野球肘

子どもが野球肘に・・・その種類や対処法について

野球肘は、投球動作による肘関節への過負荷が原因で起きるスポーツ障害です。特に、10歳から16歳ぐらいの成長期にみられます。放っておくと、症状が悪化して野球ができなくなったり、障害が残ったりする可能性があります。野球肘の概要と原因、予防方法などをまとめました。

野球肘ってどんなもの?

野球肘というのは、投球動作のやり過ぎによって、肘関節に負荷がかかり過ぎ、炎症を起こすものです。小学生や中学生に多くみられ、11歳、12歳が発症のピークといわれています。

同じ野球肘でも、大人の場合は、ストレスのかかる関節の靭帯そのものが損傷することが多いのですが、子供は骨がまだ柔らかいので、靭帯や筋肉が付いている箇所の骨や、軟骨部分が損傷するケースが多いのが特徴です。

ピッチャーに多い障害ですが、キャッチャーにもみられます。症状としては、投球時の肘の痛みに始まり、肘を押すと痛みを感じたり、肘の曲げ伸ばしができないなどの症状があらわれます。バッティングは問題なくできる場合も多いです。

野球肘は、必ずしも野球だけに起因するものではありません。バレーボールやテニス、バドミントン、槍投げなど、オーバーヘッドモーションを行うスポーツであれば、可能性はあります。

野球肘のタイプ

一口に野球肘といっても、様々なタイプがあります。大きくは、肘の内側、肘の外側、肘の後ろ側に分けられます。

一番多くみられるのは、肘の内側型です。投球時には、肘の内側の靭帯や筋肉が引っ張られることによって、靭帯や筋肉が付着する上腕骨内側上顆部分に負荷がかかります。これにより、成長軟骨部分が折れる(開く)骨端線離開や、骨が小さく取れてしまう裂離骨折などを起こします。

内側型は、他のタイプに比べると、投球をしないで休むことによって回復することが多いタイプです。内側型の野球肘の症状があるにもかかわらず無理をして、外側型や後方型を引き起こすこともあります。

外側型は、離断性骨軟骨炎といわれるもので、投球動作で上腕骨小頭と橈骨頭がぶつかることを繰り返すうちに、軟骨部分が損傷するものです。

外側型も、初期の段階では、投球を休むことで回復しますが、進行すると、骨が剥離し、遊離体として関節内を移動するようになります(関節ネズミ)。こうなると、手術が必要で、治療にも時間がかかることが多く、スポーツを断念しなければならない可能性も出てきます。肘の変形や曲げ伸ばしの困難など、大人になっても後遺症が残ったりするのはこのタイプに多いです。

後方型は、上腕三頭筋によって尺骨肘頭が繰り返し引っぱられることにより、腱が炎症を起こしたり、疲労骨折や剥離骨折を起こすものです。

野球肘の原因と予防

野球肘の原因は、肘に強く負荷がかかるような、間違った投球フォームで投げ続ける事と、投球回数が多すぎることです。正しい投球フォームを身につけることが、野球肘の予防はもちろん、球速や球威の向上にもつながります。ウォーミングアップや、クールダウンも大切です。

しかし、たとえ正しいフォームで投げていても、投球数が多ければ、過負荷になります。投げ過ぎは禁物です。日本臨床スポーツ医学会の「青少年の野球傷害に対する提言」では、野球肘防止のために、以下のように述べています。

・小学生の練習時間は、週3日以内で2時間以下。
投球数は1日50球以下で、試合を含めても週200球を超えない。

・中学生の練習時は、週1日以上の休養日を取る。
投球数は1日70球以下で、週350球を超えない。

・高校生の練習時は、週1日以上の休養日をとる。
投球数は1日100球以下で、週500球を超えない。

・シーズンオフを設け、他のスポーツを楽しむ機会を設ける

親としてどう対応したらいいの?

野球肘で大切なことは、早期発見早期治療です。子供は成長期にあるので、多少の損傷ならば、しっかりと安静にしていれば、成長しながら回復していきます。初期の内に発見できれば、投球を休むだけで回復することも多いです。

進行すると、安静期間が長引いたり、手術の必要が出てきたりと治療が大変になります。大人になって障害が残ったり、野球をあきらめなければならない状況になることもあります。長く野球やスポーツを続けていくためには、早いうちにしっかりと治すことが大事です。

チームが強くなればなるほど、子供本人も親も指導者も、練習したい、させたい、試合に出たい、出したいという気持ちが強くなるものです。本人が受診や静養を嫌がったり、大人が躊躇することもあるかもしれません。しかし、今、治療しておかないと、取り返しのつかないことになる可能性もあります。そんな事態にならないように、子供を守るのは親や指導者である大人の責任です。子供が痛がるような様子を見せたら、迷わず受診しましょう。できれば、野球肘に詳しい医師のいる病院が望ましいです。


2015/10/08

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