妊娠糖尿病

2016/05/17

妊娠糖尿病によるリスクと原因、予防・治療法

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妊娠糖尿病によるリスクと原因、予防・治療法

「妊娠糖尿病」といってもあまり聞いたことがない、という方がほとんどではないでしょうか。いったい妊娠糖尿病とはどんなもので、どんなリスクがあるのでしょうか。今回は、妊娠糖尿病の原因や治療法、予防法などについてご説明いたします。

妊娠糖尿病とは?どんなリスクがあるの?

 妊娠糖尿病とは、妊娠中にはじめて発症、発見された軽度の糖代謝異常のことです。妊娠する前から糖尿病だった場合は、「糖尿病合併妊娠」と呼ばれ異なります。妊娠糖尿病は、糖尿病合併妊娠の場合を除いて妊婦さんのおよそ10%が発症しています。

 妊娠糖尿病では、さまざまな合併症をともなうリスクが高くなるので注意が必要です。母体側の合併症としては、妊娠高血圧症候群、羊水過多、神経障害、肩甲難産、網膜症、腎症など。胎児側では、流産、形態の異常、巨大児、心臓肥大、低血糖、多血症、電解質異常、黄疸、胎児死亡などがあげられます。

 合併症の一つである巨大児での出産となると、帝王切開率も上がり肩甲難産を引き起こす要因ともなってしまいます。肩甲難産とは赤ちゃんの肩部分がつかえてなかなか出られなくなることです。そのため、赤ちゃんの骨折や腕神経麻痺、母体では産道裂傷や弛緩出血などが起こるリスクもともなうことになります。

妊娠糖尿病になる原因と予防法

 妊娠するとホルモンバランスが変化するため体にさまざまな影響が現れますが、妊娠糖尿病になる原因にもホルモンが大きく関係しています。

 食物が消化されると、血液の中にブドウ糖が吸収されていきますが、そのブドウ糖をエネルギーに変えるため、全身の細胞に行き渡らせる働きを持つのがインスリンです。しかし、妊娠中に胎盤で作られるホルモンがインスリンの働きを抑制することから、血糖値が上がってしまいます。健康時には自然にインスリンの分泌も増え血糖値を調節しているのですが、分泌量が不足してしまうと妊娠糖尿病の原因になります。

 妊娠糖尿病の予防でもっとも大切なのは、「食生活」と「運動」です。当然のことですが、食生活では必要な栄養素をバランスよく摂ることが重要になります。また、妊娠中は激しい運動は制限されますから、ウォーキングやマタニティスポーツなどで適度に体を動かすとよいでしょう。

妊娠糖尿病の診断と治療方法

 妊娠初期に随時血糖値の検査結果が高かった場合、さらにブドウ糖負荷試験での診断を受けることになります。妊娠中期にはインスリンの働きが抑えられるため、再度検査が必要です。また、糖尿病の家族歴や肥満、高年齢、巨大児の分娩歴などがある場合には、妊娠糖尿病にかかる可能性も高くなりますので、妊娠前にも検査を受けておくことをおすすめします。

 通常、妊娠糖尿病では経口血糖降下薬は使用せず、食事療法による治療を行います。食事療法とは1日に必要なカロリーや栄養素をバランスよく摂取することや、食事の回数を増やして急な血糖値の上昇を防ぐなどの方法です。運動療法については、合併症によっては症状を悪化させる可能性もあるので、必ず医師の指示に従いましょう。それでも改善がみられない場合や血糖値がかなり高い場合には、インスリン療法による治療が必要になります。インスリン療法は赤ちゃんに影響を与えないため、妊娠中に適した治療法といえます。

 赤ちゃん、母体ともに合併症も多い妊娠糖尿病。さまざまなリスクを防ぐためにも、妊娠中やできれば妊娠前から、食事や適度な運動に気を配っておくことが大切です。また、発症する可能性が高いとされる肥満や高年齢などの場合には、妊娠予定がある段階での検査も忘れずにしておきましょう。


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