全身性エリテマトーデス

SLE(=全身性エリテマトーデス)と妊娠中のリスク管理

自己免疫疾患の一種であるSLE(=全身性エリテマトーデス)の場合、厳重なる妊娠管理のもとで出産は可能ですが、母子ともに経過観察が必要です。そこで、SLE(=全身性エリテマトーデス)と妊娠のリスクおよびリスク管理について説明します。

女性に多いSLE(=全身性エリテマトーデス)とは

SLE(=全身性エリテマトーデス)とは、自己免疫疾患で膠原病の一種です。その名前は、全身性紅斑性狼瘡(systemic lupus erythematosus)から来ています。「systemic」というのは「全身の」、「erythematosus」が「エリテマトーデス」で、「赤い斑点」という意味になります。
通常、人間は免疫システムによって守られています。そのため、体内にウィルスや最近が侵入してきると抗体がつくられ、体内に侵入してきた敵を倒してくれるわけです。本来、自分の体を守ってくれるのが免疫システムであるはずなのですが、SLEの場合、体の外から入ってくる敵にではなく、自己抗体ができてしまい、自分の体の細胞や組織が攻撃されてしまうのです。その結果、体中の臓器やその他の部位で、様々な炎症が起きてしまう難病です。
症状に関してはごく軽いものから重い多臓器障害を伴うものまであり、回復したように見えても、一度消えた症状が表れるなど、繰り返すことも少なくありません。多くの場合、皮膚や関節に症状が見られ、頬にできる蝶形紅斑も特徴の一つです。発熱や疲労感、食欲不振、体重減少等の全身症状が伴うことも多くなります。
SLE(=全身性エリテマトーデス)の発症率は男性と女性とを比べた場合、圧倒的に女性の比率が高く、男女比は1対10と言われています。

SLE(=全身性エリテマトーデス)の治療中でも妊娠は可能?

SLE(=全身性エリテマトーデス)は子育て中の女性、妊娠可能な年代の若い女性の間で発症することが多いという特徴があります。そのため、「SLEだから妊娠してはいけないの?」と心配する女性も少なくないようです。SLEであっても、もちろん妊娠できないわけではありません。多くの場合、妊娠経過を観察しながら出産することが可能です。ただ、次のような出産の条件を満たすことが望まれます。

1. 罹病期間の長さに関わらず妊娠の時点でSLEの症状がない、検査結果でも問題がないと考えられる。病気の活動性が低下した状態が続いている。
2. 重い臓器障害などが見られない。
3. 副腎皮質ホルモン剤の使用量が胎児に影響を与えない程度である。免疫抑制剤を併用していない。
4. 産婦人科の判断により、出産に問題ないと診断されている。

このような条件にあてはまる状態であれば、SLE(=全身性エリテマトーデス)であっても、妊娠管理によって出産が可能になります。

SLE(=全身性エリテマトーデス)患者における4つの妊娠経過と妊娠管理

SLE(=全身性エリテマトーデス)患者が妊娠した場合、厳密な妊娠管理のもとで出産が可能になりますが、妊娠後の経過を観察することが重要になります。特に問題がなくても、妊娠が経過するにつれて、病状が悪化することもあるからです。
SLE(=全身性エリテマトーデス)では、体内でできる自己抗体が胎児にも移行することによって、母子ともに、臨床症状が起きることも考えられます。そのため、母子ともに経過観察することが重要になります。患者に起こりうる4つの妊娠経過については以下のとおりです。

1. 母子ともに問題なく経過が順調である
順調が経過であるので出産後も合併症などの心配も少ないでしょう。必要最小限の副腎皮質ホルモン剤(プレドニゾロン)の服用になりますので、副作用の心配もあまりありません。
2. 子供が不調
母親の方は妊娠経過が順調であっても、胎盤内に血栓が形成されてしまうことがあります。
3. 母親が不調
妊娠によるストレスなどから、病気が悪化することも少なくありません。妊娠高血圧症候群などの合併症が見られることもあります。その対処方法としては母体の治療を優先させること、また子供は出産が可能になればすぐに出産、といった方法が取られます。
4. 母子ともに不調
母子ともに不調の場合、治療は母体を優先することになります。早期出産になることもありますし、場合によっては人工流産せざるを得ないこともあります。

このように厳重なる妊娠管理のもと、母子ともに経過を観察することになります。母子ともに問題なく経過が順調であれば、SLEであっても過剰に心配する必要はありません。むしろ出産中は必要以上に不安な気持ちになったりせずに、できるだけリラックスして過ごすことが大切です。


2015/11/19

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