産後の身体の悩み・トラブル

産後は骨盤ベルトはいつからいつまでつける?ベルト以外で骨盤を矯正するコツ

産後は、下半身の不安定さを改善するために、あるいは腰痛や恥骨痛を軽減する目的で、骨盤ベルトを着けるとよいといわれます。では、産後のどのくらいの時期に着けたらよいのでしょうか。着用するタイミングと骨盤ベルトの特徴や選び方、ベルト以外でケアするコツについてお伝えします。

骨盤ベルトはいつからいつまでつける?

骨盤ベルトの役割は、妊娠出産によって緩んで開いたり歪んだりした骨盤を元の位置に整えるサポートをすることです。
では、なぜ妊娠出産によって骨盤が緩んで大きく開いたり歪んだりするのでしょうか?
妊娠中は母体からリラキシンというホルモンが分泌されます。リラキシンが分泌されると、骨盤やその周りの靭帯や関節が緩み、出産時に狭い産道を赤ちゃんが回りながら出てきやすくなります。リラキシンは妊娠初期から分泌し始め、少なくとも産後約8週目までは分泌されているといわれます。つまり、産後も数ヶ月は骨盤の関節や靭帯が緩んで不安定な状態にあり、かつ、特に骨盤の下側が開いている状態です。加えて、膀胱や膣、腸など骨盤内にある臓器を支えている骨盤底筋群も、妊娠中に大きくなっていく子宮を支えていましたし、出産時には伸ばされます。そのため、産後も支える力が低下していて、臓器が下垂しやすい状態といえます。ですから、くしゃみや咳、赤ちゃんを抱っこするなど、お腹にちょっとした腹圧がかかるだけで、尿もれなどの症状が出やすくなります。それまで尿漏れなどを経験していないと、このような身体の変化に驚いてしまい「私の身体は正常?産後の身体の回復が進んでいないのでは?」と不安になるかもしれません。けれども、開いた骨盤や緩んだ骨盤底筋は、産後に少しずつ回復してきます。ただ、加齢などが原因で骨盤底筋が弱まってきたときに再び尿もれの症状が出たり、悪化すると臓器脱などが起きたりすることも考えられるため、産後早いうちからの対応が重要なのです。最近では、お産直後、歩行を始める前に分娩台の上で骨盤ベルトを装着したり、入院中からの使用を推奨したりするところも増えています。
産後における骨盤ベルトの使用期間についてはさまざまな意見がありますが、少なくともリラキシンの影響があるとされる産後約2ヶ月間は使用するとよいといわれています。ただし、使い心地が悪くかえって痛みが出る、不調を感じるというような場合には、無理していつまでも装着しないほうがよいでしょう。一方で、腰痛などあって骨盤ベルトを使用していたほうが楽であったり、妊娠前から腰痛持ちだったりする人は引き続き使用しても構いません。いずれにせよ、体調に注意しながら使用するようにしましょう。

骨盤が安定していない状態で外すと痛みが出ることも

骨盤が安定していない状態、特に立ったままの状態でベルトを外さないように注意しましょう。立った状態で外すと、ベルトで元の正しい位置に収まっていた骨盤内の臓器が一気に重力で下垂し、骨盤底の筋肉はもちろん、骨盤やその周りの関節、靭帯を痛める可能性があるからです。できるだけ横になって着脱するか、もしくは座った状態や立膝の状態で外すようにします。
「もう大丈夫かな?」と思っていったん外してみたものの、まだ骨盤周りが安定していなければ、また恥骨や腰などに痛みが出る場合もあります。その場合はまた着けてみましょう。

産後の骨盤ベルトの選び方

選び方

購入時には、腰回りを計測して自分の体型に合ったサイズを選択するようにしましょう。面ファスナーのついたタイプや、伸縮性のある素材でできているものだとよりフィットしやすいでしょう。いろいろな種類や価格の商品がありますが、毎日使用するものですから、面倒でなく簡単に楽に着脱できる使い勝手の良いものを選ぶこともポイントです。また、妊娠中に腹帯をお腹に巻いて安産祈願をした方は、さらしを持っているかもしれません。ベルトを準備して使用する代わりに、このさらしを使用することも可能です。ただし、手軽な反面、ずれやすいということはあります。
なお、ガードルやニッパー、コルセットなどウエストを締めつける類のものは、骨盤が緩んでいる状態で使用すると内臓を圧迫してしまい、下垂させる可能性があるのでおすすめしません。

着け方

骨盤ベルトを着用する上での一番のポイントは、骨盤輪に沿って、骨盤が安定して気持ち良いと感じる位置に装着するということです。恥骨上縁(ちこつじょうえん)、太ももの大転子(だいてんし)、上前腸骨棘(じょうぜんちょうこつきょく)の3ヶ所を把握して着けるとよいでしょう。

○恥骨上縁(恥骨の骨の上の縁部分)

指でおへそからまっすぐ下にたどって恥骨を確認します。恥骨上部の縁部分にベルトの下縁部分がかかるようにします。

○太ももの大転子(太ももの骨頭部分)

恥骨から左右それぞれに外側へ指をたどっていくと、太ももの横に出っ張った丸い骨である大転子があります。膝を上げたり下げたりすると動くところです。ベルトの下縁がこの大転子にかかるようにします。

○上前腸骨棘

腰に手を置き、前かがみで腰骨をたどったときに一番前に出っ張る部分です。上前腸骨棘より下にベルト巻くように注意しましょう。これより上に巻くと骨盤の上側を締めてしまうので、骨盤下側の開きが大きくなってしまう可能性があります。

いろいろなタイプの商品があり、特徴もさまざまです。ベルトの位置や着け方の詳細は、取扱説明書を必ず確認しましょう。ここでは基本的な使い方の一例を、参考にご紹介します。


1. 骨盤ベルトを仮留めして輪の状態にし、必ず椅子か床に座って足からベルトを通します。

2. いったん立ち上がるか膝立ちをしてベルトをお尻に密着させ、恥骨、太ももの大転子、上前腸骨棘を確かめながら面ファスナーを留めます。

3. 仰向けになってクッションなどを腰の下に入れて腰を高くし、両膝を揃えて立ててリラックスします。下がった臓器が元の位置に移動するよう、5分ほど両膝を気持ちよくゆっくり左右に揺らしたり安静にしたりを繰り返すとベストです。

4. 面ファスナーを外します。お尻の筋肉を締めてみて、ゆるみができた分、軽くベルトを引いて面ファスナーを留めましょう。

5. 腰からクッションを外して、お尻を床につけます。足の付け根に沿って片手をベルトの下へ通し、締まり具合をチェックします。手の甲で止まる程度にスッと入るくらいがベストです。指先までしか入らないのはきつすぎですし、手首まで入るのはゆるすぎです。必要に応じて締め直します。きつく締めすぎると、血行が滞ってむくみなどの原因となる場合があるので注意しましょう。

授乳やおむつ替えなど普段の育児や家事などで身体を動かしていると、だんだんベルトの位置がずれてくることがあります。その場合はできるだけ横になって外し、着けたときと同じ手順で着け直します。

帝王切開の場合も骨盤ベルトは着けたほうがいい?

帝王切開の分娩をした場合は「産後に骨盤ベルトは必要ないのでは?」と思う人もいるでしょう。しかし、分娩方法に関係なく、産前からリラキシンというホルモンの影響を受けていますし、これが産後約8週頃まで続くことに変わりはありません。つまり、帝王切開で出産した人も、骨盤周辺の関節や靭帯が緩んでいて不安定な状態にあります。また、妊娠中赤ちゃんの成長に伴って大きくなる子宮をずっと支え続けてきたわけなので、その重みで骨盤も開きがちです。
ですから、帝王切開後の人も、産後は骨盤が歪んだままで内臓が下垂しないよう、骨盤ベルトを使って正しい位置に矯正サポートしたいところです。しかし、ベルトを巻く位置が傷口に当たる場合が多く、擦れたり痛かったりして傷の回復に影響する可能性もあります。帝王切開後の場合は無理をせずに骨盤ベルトの着用は控え、産後1ヶ月程度は傷の回復を優先しましょう。もちろん個人差もあるので、骨盤ベルトをいつから使用してよいかの目安は、担当の医師に確認しましょう。

骨盤ベルト以外で、骨盤を矯正するための方法

お話してきたように、骨盤ベルトを着けることによって、産後の骨盤ケア効果が期待できます。そのほか、整体で骨盤矯正の施術を受けることやヨガなども選択肢の一つでしょう。とはいえ、子育て中、特に産後はなかなか自分の時間が取れないものです。日頃から猫背にならないように骨盤を立てて正しい姿勢を心がけることや、自分で気軽に行えるエクササイズや骨盤底筋体操を行うことも、骨盤矯正や筋力の回復のためにはよい対策です。また、姿勢を正して呼吸を意識して整え、深いところの筋肉へアプローチする「ガスケアプローチ」が効果的であるという考え方もあります。これによって骨盤底筋群をケアすることができます。


2018/11/08

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