化学的流産

妊娠にも流産にもカウントしない?化学的流産ってなに?

妊娠のごく初期、着床しても胎のうができる前に受精卵の成長が止まって生理のような出血を起こすものを、化学的流産と呼びます。流産という名前がついていますが、化学的流産は通常の流産として数えないのが一般的。化学的流産の原因や症状、通常の流産と違う理由などを解説します。

化学的流産とは?

妊娠は受精卵が子宮内膜に着床して成立します。この段階に妊娠検査薬などで妊娠反応が出ても、胎のうができる前に発育が止まってしまうものを化学的妊娠、その後の出血を化学的流産(ケミカル・アボーション)と呼びます。最近では検査薬の精度が高くなり化学的妊娠でも陽性が出るようになったため、化学的流産というものが広く知られるようになりました。実は化学的流産はけして珍しくなく、全妊娠の3割程度にのぼると考えられています。

化学的流産の症状と原因は?

化学的流産の症状は、妊娠反応で陽性になったあとで、いつもの生理よりも少し量が多い、あるいは期間が長い出血があることですが、通常の生理とあまり変わらない場合もあります。実際には少し生理が遅れたあとで通常より重い生理があったなど、妊娠に気付かないうちに流産している場合も多いようです。

化学的流産の原因の多くは受精卵の染色体異常。染色体異常は受精卵のうち約45%に見られると考えられ、そのうち約半数は着床前に淘汰されます。残った染色体異常の受精卵は、着床後に発育が止まる化学的流産のほか、発育途中に初期流産や後期流産、胎児死亡などを起こし、実際に出産まで育つのは約0.6%といわれています。

化学的流産は通常の流産とは違うもの

化学的流産は胎のうが作られる前の段階で起きるため、医療処置は特に必要ありません。もし出血のあとも妊娠反応が陽性の場合は、化学的流産ではなく子宮外妊娠の可能性も考えられるので、医療機関を受診してください。

化学的流産は染色体の異常が原因になっていることがほとんどで、ある意味では自然淘汰といえます。染色体異常は生活習慣や年齢、服薬などに関係なく、健康な女性の誰にでも起こりうるものです。そのため、一度化学的流産を起こしたからといって次も化学的流産を起こすリスクが高くなることはなく、その後の妊娠には影響しないため、次の妊娠まで一定の期間おく必要もありません。
‘流産’という言葉のため非常に悪いことのように考えがちですが、けしてそんなことはありません。今回はたまたま発育できない受精卵でしたが、妊娠反応が陽性になったという事は受精卵がしっかりと着床したという証拠でもあり、それは発育に適した受精卵が来れば正常に妊娠が成立する準備が既に整っているという証でもあります。
実際に化学的流産のすぐ後に妊娠に至るケースもよくみられます。

医学上、化学的妊娠及び流産は通常の妊娠・流産にはカウントしないことになっています。これは、2回以上流産が続く習慣性流産とは原因が異なるためです。産婦人科での問診票でも流産の回数には数えません。

ただ、短い期間でも妊娠の期待と喜びがあるのは事実。化学的流産は誰にもありうることであり、防ぎようがないことですが、早く気持ちを切り替えられるように心のケアなどを行っていくことも必要です。


2015/11/17

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