薬(処方薬・市販薬)

2015/11/18

妊娠中の消炎・鎮痛薬って大丈夫?正しい知識で安全に

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妊娠中の消炎・鎮痛薬って大丈夫?正しい知識で安全に

妊娠中に体調を崩してつらいけど、赤ちゃんへの影響が怖くて薬は飲めない…と我慢する妊婦さんは多いものです。しかしその結果重症化して、かえって赤ちゃんに影響を及ぼすことも。妊娠全期を通して一度も薬を飲んではいけないというわけでないのです。妊娠中の消炎・鎮痛薬の服用について正しい知識を身につけておきましょう。

「妊娠27週まではほとんどの場合危険なし、妊娠後期は注意が必要」が通説

妊娠初期から中期(27週)にかけて鎮痛解熱剤を使用すると、流産や胎児の異常を起こすのでは?という心配をよく聞きます。結論からいうと、鎮痛解熱剤で流産を起こすことはほとんどなく、気にする必要はないとされています。

胎児の異常・奇形も起こらないとされていますが、ナイキサンという種類の鎮痛解熱剤は口蓋裂という奇形の原因となるという説もあるので、避けた方がよいでしょう。妊娠初期での消炎・鎮痛薬は、より安全性が高いカロナールやピリナジンの使用が一般的です。より強い効き目が欲しい場合はロキソニンやブルフェンが使用されます。

妊娠後期(28週以降)は注意が必要です。鎮痛解熱剤のプロスタグランディン作用により血管の収縮が起こり、肺高血圧症や動脈管閉鎖が誘発され、胎児の死亡も起こることがあると報告されています。薬剤を選ぶ際には、このプロスタグランディン作用が弱いカロナール・ピリナジン、ソランタール、バッファリンなどが用いられます。

薬を飲む決断、控える決断のボーダーラインを見極めよう

妊娠初期から中期にかけての消炎・鎮痛薬服用はほとんど心配のないものである、というのが現在の共通見解ですが、近年気になる研究結果が発表されています。比較的安全とされるカロナール(アセトアミノフェン)の服用と、子供のADHD(注意欠陥・多動性障害)リスクに関連があるのではないか、という説です。

デンマークで行われた調査によると、対象妊婦(64332人)の半数以上がカロナールを服用していることがわかり、さらにはその子供が7歳の時点でADHDと診断されている割合は、服用しなかった母親から生まれた子に比べて1.13倍だったという結果でした。また、短期間の服用よりも妊娠期間通して複数回に渡って長く服用している方が、リスクが高い傾向にありました。

このような報告を聞くと、ますます妊娠中の薬の服用に二の足を踏んでしまうものです。薬の安全性がどんなに高くなっても、妊娠中の医薬品の服用は慎重に、という大原則に変わりはなく、「100%大丈夫」ということはいかなる医者にも保証できません。ただ、処方薬の一般的な注意書きに「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」と書かれている通り、消炎・鎮痛薬を飲まなかったことによる重症化の危険が高い場合は、医者の処方に従って服用するべきなのです。

普段から使用している薬でも、妊娠中は市販薬を自己判断で内服することは避けて必ず医師が処方したものを内服しましょう。また、わからないことや心配なことは診察の時にしっかり質問し、心配事や不安を残さないようにすることも大切です。

妊娠中の薬の服用は避けるに越したことはありませんが、本当に必要なときに飲む決断ができるよう、普段から薬に対する知識を深めておきたいものですね。


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