へその緒

2015/11/20

妊娠中のへその緒の役割とは?異常が起きた場合の赤ちゃんへのリスクは?

この記事の監修/執筆

専門家監修記事

妊娠中のへその緒の役割とは?異常が起きた場合の赤ちゃんへのリスクは?

お腹の中の赤ちゃんの命綱、「へその緒」。名前はよく耳にしますが、へその緒の中身や具体的な役割についてご存じでしょうか?ここでは、へその緒の仕組みとへその緒の異常についてお話します。おなかの中で赤ちゃんが健やかに育っていけるように、定期的な検診をきちんと受けて、大切な赤ちゃんの命を守りましょう。

臍帯と呼ばれる「へその緒」とは? へその緒の中身はどんな状態になっているの?

ママの胎盤と赤ちゃんのお腹をつなぐ「へその緒」のことを、正式には「臍帯(さいたい)」と言います。へその緒は個人差がありますが長さ50~60センチほどで、大人の中指ほどの太さです。
へその緒の内部には、動脈2本と静脈1本があります。3本の血管はらせん状になって一体化しています。血管の周囲には寒天状の軟らかいワルトンゼリーという物質が取り巻いています。ワルトンゼリーは触るとこんにゃくのような触感の組織です。このワルトンゼリーが血管を保護しているので、血管が絡まって血液の流れが止まるような心配はありません。羊水のなかで赤ちゃんが手や足で蹴っても、破損したりちぎれたりすることはありません。

へその緒はどんな働きをしているの?

へその緒は、お腹のなかの赤ちゃんのライフラインです。いわば、大人の場合の気道や食道の役目を果たしています。へその緒にある太い静脈は、赤ちゃんへの必要な栄養と酸素をたくさん含んだ血液を運ぶ役割があります。一方、細い動脈は、静脈とは反対に赤ちゃんからママの胎盤への流れで、赤ちゃんの老廃物などが含まれている血液を運んでいます。
3本の血管は、ねじれているため伸縮性があり、圧迫に強いという利点があります。へその緒の断面を超音波検査で見ると、断面には三つの穴が見えます。検診のときにへその緒を見せてもらうとよいでしょう。ドップラーモード機能により、血流の状態を見ると、赤ちゃんが元気であることを予想できます。

へその緒に異常が起きたら、赤ちゃんにはどんなリスクがあるの?

へその緒は、正常に機能できずにいろいろな異常を起こすことがあります。太さが1.5センチほどの命綱ですから、少しのトラブルが赤ちゃんの命にも危険が及ぶ場合があります。へその緒の異常には、つぎのような状態があります。

・臍帯巻絡(さいたいけんらく)
へその緒が赤ちゃんに巻き付いてしまった状態です。大半は、臍帯巻絡であっても特に問題はないとのことですが、3回くらい巻きついている場合は、分娩がなかなか進まないので、吸引分娩または帝王切開により、赤ちゃんを取り出します。

・胎児ストレス(胎児仮死)
何らかの影響により、へその緒が損傷を受けて、栄養と酸素が赤ちゃんに十分に届かなくなると、赤ちゃんは呼吸などがむずかしくなり苦しくなってきます。そのような状態を胎児ストレスと言いますが、この状態が続くと赤ちゃんの死亡に直結してしまいます。

・へその緒の位置のずれ
へその緒は、一般的には、胎盤の中央部または中央からややずれた場所から生えています。しかし場合により胎盤の端っこから生えている辺りに付着する場合や卵膜付着といって胎盤から外れて卵膜から生えることがあります。この状態では、赤ちゃんの血流に支障をきたし、成長が遅れ、また出産時に大きな圧力を受けてしまい仮死状態になることがあります。

・単一臍帯動脈
通常2本あるべき臍帯動脈が1本しかない状態をいいます。原因は、へその緒が作られる際に1本だけだった場合のほかに、動脈が途中で退化したケースなどが考えられます。単一臍帯動脈には、ほかの奇形を引き起こすこともあり、特に心臓の奇形が見つかることもあります。

・臍帯下垂、臍帯脱出
へその緒は赤ちゃんが出たあとに出てくるものですが、ときには、へその緒が赤ちゃんより先に下りてしまうことがあります。破水前では臍帯下垂、破水後は臍帯脱出といいますが、緊急で帝王切開を行います。

以上が、主なへその緒の異常です。これだけの深刻な異常があるのですから、へその緒が赤ちゃんの命綱といわれる理由がよくわかりますね。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加