妊娠中の生活

妊娠中の安静の度合いはどの程度?仕事・家事との両立やストレス解消のためのストレッチ

妊娠中の経過が思わしくなく、何らかの異常があるときには、お医者さんから「安静に」あるいは「絶対安静に」と指示されることがあります。安静にする目的や、安静がどんな状態なのか「わかるようで、実は理解できていない」という妊婦さんは少なくありません。安静指示が出ているときのマタニティライフの過ごし方について紹介します。

医師から自宅安静を言い渡される場合とは?

何らかの原因で妊娠中の体調が不安定で、普段通りの生活がその後の経過に支障をきたすと予測されるときに安静の指示が出ます。理由はさまざまですが、以下のようなケースが代表的です。


切迫流産
22週未満で流産の危険性があり、妊娠の継続が危ぶまれることを「切迫流産」といいます。ほとんどは治療方法がないので経過観察するしかないのですが、子宮内に血の塊ができる絨毛膜下血腫(じゅうもうまっかけっしゅ)という状態になっている場合や、子宮頸管が緩んでいる場合は、安静の指示が出ることもあります。

切迫早産
22週~36週で、まだ産まれるような妊娠週数ではないのにお腹が張るときや、子宮口が短くなったり開いてきたりと、出産が早まって早産になりそうな兆候があるときに、予防のために安静の指示が出ることがあります。

前置胎盤
胎盤が通常の位置よりも子宮の下のほうについていて、赤ちゃんが産まれるときに通る産道を胎盤がふさいでいるような状態です。下からのお産だと大量に出血してしまい赤ちゃんもお母さんも危険ですので、帝王切開での分娩になります。お産が近くない時期でも、子宮収縮が起きると出血してしまうことがあります。そのため、とくに症状がないうちでも安静にするようにいわれます。週数が進んで臨月に近くなってきたころや、お腹が張って痛みがあるときや出血したことがある場合には、自宅での安静ではリスクが高いので入院が必要になります。

安静にしすぎると逆に太る?

これまで普通に生活していた人がじっと安静にしていると、活動量が減って太ってしまうのではないかと 気がかりになるかもしれません。妊娠前までバリバリ活動をして普段からエネルギーの消費が大きかった人が、安静の生活になってからも活動量以上のエネルギー摂取を続けたとすると、必要以上に体重が増えてしまうことは考えられます。ただ、安静は必要なときに言い渡されるので、基本的には安静にしすぎるということはありません。妊娠中は徐々に体重が増えていくのが普通です。適度な増加であれば、それは「太った」ということではありません。安静にしていることで不安な気持ちになるかもしれませんが、ダイエットをするのは危険です。

体重の管理方法

妊娠後にどれくらい体重が増えるのがよいかは、妊娠前の体格によって個人差があります。妊娠初期に受ける妊婦健診のときに、自分にとって適切な体重増加について医師や助産師からお話がありますので、必ず確認しましょう。毎回の妊婦健診で体重を測りますが、できれば家でも体重を定期的に測るとよいでしょう。毎日少しずつ増えているのがわかるようになります 。安静の生活をし始めると、これまでよりも活動量が減ってエネルギー消費が少なくなることが考えられます。すると、これまでよりも速く体重が増えていくことがあるかもしれません。体重の増え方のスピードをゆるめる必要があるかどうかは、その都度、医師や助産師と相談しましょう。

通常の家事の範囲

安静の程度はさまざまですので、必ず医師にも確認をしましょう。たとえば「次の健診までに症状がよくならなければ入院です」というような場合は、危険な状態の一歩手前です。可能な限り安静にしたほうがよいでしょう。入院を免れたり、入院になるのを先延ばしにしたりできるかもしれません。ただし、安静にしていても状態が悪くなってしまうことはあります。そのときには、指示に従って入院するしかありません。「安静にしてください」と初めて言い渡されたとき、どんな場合でも共通するのは「これまでよりも安静に」ということです。今の時点では入院するほどではないけれど、これまでと同じように生活をしていると状態が悪くなってくる可能性があるので、できるかぎり安静にしながら経過をみましょうということです。

では「これまでよりも安静に」生活するポイントを、家事の種類ごとにお伝えしましょう。


買い物
買い物には、お店までの移動、商品を探すための歩行、重い荷物を持つという運動が必要になります。行動範囲が拡がれば、それだけ無理をしがちです。自分では買い物に行かず、家族にお願いしたり、生協の宅配やネットショップ、家事代行サービスを利用したりと対処法を工夫しましょう。どうしても事情があって買い物に行く必要がある場合は、頻繁でなく、歩く距離が少なく、荷物が重くないものであればよいでしょう。

上の子の送り迎え
毎日のことですし、移動のために身体を使います。場合によっては抱っこをしなければいけないこともあるかもしれません。できれば自分以外の人にお願いするか、一緒に来てもらうようにすると安心です。実家の両親などが近くにおらず、家族で対応するのが難しいときには、ママ友に頼んだりファミリーサポートなどを活用したりと選択肢はいろいろあります。自分の住んでいる地域でどんなサポートが受けられるのかわからないときには、母子手帳をもらった窓口へ連絡して情報収集するのもひとつです。上の子が通っている保育園や幼稚園の先生に訊いてみてもよいでしょう。

洗濯
やらずに済むならば人に任せましょう。洗面所で手洗いしたり、洗濯機から洗濯物を取り出したり、干したりするのは意外と身体を使います。「洗濯物をたたむ」くらいなら問題ありません。

立ち仕事
これもやらずに済むなら任せます。食器洗い器に自分の食べ終わった食器を入れるくらいならよいでしょう。それくらい短時間で済むものはよいですが、長時間同じ場所に立っていること、立ちながら手を動かしていること、上の子どものお世話などで短い距離をちょこちょこ歩くことは、安静とはいえません。

料理
任せるものは任せます。家族などに買ってきてもらう、家族に作ってもらう、家事代行サービスを利用して調理してもらう、食事の宅配サービスを利用するなど工夫します。自分でやらなくてはいけない場合にも、立ってまな板作業をする必要のない食材を使ったり、調理も電子レンジで温めるだけのものにしたりするなど、身体を使わなくてもよいようにします。

掃除
誰かに任せましょう。出産が近づいてきて、赤ちゃんを迎える環境を準備するのにどうしても掃除が必要な場合もあるでしょう。そのときは家族や家事代行サービスにお願いしましょう。せっかく赤ちゃんを迎えるため清潔にしても、正期産よりも早く産まれてしまったり、母児ともに危険な状態になったりしては大変です。子育てのための空間を整えることも大切ですが、お腹の中の赤ちゃんとお母さんの身体への影響を再優先に考えましょう。食事のあと、椅子に座ったまま自分の手の届く範囲をさっと拭くくらいは自分でやってもよいでしょう。

座る・立つなどの動作
トイレやシャワー、洗顔、洋服を選んで着替えをする、ベッドや布団への移動など、自分の身の回りのことをするための最低限の動作はよいでしょう。お風呂につかる入浴は負担が大きく、禁止される場合もあります。移動はどうしても必要ですが、食事の配膳や片づけ、何かを取りに部屋の中を移動するなど、お願いできるものはなるべくお願いします。

妊娠中に安静にするためにやってはいけないこと

安静のつもりでやっていることが、実は安静になっていない場合があります。


・水分摂取を控えたりトイレを我慢したりすること
・同じ姿勢で1時間以上過ごすこと
・読書やメールなどのデスクワーク、スマホの利用などで夜更かしをすること
・リラックスのつもりのヨガや温泉
・迷惑をかけないようにと小さな仕事を探してチョコチョコ動くこと

動かなさすぎてストレスが溜まる場合の簡単な運動方法

安静だからといって、同じ姿勢を続けることも身体には負担です。家事や育児など、普段やっていたレベルのことができないことで無力感を感じ、もどかしくてストレスが溜まることもあるかもしれません。心配のしすぎや緊張、ストレスがあると身体は安静になれません。動かないように気を遣うあまり、同じ姿勢が続いたり、無意識に緊張が続いたりしていることもあるでしょう。

緊張した心身をほぐし、リラックスして過ごすことが大事です。
そこで、安静を保ちつつ、力を入れずにできる効果的なストレッチをご紹介しましょう。

ストレッチの紹介

安静にしていることで血行が悪く、身体がだるく感じることがあるでしょう。力をかけずに動かせるところを動かします。


・首を回す、左右に倒す、前後に倒す
・手のひらをグー、パーと繰り返す
・肩に手を乗せて前後に回す
・爪先を遠くに伸ばす、逆に足首を曲げて爪先を自分のほうに向ける、足首を回す
・横向きに寝た状態でよいので、膝の裏に手を当てて膝を胸に引き寄せ、お腹に力がかかない程度に引き寄せたら、膝を少し伸ばして太ももの裏とお尻の筋肉を伸ばす

どれも呼吸を止めずにゆっくりと行います。

こんな症状が出たら要注意

安静にしていても子宮の収縮が続くときや、少量でも破水感や出血、腹痛など何らかのサインがあるときには受診が必要です。活動量が減ることで、これまでよりも便秘になりやすいという人もいるかもしれません。便秘が続くと子宮が収縮しやすくなります。便が硬い、少ない、出しにくい、出ないといったことがあれば相談しましょう。

執筆者:座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師・タッチケアトレーナー。病院産婦人科での勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・育児相談、産後ケアや赤ちゃんタッチをはじめ妊娠・育児講座などに定評があり、精力的に活動中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

2018/12/18

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ