後頸部肥厚(NT)

2015/11/20

染色体異常の可能性がわかる?後頸部肥厚(NT)検査について

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染色体異常の可能性がわかる?後頸部肥厚(NT)検査について

妊娠初期の超音波検査で、「後頚部肥厚(NT)かもしれない」という診断を受ける場合があります。これはどのような症状なのでしょうか。赤ちゃんに異常が認められたのでしょうか。実は、NT=病気ではありません。こちらから詳しく説明致します。

NTは病気なのでしょうか

NTとは「nuchal translucency」の略で、「後頸部肥厚」「胎児後頸部浮腫」「胎児頸部透過像」などと言われることもありますが、日本でも「NT」と呼ばれることが一般的です。これは妊娠初期の11〜14週目あたりにおこなう超音波検査の際に測定され、後頸部、いわゆる赤ちゃんの首のうしろあたりにむくみのようなものがみられる症状のことを言います。検査でむくみが見られても、すぐに病気に結び付くものではなく、正常な赤ちゃんでも単なる生理現象として起きている場合も多くあります。なぜならこの頃の胎児はまだまだ循環機能など様々な機能が未熟であるためです。ですから、一度の超音波検査でNTが認められても、その後むくみがとれていることも多くあります。また、検査するときの胎児の向きや姿勢で微妙に測定値が変わるため、たまたまNTと判断される数値が出てしまっただけ、ということもあります。

NTの検査はちょっとしたことでむくんで厚くなっているように見えたり、その厚さによって数値が変わったりしてしまうため、非常に専門的だと言えます。現にトレーニングを積んだNT有資格者として認定されている専門家はまだ日本では多くはいません。NTが認められたとしても早急に判断せず、病気と結び付くものかどうかはさらに胎児ドッグや羊水検査などによって細かくチェックをおこなうことが大切です。

NTが何らかの病気と結び付いているかの判断は、まずはNTの厚さが基準になります。この判断の基準に使われている数値はイギリスのFetal Medicine Foundation(略してFMF)のデータで、日本独自のものではありませんが、人種差はないと考えられており日本でも適用されています。その上で、数値が高いと染色体異常の可能性があるかもしれないと診断されます。しかしこれはあくまでも推定で決定ではありませんし、染色体異常はなかったものの別の疾患が見つかり早期治療に繋げられたという事例もあります。
NTが肥厚していたときに大切なのが、この検査は「確率がわかる」という検査だということです。

染色体異常の確率について、NT肥厚は3.5mm未満では0.5%(1/500)ほどですが、4mmで20%、5mmで30%、6mmだと50%に確率が増加すると報告されています。見方を変えれば、6mmの肥厚でも半分は正常だということです。
そのためNT肥厚が疑われる際もすぐに異常と結びつく訳ではなく、他の検査と総合して判断することがとても大切になります。

NTは病気を決定するものではありません

上記の通り、NTだと診断されても一時的であることが多く、週数が経つにつれ消えていくこともよくあります。また、実はNTとは判断されなくても染色体異常が見られる場合もあります。よってNTについての検査は万能ではありませんし、決定打にはなりません。ですからNT検査は赤ちゃんのその時の状態を知る手がかりの一つであると認識し、NTだというお話しがあっても慌てないようにしましょう。


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