ママサポーターズ(女性の仕事・働き方)

2016/04/21

「スライドワーク」で柔軟な働き方を選択できる職場に。NTTドコモ×イクシル

この記事の監修/執筆

イクシル編集部

「スライドワーク」で柔軟な働き方を選択できる職場に。NTTドコモ×イクシル

近年多くの企業が「女性の活躍推進」に向けて様々な施策に取り組んでいます。しかし実際にどのような制度があり、また働いているママ社員・女性社員はどのような悩みや不安、疑問を持っているのかあまり知られていないのではないでしょうか?「ママサポーターズ」ではそのような疑問を解消してゆくべく、女性の活躍推進について先進的な取り組みをしている企業とその利用者の声についてご紹介をしていきます。

【今回の取材企業】
株式会社NTTドコモ
ダイバーシティ推進室 室住 篤子(むろずみ あつこ)さん (写真左)
監査部 森 都江(もり くにえ)さん(写真右)
【インタビュアー】
イクシル編集部 福井菜緒

今回の株式会社NTTドコモのインタビューでは、スライドワークという勤務時間帯を調整することのできる制度を中心にお聞きしてきました。スライドワークとは「育児をしながら働く社員に対し、子どもの託児所等への送迎等を理由とした個人単位での始業・終業時刻の繰上げ・繰下げが可能(介護も含む)」となる制度のことです。勤務時間帯を前倒し、後ろ倒しと調整しながらフルタイム勤務をすることができます。実際に制度を利用されている社員の森さんのお話も交えながらママの生活に大きな変化をもたらすこの制度についてご紹介していきます!

全員で「ダイバーシティ」を理解する。ボトムアップで意識改革!

福井:御社ではこれまでにどのように女性活躍推進をすすめてこられたのでしょうか?

室住: ダイバーシティ推進室が2006年に発足してまず取り組んだのは、ダイバーシティの定着に向けた制度の理解と認知向上です。このような取り組みから始めた理由は、「ダイバーシティが何故必要か」という基本的な理解が社員全体にまだまだ浸透していなかったからです。

その後、「ワーク・ライフ・バランス」の推進活動、社員の意識改革、と進めていき、現在はダイバーシティの基本的理解が浸透しつつある中、ようやくトップからのメッセージ配信も積極的に取り組みを始めました。社長からのメッセージ発信に始まり、副社長、その後全国の支社長。続いてグループ会社の社長という形で毎月ダイバーシティに関する考え方や取り組みの発信を行っています。

真っ先にトップダウンでメッセージ発信をすることを避け、先に社員の理解浸透、意識改革を進めたことで、その後の幹部メッセージの内容がすんなり社員の中に落ちたのではないかと思っています。

また、社員一人ひとりが、企業の力となる創造力、モチベーション向上につながるよう、社内外の講師をお招きし、いろいろな立場の社員が聴講できる機会として「ダイバーシティ・フォーラム」も年間20回近く開催しました。

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女性活躍という観点ではWin-d活動(※)というものを早期に立ち上げており、個々の能力を最大限に発揮することに加え、女性社員のキャリアアップを支援する体制を整えています。「ロールモデルとしてキャリアを意識する」と同時に、「若手社員へのキャリア意識醸成の働きがけ」、「女性役員登用に向けた施策」等トータルサポートを意識して取り組んでいます。

以上のように「女性活躍推進」、「ダイバーシティ意識醸成と働き方改革」、「両立支援」、「制度の多様化」という4本の柱でダイバーシティを推進してきました。

(※)Win-d(Women’s innovative network in docomo)女性役職者キャリアアッププログラム

スライドワークで一人ひとりに合う柔軟な働き方を

福井:ポテンシャルをフルに活かす場を作るということですね。色々な取り組みをされていますが、重要視されている施策はありますか?

室住:NTTドコモの施策には4つの柱があり、重要なのは1つではないと思っています。ただ、人材育成の取り組みはなかなか数字で測れないなか、スライドワークという取り組みは結果が数字で表れています。スライドワークとは通常9時30分〜18時の勤務形態を9時〜17時30分、10時30分~19時というように時間帯を前倒し、後ろ倒しすることでフルタイムで働きながら活躍できる制度となっています。

今までは短時間勤務で復職する社員が大半を占めていました。その中には、フルタイム勤務をしたいが保育園等のお迎えの時間が物理的に間に合わないため、仕方なく短時間勤務をしている社員もたくさんいて。

これまでは、短時間勤務者に対して育児の大変さも踏まえた上でフルタイムに戻すメリットや方法等を伝えるセミナーも行っていましたが、参加者の意見の大半は「研修の内容はわかるけれども物理的制約からやっぱり現時点ではフルタイム勤務には戻せない」というもので、フルタイム勤務への移行施策としてはあまりうまくいったとは言えませんでした。そんな中、物理的制約を取り払う方法として検討を重ね、推し進めてきた施策が今回のスライドワークなのです。

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2015年4月に導入をして最初の半年はトライアル実施期間でしたが、利用者がどんどん増え、10月からは本格導入となりました。現在ではドコモグループ全体で200名以上の社員が利用をし、100名以上の短時間勤務社員がフルタイム勤務に移行しました。本施策は男女共に、短時間勤務の人だけでなくフルタイム勤務の社員、本格導入からは介護中の社員も利用できる制度となっています。運用で柔軟に対応したことで、時間あたりの生産性が高い育児中、介護中の社員がフルタイム勤務をし、更なる成果をあげることができていることは非常に良かったと思っています。

福井:現在の男性の育休取得者はどの程度いるのでしょうか?

室住:昨年度までは育休を取得している男性はほとんどいませんでした。

今年度は男性の育児参画にも力を入れたことにより、1~2ヶ月単位での育休を取得する男性社員が出てきています。

男女関わらず、育休を取ることによって日々の生活におけるタイムマネジメントや言葉の通じない子どもとのコミュニケーションから、自然とそれらのスキルを身につけることができたり、地域との関わりによって広い視野や考え方、新しい視点を取り入れることができるというメリットがありますし、育休を取得した社員が管理者になった時に、自分の経験を職場でのマネジメントに活かすことができるというメリットもあります。これらのメリットは今後もしっかりと職場に発信していかなければならないと考えています。

実は育休を取りたい!パパが集まるランチ会

福井:男性の育児参加においてどのような取り組みを行っていますか?

室住:育休をとる男性社員を囲んだランチ会を行いました。女性の場合は育休を取っている人は周りにたくさんいるので情報収集がしやすいですが、男性が育休をとるのはかつて女性が初めて育休を取り出した時と同じで相当な覚悟が必要ですし、情報もあまりありません。なので今年度は、育休を取ることの上司・チームへの伝え方やその時の反応、仕事の引き継ぎ方法、育休期間中の収入など、男性が育休を取得する上で知りたい情報を、これから育休を取ろうと考えている、または育休に興味がある男性社員に向けてランチ会という形で発信をしました。 実は今回同席している森さんが参加しているダイバーシティ推進WGメンバーで企画をし、実施したのです。ランチの時間ということもあり、想定していた人数より多い30名程度の男性社員が参加しました。

福井:潜在層がかなりいるということですね!

森:ざっくばらんに話が出来る、ということをアピールしたら多くの社員が集まってくれました。

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室住:日時を限定してのランチ会だったので、参加したくても来れなかった社員もいたようなので、また今年度も開催をしたいと思っています。

福井:女性には育休について話し合う場が多くありそうというイメージがありますが、男性にとってそういう場は貴重ですね。

室住:そうですね。ランチ会に来た男性社員も、自分以外にも意外と育休に興味がある男性社員がいることが分かって良かったのではないかと思っています。

「あと30分早ければ…」フルタイム分働けるから仕事も育児も充実する

福井:室住さん制度のご説明をありがとうございました。それでは森さんの方から制度を利用して特に良かった、ここが良かったなという点があれば教えていただければ幸いです。

森:ドコモの短時間勤務は4時間、5時間,6時間から選択できます。最初復帰したときは4時間から始めました。

福井:ということは10時に来たら、15時に帰るということですね…!

森:そうですね。笑 ですが最初は毎日遅れず出社することがとても大事だと思っていましたのではじめの一歩が4時間勤務から選択できるということがNTTグループの制度の素晴しいところだと思っています。わたしの子どもは年子で大変だったので会社に復帰するために、まずはハードルが低いところから始めようと考えました。

その後6時間勤務まで勤務時間を延ばしましたが、6時間勤務だと9時半出社、16時半退社なので、19時前にご飯をたべさせ、21時には寝かせられるので、働いていても母親としての罪悪感があまりなくて済みましたね。

4時間勤務から5時間勤務にして、難しかったら4時間勤務に戻すなど短時間勤務の4,5,6時間の間で行き来できるのは助かります。でも一旦短時間勤務からフルタイム勤務にしたらそこから短時間勤務には戻せないのです。なので6時間勤務からフルタイム勤務への移行はとてもハードルが高いですね。

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フルタイムの場合、1日のスケジュールが全て遅くなるので不安でしたが、4月からスライドワークを導入してもらえました。スライドワークであれば一番早くて7時~15時半という勤務時間になります。これは少し極端な例だとしても、30分早く帰るだけで例えば電車の混み具合も違いますし、早く保育園のお迎えに行ける。閉園時間にも間に合う。この30分って朝の30分と一緒ですごく貴重なんです。勤務時間を9時〜17時半にすることで30分早く帰れるのだったらフルタイムにしよう、という気持ちになり、この制度が導入されたと同時にフルタイムにしました。

アウトプットはしっかり出していても、フルタイムで働いていない、という見られ方から開放されましたし、ようやく同じ土俵に立つことができていると感じます。仕事においてもパフォーマンスが示せるし、育児においても延長保育にならない、子供との時間が持てる、というところがとても良い制度だと感じています。

早く家を出るようになれば、保育園への送りだけでなく準備や支度なども含め旦那さんに任せる必要が出てくるので必然的に旦那さんが成長します。うちでも朝ごはんの準備は旦那さんがしています。夫婦の間で、制度を利用する前に役割分担を決めました。

福井:きっとママが頑張っているので、パパである自分も頑張ろうと思えるのですね。

森:強制的ですね。笑 もうママがその場からいなくなってしまうので。

発信の輪を広げていく

福井:仕事と育児の両立に悩んでいる女性に対してマインドセットなどあれば教えてください。

森:一人で抱え込まずに発信することが大事だと思います。発信先はまず旦那さん、次に上司やダイバーシティ推進室の方に人それぞれが持っている悩みを共有することで解決の糸口を探ることができると思います。

福井:実際に発信されたりもしたのですか?

森:発信しまくりました。笑 ダイバーシティ推進室とは産休前面談、復職後面談があるので、そこでコミュニケーションを取っていました。

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ライフキャリアプランを立てて、計画性のある仕事と育児を

福井:今後仕事と育児を両立する社員に対してメッセージを頂ければ幸いです。

室住:2年目の社員に対してはライフとキャリアのプランをしっかり立てながら仕事を進めることを研修を通して伝えています。2年目社員は結婚、出産を経験していない社員が大半ですので、独身であるときからライフを踏まえたキャリアプランを意識しておくことが重要だと思います。

そこから数年後の4年目女性社員、5年目女性社員というライフイベントにかかる年代にもそれぞれ取り組みを行っており、全体の底上げを図っています。

仕事と子育ての両立は大変ですが、WILLをもって自分のキャリアをつくっていきましょう!

編集後記

「何故ダイバーシティが必要なのか」、「何故今、女性活躍推進なのか」、「何故スライドワークが多くの人を支える制度なのか」という疑問に向き合う株式会社NTTドコモダイバーシティ推進室の姿勢に、多くの社員が納得感と安心感を得ているのではないでしょうか。今回のお話では15分、30分の違いが仕事と育児の両立に劇的な変化を生むことが分かり、個々人のニーズに合った細やかな対応の必要性を感じました。 (インタビュアー、編集:イクシル編集部 福井)


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