安静期間

産後からだが動くのはいつから?安静にすべき期間と注意点

産後1カ月は安静に、とはよくいわれますが、諸事情によりなかなかそういかないことも。夫の実家への里帰り出産を控え、寝てばかりもいられず、産後何日くらいから家事を手伝えるのかという悩みに対し、専門家の皆さんはなんと答えているでしょうか。

プレママからの相談:「産後の肥立ちの期間について」

現在32週、35週頃までに里帰り予定です。「産後1カ月は安静にしていた方がよい」とよく聞くのですが、ほかの方の体験談など見ると1カ月も安静にしていないように見受けられます。里帰り先が主人の実家なので、あまり寝てばかりだと申し訳ないかなと思い、なるべく家事などを手伝いたいです。自分の体調次第だとは思うのですが、最低何日安静にしていたらよいという目安はあるのでしょうか。(20代・女性)

「床上げ」の1カ月にはそれなりの理由があります

出産による身体へのダメージは大きく、無理に動くと骨盤や子宮の戻りに悪影響を及ぼす危険があります。

産後のお母さんの身体は、思った以上にダメージを受けています。また、子宮の戻りに加え、母乳の分泌と、身体の中で復古と進化が同時に起こる時期です。この時期に無理をすると、産褥熱をだしたり、子宮の戻りが悪く、悪露が増えたりします。(産科看護師)
昔から「床上げ」という言葉があります。これは産後1カ月は布団を敷きっぱなしにしてできるだけ寝ていましょう、という意味です。その一番の目的は赤ちゃんが生まれてくるときに骨盤が大きく開き、不安定になっているため、骨盤が元の状態に戻るまでの間は安静にした方がよいという考え方です。骨盤が大きく開いている時期に起きている時間が長いとその部分に腸などの内臓が収まって、骨盤が元の形に戻らなくなってしまいます。(内科医師)

産後3週を目安に軽い家事をはじめましょう

気を使う環境とはいえ無理は禁物。夫に協力してもらい、体調を第一に考えて休めるようにしてもらいましょう。家事の手伝いは3週目くらいからが目安です。

ご主人の実家で産むということですので色々と気を使うかもしれませんが、起き上がっている時間は連続で1時間を目安に、赤ちゃんのリズムを中心に生活しましょう。その中で手伝えることがあれば手伝い、時々は体調がすぐれないのでと断って休ませてもらいましょう。可能であれば、ご主人にお願いしてもらい、布団を敷きっぱなしにして常に休める部屋を1つ確保してもらうとお互い楽だと思います。(内科医師)
体調次第といっても、これくらいなら大丈夫という考えはよくありませんし、安静といっても、寝たきりになるわけではありません。あくまでも無理せず、疲れたらすぐに横になってください。ご主人の実家で気を使うと思いますが、産後3週目くらいから、軽い家事を始めることを目安にしてください。(産科看護師)

出産による身体へのダメージは想像以上です。産後無理をすると、骨盤や子宮の戻りに悪影響を及ぼします。産後3週間くらいから軽い家事を目安とし、夫の協力を得てきちんと休める環境を作ってもらいましょう。

帝王切開した場合はいつから動ける?

帝王切開した場合の体へのダメージ

帝王切開した場合、次のような身体へのダメージ、影響が見られる可能性があります。

1.筋肉への影響
帝王切開を受けると、腹部周辺の筋肉が切開によるダメージを受けるだけでなく、腹部周辺の筋力低下を受け、拮抗筋にあたる背中の筋肉とのバランスが崩れやすくなります。この筋肉のバランスの乱れは、猫背や反り腰などに繋がり、腰痛や肩こりなどの症状を引き起こす要因となります。

2.内臓への影響
帝王切開は、子宮そのものだけでなく、周辺の臓器にも大きなダメージやストレスを与えます。帝王切開後に見られる内臓への悪影響には、以下のようなものがあります。


●ストレスによる内臓の冷えや緊張
帝王切開によるストレスを受けた内臓は、緊張をして硬く冷えやすくなる傾向にあります。その結果、内臓が正常な働きを行うことができず、血流の悪化、切開部分の再生遅延、出血が継続するなど、様々な悪影響を引き起こす要因となります。

●癒着胎盤
帝王切開による子宮の切開部分が正常に再生されなかった場合、子宮内膜組織に手術痕ができるケースがあります。帝王切開後に再度妊娠した時、この手術痕近くに受精卵が着床し、胎盤が手術痕へ侵入し、子宮からはがれなくなる問題が起きる危険性があります。この状態を癒着胎盤と呼びます。
3.骨盤の歪み
産後の骨盤の歪みは、赤ちゃんが産道を通ることで引き起こされると考えられがちです。しかし、骨盤の歪みは妊娠中のホルモン(リラキシン)の影響によって関節や靱帯がゆるむことによるもののため、帝王切開であっても起こりえます。
さらに、帝王切開を行うと、腹壁、腹膜、筋膜、子宮筋等を切開することになるため、骨盤周辺の筋肉の負担が大きくなり、骨盤が歪む要因が増すことも考えられます。

動き始めてもいい時期

帝王切開は開腹手術のため、術後はしばらく寝たきりになるというイメージを抱きがちです。しかし、帝王切開では大量出血などの問題がない限り、術後1日目から起き上がり歩行訓練などを行うのが一般的です。これは、血栓防止や心身の回復促進のための措置となります。
なお、帝王切開翌日の動き始めは、基本的に次のような流れとなります。


①寝返りが打てるようになった時点で、上体を起こすことを試みる
②支えなしで座位を保持する
③めまいなどが起きないことを確認し、ゆっくりと立ち上がる
④手すりなどにつかまりながら歩行する

帝王切開後に身体を動かすことは、子宮を含む内臓の回復や便秘、血栓の予防のために必要なことです。しかし、身体を動かすことが、転倒によるケガや産褥熱などの体調不良の引き金になるのもまた事実です。動く際は自己判断で無理をしないよう心がけ、必ず医療スタッフの誘導や指示に従うようにしましょう。

動く際の注意点

帝王切開後は、身体を動かすことで傷口や腹部の治癒を早め、痛みを緩和する作用を期待できます。しかし、治癒や回復を焦るあまり、めまいや過度の疲労を感じるような身体の動かし方をするのは逆効果です。 身体を動かす時は無理なくゆっくりとした動作を心がけ、ふらつきや疲れが出た場合は、速やかに動きを止めて休憩することを心がけましょう。また、医療スタッフに相談して産後エクササイズを指導してもらうなど、専門家に動きに関するアドバイスを受けることも大切です。

入院中は安静にした方がいい?

入院中のあまり動かない方がいい?

帝王切開後の入院中は、医師や医療スタッフの指示による歩行訓練や屈伸運動、ストレッチなど以外の動きは控え、傷の治癒と心身の回復のため安静にすることが大切です。 術後、適度に身体を動かすことで心身の回復促進や痛みの緩和、血栓や便秘などの予防ができることは確かです。しかし、身体と心を十分に休め、傷の回復に努めることは何よりも優先順位が高いことを忘れないようにしましょう。

動くとしたら、どれぐらいの運動にとどめるべき?

入院中の運動は、帝王切開の縫合跡や子宮を含めた内臓、腹部周辺の筋肉に負担をかけない程度に留めることが大切です。
入院中は、手足の屈伸運動や足首の曲げ伸ばし、肛門の引き締め、病院内の歩行など、身体をねじる必要の無い動作を無理なく行うことをおすすめします。なお、産褥体操は帝王切開の傷に負担をかける可能性があるため、入院中は行わない方が良いでしょう。

本格的に出かけられるのはいつから?

帝王切開の場合も、自然分娩同様産褥期(産後6~8週間程度)は、可能な限り家の中でゆっくりと過ごすことが推奨されています。これは、産褥期に十分な休養、療養をしなかった場合、傷の治りが遅くなる、体調不良が続く、マタニティブルーや産後うつになるなど、様々な悪影響がでる恐れがあるためです。
とはいえ、2ヵ月も自宅に閉じ籠もって静養するのは、ストレス面で好ましくないのもまた事実です。そのため、できるだけ早く外出したいと考える場合は、まず担当医に相談し、許可をもらうことが大切となります。
本格的におでかけできる時期の一般的な目安は、産後1ヶ月目の検診です。検診でママの身体がしっかり回復していること、赤ちゃんが元気に育っていることが確認できれば、問題なく外出許可が下りるはずです。

動いている時に痛みが出た場合の対処法とは?

帝王切開後に身体を動かし痛みが襲ってきた場合は、がまんをせず、速やかに担当医の診察を受けることが大切です。
「医師に相談すると投薬されるから……」と、薬に頼りたくないあまり、痛みを我慢する方も少なくありません。しかし、心身への負担を考えると、薬で痛みを緩和する方がメリットが大きいことも事実です。
痛みを和らげる対処法には、痛み止めの服用を基本として、次のようなものがあります。

1、痛み止めの服用

帝王切開後は、授乳に影響がない痛み止めを処方してもらえます。痛みが強く出る場合は、まず処方された痛み止めを服用し様子を見ましょう。
なお、退院後に痛みが強く出た場合、自己判断で市販の鎮痛剤、鎮静剤を服用するのはNGです。必ず医師に相談の上、市販薬の使用許可をもらう、痛み止めを新たに処方してもらうといった対処を行いましょう。

2、座薬の使用

痛みがひどく、一刻も早く痛みを緩和したい時は座薬の使用が効果的です。座薬も担当医に処方されたものを用いるのが原則となりますが、医師の許可があれば市販薬の使用もOKです。

3、テーピングによる傷跡の保護

傷口をテーピングでほどすることによって、服や下着による摩擦を防いだり、傷口を固定したりすることができるため、痛みを緩和する効果が期待できます。傷跡のテーピング方法は病院で指導を受けられるので、入院中に保護の仕方を習得しておくことをおすすめします。

4、腹帯を装着する

開腹手術の際に必要となる腹帯は、装着することで腹部を固定することができるため、帝王切開後の痛みを緩和する効果が期待できます。ただし、傷の位置や回復具合などによって適する巻き方が違ってくるため、事前に装着方法について担当医に指導を受けておく方が良いでしょう。


2018/10/14

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