胸の張り

母乳育児中おっぱいが張るのが辛い!和らげるよい方法は?

出産を終えて育児が始まると、今度は産後の身体の変化に戸惑うことでしょう。なかでも乳房の悩みは多く寄せられます。なかでも「おっぱいが張る」という状態は、不快でつらい思いをする方が多いものです。考えられる原因や対処法を紹介します。

おっぱいの張りを放置した場合のトラブル

乳房の張りを放置しておくのはトラブルの元です。乳腺炎につながる心配があります。乳腺炎は、産後の疲れや寝不足も相まってあっという間に悪くなってしまうことがあります。ひどい場合には、乳房の炎症が強くて膿ができてしまい、切開をしなければいけないような大変な状況にもなってしまいます。乳房の張りを感じるときには、その都度ケアをしていくようにしましょう。
つらいようならば、助産院でマッサージを受けるのもよいでしょう。桶谷式などの訓練を受けた助産師がマッサージをしてくれます。

おっぱいが張る原因

乳房の張りの多くは、お母さんの身体でつくられる母乳量に対して赤ちゃんの飲む量が少なすぎるときに起こりやすくなります。つまり、とくに母乳育児が軌道に乗っていない新生児期などに、赤ちゃんがおっぱいを十分に飲みとれていないことが原因になっていることが多いのです。「おっぱいの張りを感じている」というお母さんとその赤ちゃんには、次のような授乳習慣や状況がよくみられます。


・2~3時間ごとなど間隔を決めて授乳している
・赤ちゃんのペースではなく、一回の授乳時間を5分、10分などと決めている
・赤ちゃんが泣いてから慌てて授乳をし始めていることが多い
・赤ちゃんが大きく口を開けて飲むのがまだ苦手
・授乳時の赤ちゃんとお母さんの身体が互いにフィットせず姿勢に無理がある
・お母さんがすごく疲れていたり寝不足だったりする
・赤ちゃんが眠りがちであまり母乳を欲しがらない
・哺乳瓶で飲むほうが上手に飲めているように感じる
・いつも同じ方向で飲ませている
・乳房がブラジャーで圧迫されている
・急な断乳をした

上記のようなときに、乳房内に乳汁が溜まったままになってしまうことで、張りによる不快を感じることが多いのです。

片方のおっぱいだけ張る場合

乳房の大きさや形はぴったり左右対称というわけではなく、母乳が出る量や勢いも左右で違いを感じることはよくあることです。産後すぐは、まだ開通していない乳腺もあるため、その部分に張りや痛みが出ることがあります。また、授乳をするときに抱っこしやすいほうと抱きづらいほうがあると感じていることもあります。抱きやすいほうは、お互いにお腹がくっついて安心でき、赤ちゃんもしっくりくるので落ち着いて飲むことができます。また、ラグビーボールを抱くように横抱きにすると張っている乳腺から母乳が出ることもあります。
抱きづらいほうは赤ちゃん自身も吸いつきづらく、飲みとるのが難しくなっていることがあります。また、つい飲ませやすい側のおっぱいを最初に飲ませていることで、張り方に左右差が出てくることもあります。

張る時と張らない時の違いは?

夜中に寝返りをするだけで、おっぱいに激痛を感じてつらかったという話を聞いたことがあります。このように、張りやすい時間帯があると感じている人もいます。身体の仕組みとして、夜中は母乳の産生に関わるプロラクチンというホルモンの分泌量が多いので、夜にたくさん母乳が作られるという特徴があります。また、夕方に頻繁におっぱいを飲むという赤ちゃんが多いですが、乳房内の乳汁がなくなると新たに母乳が産生されます。夕方に飲みきって、夜にたくさん作られるということを繰り返していると考えられます。
また赤ちゃんが乳首を吸うことが刺激となって、オキシトシンというホルモンが分泌されます。別名幸せホルモンと呼ばれているもので、オキシトシンが出ることで穏やかな気持ちになります。赤ちゃんへの愛情を感じることができて、またおっぱいが張ってくるというよい循環になります。

おっぱいの張りはいつまで続く?

乳房が張る最初のピークは出産後の数日間にあります。この時期に張りを感じるかどうかは個人差がありますが、この時期に張りがつらい場合には、母乳があまり出ていなくても数日間こまめに授乳を続けているとおさまってきます。その後は、産後1週目くらいから徐々に需要と供給のバランスがとれて落ち着いてきます。この頃は、乳房にある乳汁が外に出た分だけ新たに産生されますので、搾る量が多ければ多いほどおっぱいの張りが長引きます。おっぱいの張りがつらいと感じてから落ち着いてくるまでの目安は、1週間くらいです。毎日のことなので、張りによるつらさがよくならないときには、産院や助産院などにある母乳外来などに相談しましょう。

おっぱいが張った時に起こる症状

おっぱいが張ると一口に言っても症状はさまざまです。乳房に張りがあるときにみられるそれぞれの症状の特徴とその原因についてみていきましょう。


しこりっぽくなる場合
張りを感じるときに指の腹や手のひらで乳房全体を触ってみると、一部が硬くしこりになっていることがあります。これには痛みも伴います。痛みがあるということは、炎症を起こしている乳腺炎によるしこりです。また、授乳のときに乳首に激痛があるようなときには、乳頭に白斑というものができ母乳の出口が一部ふさがれていることが原因でしこりっぽくなることがあります。

張って熱を持っている場合
乳房が熱をもつこともあります。産後数日から1週間くらいの軽い張りと熱をもつ感じは、母乳が作りだされるときの生理的な変化が原因です。ただし、授乳をする回数が少なかったり、生後すぐで赤ちゃんが上手に吸えないことが続いたりすると、不快感が増してきて生理的な変化の限度を越してしまいます。

母乳が出ない場合
出産のとき胎盤が出終わると、妊娠中には抑制されていたプロラクチンという母乳をつくるホルモンが一気に分泌してきます。乳房には初乳だけでなく血液やリンパ液も充満してきます。このとき授乳が効果的に行われていないと、それが原因で乳房が張ってきます。あまりに乳房がパンパンに張るので乳首も伸びが悪く扁平気味になり、赤ちゃんが吸っているようでも乳汁が外に出ていかないことが続きます。そのままだと、乳管という母乳の通り道に詰まりができてしまいます。

頭痛やかゆみ、チクチクした不快感がある場合
乳腺炎にまでなってしまうと、全身に症状が出ることがあります。頭痛があるときは高熱が出ている可能性があります。乳管の詰まりに引き続いて、乳房に感染を起こしているタイプの乳腺炎では、38.5℃以上もの発熱があります。風邪症状がないので発熱しているとは気づかないこともあるでしょう。また、産後数日の場合には、乳房内に乳汁や血液やリンパ液が充満してむくんでいる様な状態で肌も引き伸ばされるので、乾燥しているとチクチクしたりかゆみを感じたりすることもあります。あまりにもパンパンに張るので寝返りすら痛いということもあり、肩が凝ったり頭が重く頭痛がしたりすることもあります。

搾乳する際のポイント

産後すぐでこれから母乳が作られようとしているときの乳房の張りに対しては、授乳の前に搾乳のような手技で乳頭から乳輪にかけて優しく圧迫をしてほぐします。このとき、あまり母乳が出ないからといって、1mlでも多く搾りとろうと頑張ってしまうと後から炎症を起こしたりすることもあります。産後すぐで乳汁が滞っているような状況のときは、両方ともこまめに少しずつほぐしていくことをメインに搾乳をしましょう。
だんだんと母乳が分泌してきても、赤ちゃんが直接吸うことができないときには搾乳をする必要があります。そのときにも、張りや痛みの感覚を確認しながら優しくおこないます。人差し指と中指の腹に、親指の指の腹を向かい合わせて乳輪の辺りを圧迫します。皮膚の上で指を滑らせてしごくようなやり方はよくありません。赤ちゃんがチュチュチュと吸うようなリズムで行うのがポイントです。搾ったものは冷凍しておいて、必要なときに解凍して哺乳瓶であげるという方法もあります。捨ててしまってもよい場合には、お風呂で身体が温まったときなどにさっと搾るのもよいでしょう。ただし、おっぱいが楽になるまで搾るのはよくないので、少し感じがよくなればそれで終わりにしましょう。

食事でおっぱいの張りを和らげる方法

授乳期間中は油っぽいものやカロリーの高いものを食べるとおっぱいが詰まるのではないかと心配する声をよく耳にします。食事とおっぱいの張りには医学的な関係は認められていません。食べ物が直接的に張りを和らげるわけではありませんので、特別な食事の制限をしなくても大丈夫です。ただし、産前や産後に関わらず普段から風邪を予防し、体調を整えるのに食生活を気にすることはとても大切です。

おすすめの食事・食材

身体は正直ですので、疲れているときにはこってりした重たい献立よりも、さっぱりしているもの、温かいもの、食べやすく消化によいものを欲します。また、和食が身体によいといわれるのは、主食、主菜、副菜のバランスがとりやすいことや、温かい汁物や不足しがちな食物繊維、ミネラル豊富な野菜や魚を使ったメニューが多く、良質なたんぱく質である大豆など豆類の料理も多いからです。赤ちゃんのお世話で忙しい産後ですから、野菜や豆や肉など具のたっぷり入った温かい汁物などは栄養のバランスもとりやすく、手軽なのでおすすめです。和食しか食べてはいけないということでもないですので、コンソメなど洋風の味付けにするのも問題ありません。

子育てで授乳時の悩みはとても大きく、赤ちゃんの成長のためにと必死になり、心配で仕方なくなってしまうこともあるでしょう。おっぱいの張りは不快で気持ちが折れそうになることもあるかもしれません。病院にいるあいだは助産師さんがおっぱいの様子を一緒にみてくれますが、退院後に不安な場合は産院や産婦人科、助産院などに母乳外来もあります。赤ちゃんの体重が増えない、ミルクとの混合にしたほうがよいのか迷っている、といった悩みにも対応してくれるでしょう。自分の判断だけで対処しようとせず、症状を悪化させないよう早めに相談するようにしましょう。

執筆者:座波 朝香(ざは・あさか)
助産師・保健師・看護師・タッチケアトレーナー。病院産婦人科での勤務を経て、株式会社 とらうべ 社員。妊娠・育児相談、産後ケアや赤ちゃんタッチをはじめ妊娠・育児講座などに定評があり、精力的に活動中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

2018/12/17

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ