注意欠如多動性障害(ADHD)

子どもの「注意欠如多動性障害(ADHD)」の症状について

注意欠如多動性障害(ADHD)では不注意のほかに多動性や衝動性がみられます。社会生活で困難が生じることもあり、また周囲の大人たちもどのように関わったらよいか、迷うことが多くなります。具体的な症状や治療、子供への関わり方について解説します。

注意欠如多動性障害(ADHD)とはどんな病気か

注意欠如多動性障害ADHDはAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、年齢や発達にそぐわない著しい不注意や多動性、あるいは衝動性がみられる発達障害です。学校などの社会生活で支障をきたすことが多く、周囲が障害を理解していない環境では叱責されることが増え、自己評価の低下や情緒障害など二次的な障害が起こることもあります。

注意欠如多動性障害(ADHD)の原因は遺伝的な要因による脳神経の微細な機能障害との説がありますが、詳しいことは不明です。

注意欠如多動性障害(ADHD)の症状の現れ方

注意欠如多動性障害(ADHD)の症状は不注意や多動性、または衝動性です。社会生活では不注意による間違いや忘れ物が多く、よく物をなくし、授業など人の話に集中することが難しい面があります。また、多動性のために落ち着かず、授業中でも歩き回るなどの行動が目立ち、さらに衝動性によって興奮しやすく、人の邪魔をしたり、順番待ちが苦手なことも多く認められます。

症状のタイプ別としては、不注意優勢型と多動性・衝動性優勢型、また二つのタイプの混合型の3つです。また、症状の現れ方は個人差や環境によっても異なりますが、性別によって女の子は不注意、男の子は多動性や衝動性が現れやすいという傾向もあります。

注意欠如多動性障害(ADHD)の検査・診断は?

検査として知能検査を行うと、注意欠如多動性障害(ADHD)では全体の知能は正常範囲でも各能力にはバラツキがあり、得意、不得意が極端な傾向も認められます。

注意欠如多動性障害(ADHD)はアメリカ精神医学会の定めた診断基準による診断名ですので、その診断基準に基づいて診断を行います。不注意のほかに、多動性か衝動性のうち一つ、あるいは両方が認められること、またこれらの症状が7歳以前に認められていたか?などから判断します。さらに、症状の現れる場面が学校だけ、家庭だけなどの1ヶ所でなく、2ヶ所以上で認められることも診断には必要です。

診断においては他の障害との鑑別、合併症の有無などを把握することが重要になります。自閉症スペクトラムなどとの鑑別は難しい場合もあり、注意欠如多動性障害(ADHD)には学習障害が合併していることも多くみられます。

さらに、診断に際しては母親など子供の養育者から詳しく生育歴を聞きます。そのため、診察のときには日常の中で気になっている行動などを伝えられるようにしておくとよいでしょう。

注意欠如多動性障害(ADHD)の治療と関わり方は? 

注意欠如多動性障害(ADHD)の治療目標は、この障害による有害な影響を最小限に抑え、子供の得意な能力を伸ばし、自尊心を培い自己評価を高めることです。
治療には薬物による治療や心理社会的治療を行います。薬物療法としては注意欠如多動性障害(ADHD)薬として日本で認可されているコンサータやストラテラを必要に応じて用います。これらの薬は神経伝達物質に作用して不注意や多動性などの症状を抑える働きをもっています。

心理社会的治療の目的は症状のために社会生活が困難になり、自己評価の低下や情緒障害など二次的な障害が起きてしまうことを予防することです。注意欠如多動性障害(ADHD)の子供は得手不得手がハッキリしていることも多いため、学習面での配慮が必要なことも多くみられます。そのため、二次的な障害を防ぐには親や学校の教員など周囲の人が障害を理解し、また互いに情報や認識の共有を図っておくことが極めて重要になります。
また子供の問題行動に適切に対処するための家族への支援としてペアレント・トレーニングと呼ばれる方法があり、ADHDの行動分析や対応方法について学ぶことが出来ます。

さらに、できるだけ集中しやすいように身の回りに余分な物を置かず、また新しい刺激への対応が難しい場合には刺激をできるだけ少なくするなど生活面の指導なども行います。注意欠如多動性障害(ADHD)の子供に対しては症状による社会生活への影響をできるだけ少なくするように生活環境を整え、子供の自己評価を低下させないことが重要です。


2015/10/08

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