おたふく風邪

おたふく風邪の予防接種の回数は?2回目を就学前に受けるべき理由

乳幼児期には受けるべき予防接種がたくさんあります。間違えなく、かつ効率よく接種するためには、それぞれの予防接種について正しく理解することが重要です。今回は、おたふく風邪の予防接種に焦点を当て、接種回数や時期についてご紹介します。

そもそもおたふく風邪はどんな病気?

おたふく風邪は、ムンプスウイルスによって引き起こされる病気で、正式な病名を「流行性耳下腺炎」といいます。
おたふく風邪の特徴的な症状の一つが、耳下腺の腫れです。耳下腺は唾液を作る部位で、耳の下にあります。ムンプスウイルスに感染すると、2~3週間の潜伏期間の後、耳下腺に炎症が起きて腫れます。片側から腫れることが多く、1~2日経ってから反対側の耳下腺も腫れてきます。また、発熱して耳下腺部分に痛みも出ます。唾液を作る組織に炎症が起こるので、酸っぱいものを摂ると耳下腺の痛みも強くなります。
こうした症状は約1週間続きますが、だんだん落ち着いてきます。周囲への感染力は、発症する数日前から発症後約5日といわれています。

合併症・後遺症の恐れも

おたふく風邪はいろいろな合併症を起こすことがあります。その中で後遺症が残るものをみていきましょう。


・難聴
おたふく風邪から起こる難聴を「ムンプス難聴」といいます。聴覚の障害は、主に片側に出現します。耳の聞こえが悪くなるとともに、発語にも影響が出ます。ムンプス難聴は、回復することがないので、補聴器などによるサポートが必要になります。

・不妊
大人になってからおたふく風邪を発症すると、精巣や卵巣に炎症が起きる可能性があります。発熱とともに、腹痛や陰嚢の腫れ、痛みの症状が出てきます。多くの場合、影響が出るのは片側の性腺で、両側に症状が出ることはまれです。ただし、両側に炎症が起こると男性不妊などにつながることがあります。

・その他
髄膜炎や膵炎などを合併することもあり、頭痛や嘔吐、腹痛などを起こします。これらは、おたふく風邪が治ったと思われる時期に生じることもあるため、おたふく風邪の経過中は、合併症の発症にも注意が必要です。
100人に一人が無菌性髄膜炎、500~1000人に一人が片側の難聴、3000~5000人に一人が急性脳炎を起こしています。

発生率・かかりやすい年齢は?

生まれてすぐは、母親の免疫力によって守られているため発症するリスクは低く、発症するのは早くても2歳を過ぎてからでしょう。日常生活の送り方でも発症時期は異なりますが、通常は4歳か5歳がかかりやすい年齢といわれています。
感染しただけですぐに症状が出ない人は、20~30%ほどいます。

おたふく風邪の予防接種について

他のワクチン接種を受けて、発熱や発疹などのアレルギーが疑われるような症状が出たことのある人、心臓病や内科疾患を持っている人は、医師に相談してから受けてください。

予防接種には、定期接種と任意接種があります。定期接種は、市区町村が法律に基づいて実施するもので、公費で行われます。健康被害が起こった場合には、救済給付の制度があります。一方、任意接種とは、希望者が各自で受けるもので自費となります。健康被害が起こった場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構法による救済制度があります。
では、おたふく風邪の予防接種はどうでしょうか。おたふく風邪の予防接種は、任意接種です。おたふく風邪ワクチンは、1回だけの接種だと30~40%の人はおたふく風邪にかかってしまうことがわかっているので、2回接種がすすめられています。
初回(第一期)は1歳から接種可能です。1歳になったらできるだけ早く接種を受けたほうがよいとされています。そして、2回目(第二期)は、しっかりと免疫をつけるため、1回目の4~5年後、つまり小学校入学前に接種するのがよいでしょう。とはいえ、この時期を過ぎたら受けられないというわけではありません。おたふく風邪の予防接種は何歳でも受けられます。ですから、一度もおたふく風邪にかかっておらず、おたふく風邪ワクチンを一度も接種していない人、また7歳以上で1回しかワクチンを接種していない人は、まずは接種しましょう。2回目の接種が必要かどうかは、初回の接種時に医師に相談しましょう。
また、おたふく風邪ワクチンは生ワクチンですから、医師が認めた場合には、麻疹風疹ワクチン(MRワクチン)や水痘ワクチンなど他のワクチンと同時に接種することができます。

予防接種の副反応

副反応として、接種から約2週間後に微熱や耳の下、頬のうしろ、顎の下などに腫れが出ることがありますが、これらは自然に治ります。このほか、まれに接種から3週間後に無菌性髄膜炎が発生する場合があります。

おたふく風邪には大人になっても注意!まだなら予防接種を

ムンプスウイルスの感染力は、他のウイルスに比べて強いです。感染経路には、咳や唾液などによる飛沫感染、感染した人との直接の接触による接触感染があります。
ムンプスウイルスに免疫がなければ、大人でも感染します。子どもの頃、おたふく風邪にかかっている方は、免疫を持っているといえます。強い免疫を獲得しているのです。一方、予防接種を一度していてもおたふく風邪を発症していなければ、注意が必要です。日本では、1989~1993年までの間、おたふく風邪の予防接種は定期接種でしたが、接種回数は1度だけでした。この時期にワクチン接種を受けた現在約25~30歳の方の中には、免疫力が低下している人もいて、おたふく風邪にかかる可能性があります。
おたふく風邪は「子どもの病気」というイメージを持たれがちですが、発症した場合に重症化しやすいのは大人です。おたふく風邪に感染した15歳以上の男性では、約30%に精巣炎・睾丸炎が、女性の約7%に卵巣炎がみられるといわれています。また、一般的に年齢が高くなれば合併症の頻度や重症度も高くなります。耳の下の腫れから約5日後に高熱、頭痛、嘔吐が繰り返されるほか、無菌性髄膜炎や脳炎を引き起こす可能性もあります。
けれども、必要以上に怖がる必要はありません。すぐに治療すれば、後遺症などもなく治る病気でもあるからです。

おたふくかぜの予防法

おたふく風邪を予防するために、日頃から手洗いやうがいをすることも大切ですが、何といっても一番の予防法はワクチン接種です。おたふく風邪には特効薬がありません。ですから、ワクチン接種が大切なのです。重篤な合併症もあるので、就学前に2回目の接種を受けたほうがよいようです。
大人のみなさんは、自分には免疫があるのかどうか確かめて、必要ならばワクチン接種を受けましょう。

執筆者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

参考URL:
NIID国立感染症研究所
MedicalNote
田辺三菱製薬 「ワクチン.net」
日本小児感染症学会若手会員研修会第 5 回福島セミナー 「ホントに必要? おたふくかぜワクチン」


2018/12/17

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ