腹痛がみられる場合、活気がなく水分も摂れない場合、泣き止まず機嫌が悪い場合などは、すみやかに受診しましょう。

イチゴジャムの様な赤い便の色や、いつもの便性状と異なる場合は、便も一緒に持って受診しましょう。排便が2~3日なく、腹痛を訴えている場合は、市販の浣腸薬で便を出してあげることで腹痛が和らぐこともあります。便が出ても腹痛を訴えている場合は、受診しましょう。

お腹を痛がっているからといって、むやみに市販の痛み止めや下痢止めを飲ませることはよくありません。薬で痛みを止めて腹痛が和らいでいる間に、症状が進行して悪化する場合もあります。痛みはサインなのでよく観察し、痛みが増す場合や長く続く場合は受診しましょう。下痢は身体の中のウイルスや細菌などを追い出そうとしている反応のため、無理に止めないようにしましょう。

子どもが腹痛を訴えるときは全体を観察して

子どもは、お腹が痛くても、上手く表現できないことや、お腹が痛くなくても「お腹が痛い」という表現をすることもあります。腹痛の訴えとともに、お腹を触ってみて痛みがひどくなるか、お腹の張りやしこりなどの症状がないないか、また、腹痛に伴って 起こりやすい便秘や下痢、嘔吐、発熱などやその他の全身症状がないかを確認しましょう。

中耳炎や気管支炎、喘息、肺炎などでも腹痛の症状が出ることもあるため、訴えや症状などから、総合的に判断することが必要です。子どもの「いつもと違う」サインを見逃さないようにしましょう。


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