麻酔

2015/11/26

全身麻酔と硬膜外麻酔、無痛分娩で使われるそれぞれの麻酔の違いは?

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全身麻酔と硬膜外麻酔、無痛分娩で使われるそれぞれの麻酔の違いは?

「無痛分娩」というお産の方法をご存知でしょうか? 麻酔を使用して、お産に伴う痛みをやわらげる事ができる出産方法です。しかし一口に無痛分娩と言っても、使用する麻酔によってメリットやデメリットは異なります。痛みの伴うお産に不安のある方は無痛分娩について知り、検討してみるのもいいでしょう。

無痛分娩の方法とメリット

無痛分娩は、麻酔で出産の痛みを和らげる出産方法です。麻酔は全身麻酔と局所麻酔の2種類があります。

・無痛分娩にするメリット
出産時の痛みやストレスを軽減することが出来るため、痛みに不安のある人や極度に緊張する方には選ぶ価値のある出産方法であると言えます。また、麻酔剤を使用することで血圧を下げる効果もあることから、高血圧の方や妊娠中毒症の方にも有効な手段と言えるでしょう。過去に難産の経験をされた方などは陣痛に対する恐怖やトラウマなどがあるかもしれません。そのような方でも無痛分娩を取り入れることでリラックスした状態でお産に挑めるのが最大のメリットになります。

どんな麻酔が使われるの?

・全身麻酔
静脈に注射を打って麻酔を注入し、全身に麻酔をかけます。最近ではどちらかと言えばマイナーな方法です。緊急手術が必要になった場合や、妊婦さんに持病がある場合に使用されることがあります。子宮が収縮する動きを弱める効果があるので、分娩がある程度進んでから使用されます。妊婦さんは麻酔によって意識がもうろうとしたり、完全に意識を失ったりします。その為出産の際にいきむことができず、鉗子や吸引器で赤ちゃんをひっぱって誕生させることが多いです。

また、注射以外にも吸入で麻酔をかける方法もあります。霧状の麻酔を吸い込んで麻酔をかけます。

・局所麻酔
硬膜外麻酔は脊椎知覚の硬膜外という狭い空間に直接麻酔液を注入する方法で、痛みを取り除くだけなので手足を動かすことも出来ます。最近の無痛分娩では局所麻酔が主流になってきています。痛みをやわらげる効果が強いのが特徴です。また、妊婦さんの意識ははっきりしている為、赤ちゃんの産声を聞くことができます。

それぞれの麻酔のメリット、デメリットは?

・全身麻酔のメリット
麻酔をかける準備が簡単な為、緊急の場合などにすぐ処置ができます。

・全身麻酔のデメリット
意識が完全に失うこともあり、嘔吐の可能性があります。そのため施術の10時間以上前から食事がとれません。意識がないのでいきむことができず、吸引分娩になる場合が多いです。また、赤ちゃんの産声を聞くことができないため、産んだ実感がわきづらいとも言われています。さらに、赤ちゃんにも麻酔が効き、眠ったまま生まれることもあります。しかしこれは一時的なものです。

・硬膜外麻酔のメリット
意識ははっきりとしているため、自分でいきんで出産することが可能です。また、赤ちゃんの産声も聞こえますし、カンガルーケアなども行うことができます。経膣分娩に比べて体力を消耗しないため、産後の回復が早いと言われています。

・デメリット
人によっては麻酔の効果で子宮収縮が弱くなり、上手にいきめなくなることもあります。また、痛みがない分、自分でいきむタイミングをはかるのが難しくなります。医師や助産師のなどがタイミングを教えてくれるので、指示にしたがっていきむようにしましょう。後陣痛や会陰切開の痛みは、経膣分娩の妊婦さんと同じように感じます。

この他、共通のデメリットとしては出産費用が高くなることが挙げられます。無痛分娩の処置は保険適用外になるため、5万~10万程度は出産費用に上乗せとなります。さらに、無痛分娩は全ての病院で行えるわけではなく、陣痛促進剤を使用しての出産となることが多いです。

日本では「お腹を痛めて産んでこそ母親」という考えが根強く、まだまだ無痛分娩は定着していません。しかし、無痛分娩を選ぶことで赤ちゃんやママの安全が守られることもあります。メリットやデメリットを理解したうえでより良い選択をしましょう。また、無痛分娩を選んだ際にはお腹を痛めたから母親になるのではなく、育児をしていく中で少しずつ母親になるのだということを意識すると良いでしょう。


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