ママサポーターズ(女性の仕事・働き方)

トップの強い意思で女性活躍を推し進める。カルビー×イクシル

近年多くの企業が「女性の活躍」に向けて取り組んでいます。しかし実際にどのような制度があり、また働いているママ社員・女性社員は何を思っているのでしょうか?「ママサポーターズ」ではそのような疑問を解消すべく、女性の活躍において先進的な取り組みをしている企業とその従業員の声をご紹介をします。

【今回の取材企業】
カルビー株式会社
人事総務本部人事総務部ダイバーシティ担当の宮島志津子(みやじま しずこ)さん (写真左)
カルビー株式会社
コーポレートコミュニケーション本部広報部広報課の幕内理恵(まくうち りえ)さん (写真右)
【インタビュアー】
イクシル編集部 薮大毅

今回は昨年「なでしこ銘柄企業」「ダイバーシティ経営企業100選」にダブル選出されたカルビー株式会社のダイバーシティ担当者様と子育てしながら働く女性従業員様にインタビューしました。2009年の松本晃氏の会長就任以来、劇的に女性活躍を推し進めてきました。誰もがよく知るカルビー株式会社ですが、その変革に迫ります。

従業員の半数が女性!!

薮:現在はどのくらいの女性の方々が働かれているのでしょうか?

宮島:現在従業員はおおよそ3500人で、その内の約半数が女性です。食品という業界は元々女性の割合が多い傾向の業界ですので、取り組みを強化する前から他業界よりも多いというのはありましたね。

トップの強い意志により始まった変革

薮:もともと女性が多く働かれているのに加え、さらに女性活躍推進を積極的に取り組まれているのにはどういった背景があるのですか?

宮島:もともとカルビーの従業員の男女比率はほぼ半々だったのですが、2009年に松本が会長として就任した時は管理職比率は5.9%しかありませんでした。「女性が半分いるにも関わらず、管理職比率が5.9%というのはかなり低い。女性活躍をしていかなければカルビーの未来はない。」という松本の考えの下、2010年にダイバーシティ委員会を設立して活動を開始しました。グローバル企業では多くの女性が活躍している現状がありますので、我々の5.9%という数字は非常に低かったという認識です。グローバル企業の経験のある松本の強力な意志がカルビーに変化をもたらしました。

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薮:「2030」企業を目指されているとのことですが?

宮島:「2030」とは、「2020年までに女性管理職比率を30%以上に」という政府の施策ですが、カルビーは2020年までに女性管理職比率を30%以上にすることを掲げています。しかも、1番に達成することを目標にしています。
2015年4月時点の女性管理職比率は19.8%ですので、残りの5年間で約10%上昇するよう取り組んでいきます。

Not 「ワーク・ライフ・バランス」 but 「ライフ・ワーク・バランス」 誰もが安心して働ける環境が大切。

薮:2009年から2015年までの6年間で約15%も上昇しているんですね!変革の勢いが素晴らしいです…この大きな変化の背景にはどのような施策を行っておられるのですか?

宮島:女性管理職候補者を対象とした「キャリア研修」など女性活躍支援を中心とした取り組みを行ってきました。その他にも、出産、育児、介護などのライフイベントが活躍の妨げにならないよう支援する制度をいくつか導入しています。不妊治療にかかった費用の一部を会社が負担するといった制度もあります。

薮:不妊治療にかかった費用を負担するのは珍しい取り組みだと思うのですが、どう言ったお考えの下での取り組みなのかお聞かせいただけますか?

宮島:会社にとって、従業員が安心して働ける、ライフイベントにぶつかっても自分の力を発揮し続けられる環境が整備されていることは重要であると考えています。ですので、出産などのライフイベントで能力が十分に発揮できないといった状況にならないように、会社としても出来る限りサポートしていこうと考えています。不妊治療支援や出産お祝い金は、そういった考えの下で行っております。不妊に関しては、それに加え、今の日本では非常に大きな問題となっていると思いますので、支えていかなければいけないと考えています。

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薮:妊娠・出産・育児というライフイベントをワークと切り離して考えるのではなく、ライフのサポートも行っていこうと考えておられるのですね!

宮島:カルビーは「ワーク・ライフ・バランス」という言い方はしておらず、「ライフ・ワーク・バランス」と言っています。ここにも「ライフ」を尊重するという意思が表れていますが、「ライフ」を会社が支援することで「ワーク」でも力が発揮できるようにしていこうという考えです。

仕事においても「つながり」が大切!アネゴネットワークとは?

薮:女性のキャリア支援に関してはどのような取り組みをされているのですか?

宮島:特徴的なものとしては、「アネゴネットワーク」という女性管理職の交流の場を定期的に設けています。アネゴネットワークは女性管理職のネットワーク強化、学びの場、成長の場とすることを目的としております。女性は男性に比べ、横のつながりを重視する傾向があり、お互いに共感し合いながら成長していく側面もあります。そういう特性を踏まえて、社内においても横のつながりを強めていくことで、お互いに支えあい、成長していくことにつながり、より多くの魅力的な管理職が生まれていくのではないかと考えています。
また、メンター制度も設けています。新任管理職一人ひとりに「斜め上」の執行役員がメンターとしてつき、対話による気づきを促しながら、管理職としての自発的な成長を支援しています。

薮:「斜め上」ということですが、上司ではないのですか?

宮島:はい。直属の上司ではないです。直属の上司だからこそ言いにくいことも多いと思いますので、敢えて直接関わっていない執行役員がメンターにつくことで、気軽に相談ができ、不安や悩みを解消させ、仕事の意欲を高める効果もあります。薮さんも直属の上司には言いにくいことありませんか?

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薮:はい!ありますね!(笑)直属の上司以外と話すことのできる機会は非常に貴重ですね。それも、執行役員の方々が直接メンターに就かれるのですね。

宮島:はい。執行役員の間でも女性活躍推進に取り組んでいくという共通理解も広まっています。社内のウェブサイト上では、執行役員自身が女性活躍推進に取り組む意思表明をしています。トップや上層部が積極的に推進を宣言してくれていると、働く女性としても非常に心強いです。

薮:社内のwebサイトや社内広報においても女性活躍推進について充実されているのですか?

幕内:はい。すごく充実しています。社内のwebサイトでは全国の支店・工場の女性活躍の情報を見ることができます。その他にもwebサイト内で、社内の女性の働き方を特集する企画なども行っております。また、毎年11月は社内のダイバーシティ推進月間と定め、全社的に取り組みを推し進めています。

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「仕事はフォローするよ!」その一言が出る風土。

薮:実際にママとしてカルビーで働かれている幕内さんですが、仕事と育児を両立していく上でどういった苦労がありましたか?

幕内:今2歳と5歳の2人の男の子の母親です。長男を出産して約1年で復帰したのですが、復帰後は10時から4時の時短勤務で働いていました。その間、長男が肺炎により入院してしまうことがあり、子供の急な体調の変化で仕事を休まなければならないということが苦労しました。

薮:子供の体調の変化は苦労されますね。その際どういったことが支えになりましたか?

幕内:職場の仲間や家族の協力が非常に支えになりました。また、社内制度としては、在宅勤務を利用させていただくこともあります。昨年度より週2回在宅勤務が可能となったため、在宅勤務を利用しながら両立を図っています。先ほどもありましたが、会社のトップが女性の活躍を明言し推進しているため、職場においても非常に理解が得やすく、働きやすい環境であることは心強く感じています。例えば、子供が病気でどうしても出勤できない時でも、「仕事は私たちがフォローするから、看病がんばって!」とチームの理解が得やすく助かっています。また、管理職を含め周りに子育てをしながら仕事をしている人が非常に多いので、その点でも理解が得やすい環境かなと思います。

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薮:非常に理解の得やすい風土や環境が整っていた点が重要だったのですね。

幕内:そうですね。周りの理解があったからこそ両立ができていると思います。時短勤務をすることに私自身、引け目を感じることもあるので、周りの理解が得やすい環境というのは、心強いです。
 他に苦労した点としては、初めて産休を取った際に、復帰後はきちんと仕事ができるのかと非常に不安でした。ただ、弊社の場合、産休中や育休中にノートPCを借りることができるので、時間があるときに会社の動きを見ることができ、社内の情報も知ることができました。また、3ヶ月に1回、上司と面談ができるので、その場で会社の情報や自身の状況について話す機会が設けられていたのはありがたかったです。

薮:上司との面談では他にどのようなことをお話しされるのですか?

幕内:例えば、復帰後のキャリアの話もします。「復帰したらこういう仕事をお願いしようと考えているけど、どう思う?」や、「どういう働き方ができそう?」などと上司が聞いてくださいました。なので、復帰後すぐにフルで仕事をしなければいけないという感じではなく、育児との両立の慣れを考慮してもらった上で仕事を始めることができました。

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ママは強い。やってみることが大切!トップや会社は風土づくりを!

薮:世の中において女性が活躍していくためにカルビーのどういった点が参考になると思われますか?

幕内:制度もそうですが、トップの存在が大きいです。トップが非常に強い意志を持ってダイバーシティを推し進めているというのは、女性としても働きやすい風土が育っていくきっかけとなりますし、逆に自分も頑張っていかなければと思わせられます。

薮:やはりトップの存在は大きいですね!最後に世の中の女性に向けてアドバイス等いただけますか?

幕内:私自身四苦八苦していますので、アドバイスなどとても言えないのですが、育児しながら働いている女性というのは、非常に時間が制約されるからこそ、時間の使い方がうまいと思います。ですので、仕事においても効率性を活かしてまずはやってみることが大切かと思います。あとは、常に最悪の場合を頭に入れておくことで、どんな場合にも対処できるようにしておくことも大切だと思います。例えば、子供が熱を出した場合を考えて仕事を引き継げるようにしておくとか。また、男性の場合も今後介護や育児に時間を制約される世の中となっていくことが考えられますので、女性だけの問題ではなく皆で協力してより良い世の中を作っていく必要があるかと思います。

宮島:働きたいと思った女性はとりあえず働いてみる、そして経験や体験を積みながら考えていけばいいと思います。常に悩みながら前に進むことでたくさんの気づきもあると思うので。そして、社内のダイバーシティ推進に携わる者としては、会社はやはり活躍したいと思っている人を支えていく努力をしていかないといけないと思っています。制度だけでなく、同じ会社に勤める仲間としても、支え合える風土づくりや、支え合うつながりを作っていくことが大切だと思います。

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薮:カルビーの中だけにとどまらず、世の中の女性が支え合っているつながりを実感でき、みんなが働いているから私も働けるんじゃないか、そう思える世の中を実現していきたいですよね。本日はお忙しい中ありがとうございました。

編集後記

トップの松本会長による大々的な変革とその勢いが感じられるインタビューでした。働く女性としても会社のトップがこれほどまでも女性の働く環境を支援してくれているのは、非常に安心感があるようです。社内風土としても、縦横のつながりを重視した取り組みが行われており、支え合える文化・共に分かち合う文化が根付いていると感じられました。

今後の日本ではカルビー株式会社のような「トップの変革」と同時に、「つながる文化」が大切になってくるのではないでしょうか?そして、働くことに不安を感じているママは、「一度やってみる」そして「苦しいことは周りに相談する」ことが大切なのではないでしょうか。

(インタビュアー、編集:イクシル編集部 薮大毅)


2016/04/18

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この記事の監修/執筆

イクシル編集部