陣痛

妊娠40週で陣痛がこない!原因と自然な陣痛を導くための対策

出産予定日が近い妊婦さんは「今日は陣痛が来なかったけど、明日来るかもしれない」「何か異常があるのでは」などと不安な気持ちで毎日を過ごしているかもしれません。そこで陣痛について解説するとともに、陣痛が来ない場合の処置などについて説明します。

〇陣痛の種類
出産に向けて母子の準備ができていよいよ出産のタイミングとなると、お腹の赤ちゃんを外に出すために、お母さんの子宮が規則的に収縮し始めます。この規則的に起こる子宮の収縮が「陣痛」です。
お産が進むと陣痛も次第に強くなり、子宮口が開くとともに陣痛の間隔も短くなります。専門的には、痛みを伴う状態を「陣痛発作」、陣痛発作が来てから次の陣痛発作が来るまでの間を「陣痛間欠」といい、これらが規則的にくり返されるものを「本陣痛」といいます。
一般的には、陣痛発作が10分以内に規則的にくり返されている状態、あるいは1時間に6回以上陣痛発作がみられると、分娩の始まりと考えられます。
一方、下腹部を中心に痛みを感じるものの、痛みの間隔が不規則だったり、強さも強かったり弱かったりしてやがて消えてしまうことがあり、これを「前駆陣痛」といいます。痛みの種類も、キュッとした痛みだったり、生理痛のような痛みだったりと、個人差があるようです。本陣痛ではないことから「偽陣痛」などと呼ばれることもありますが、お産と関係がないわけではなく、出産準備のひとつです。ですから決して無理はせず、体調の変化を気にしながら、出産の兆候の一つである出血などがないかもみていきましょう。

〇陣痛が来る時期
出産予定日とは、最後の月経開始日を0週0日として計算したときに妊娠40週0日にあたる、出産の目安となる日のことです。妊娠37週目から41週目までのお産を「正期産」といい、これよりも早い妊娠22週目から妊娠36週6日までのお産を「早産」、そして正期産を超過した妊娠42週目以降のお産を「過期産」といいます。厚生労働省の人口動態統計(平成30年)によると、2016年では正期産が9割を超えています。陣痛も妊娠37週~妊娠41週頃に来る確率が高いと考えられるでしょう。
一方で、お産の準備である前駆陣痛は、本陣痛よりも早い妊娠36週頃から増えてくるといわれています。ただし、本陣痛や前駆陣痛の時期は人によって違います。妊娠週数に関係なく、腹痛や腰の痛みが続く、出血がある、おりものの様子が異なるなど、自分で違和感を覚える場合は、産院の先生に相談しましょう。

陣痛促進剤が使用されるケースとは?

妊娠36週目になると、エコー検査や内診が行われ、子宮内の状態や赤ちゃんの心拍数なども確認されます。その際に「時間がかかりそうね」などといわれると、大丈夫かと気になって陣痛促進剤のことなども調べるかもしれません。では、陣痛促進剤とはどのようなときに使われるのでしょうか。
日本産科婦人科学会のガイドライン(2017年)によると、医学的に陣痛促進剤の使用が検討されるケースとして、胎児側に要因がある場合と母体側に要因がある場合があります。


〇胎児側の要因の一例
・絨毛膜羊膜炎にかかっている場合
・胎児発育不全
・糖尿病合併妊娠
・赤ちゃんの体重が4000gを超える巨大児など

〇母体側の要因の一例
・陣痛が始まったのに分娩が進まない微弱陣痛
・陣痛が始まる前に破水してしまう前期破水
・妊娠高血圧症候群など

母子の命に危険があり、必要な状況であると判断された場合にも陣痛促進剤が使用されます。
また、出産予定日を超過するケースも同様です。妊娠41週目に入ると、医師が母子の状態を診て、自然に陣痛が来るのを待つか、陣痛促進剤などを使って分娩を誘発するか判断をします。それでもお産が始まらずに妊娠42週目に突入すると、さまざまなリスクがあることを理由に、陣痛促進剤などを使用する分娩誘発が考慮されます。

分娩を促進する方法

分娩を促進する方法は、薬物だけではありません。


○バルーン
バルーンとは、子宮口を開かせるために使用する医療器具のことを指します。文字通り風船状のものを使用しますが、最初はしぼんだバルーンを子宮腔内に入れ、中に徐々に滅菌水を入れて子宮口を広がらせます。
陣痛がなかなか起こってこない場合や陣痛が弱いときに使用します。

○ラミナリア
ラミナリアとは乾燥した海藻のことをいいます。子宮頸管に入れて、頸管が分泌液によって膨らんできて徐々に子宮口を開かせる方法です。

○ダイラパン
目的や使用法はラミナリアと同じですが、親水性ポリマーが水分を吸って拡張していきます。

これらを使用しても陣痛がこなかったり弱かったりしてお産が進まない場合は、胎児の状態などから医師が判断し、緊急帝王切開として手術になることもあります。

出産予定日を超過した場合

出産予定日を超えるということは、それだけ赤ちゃんがお腹の中で大きく成長している可能性が高くなるということです。大きくなりすぎると、分娩自体にも影響を来します。
分娩の際に赤ちゃんが損傷を受け、骨折や麻痺などが起こったり、「胎便吸引症候群」になったりする危険性も増します。胎便吸引症候群とは、赤ちゃんの便(胎便)やそれが混ざった羊水を胎児が肺に吸い込んでしまい、産後に呼吸障害が起こるものです。胎盤の機能が弱まり、へその緒から供給される酸素量が低下して赤ちゃんにストレスがかかることなどが原因です。
胎便吸引症候群は、生まれたときに胎便が羊水に混ざっていたり、レントゲン検査などをしたりすることで確認されます。さらに、死産や新生児の死亡などのリスクも高くなります。このほか産後の出血が止まらないなど、母体にも影響を及ぼします。
こうしたリスクを避けるために、妊娠42週目に入る前から、陣痛促進剤の使用などが検討されるのです。ただし、陣痛促進剤はある程度まで子宮口が開いてから使われるため、お母さんも赤ちゃんも元気であれば自然な陣痛が来るのを待つこともあります。

経産婦でも陣痛が来ない場合がある

実際、分娩にかかる時間の平均は、初産婦だと10~12時間、経産婦だと6~8時間です。もちろん分娩の進み具合には個人差がありますから、これよりも長くかかることもありますし、短いこともあります。
しかし、あまりにも時間がかかりすぎると母子のリスクが増えることから、医療的な処置が必要になることが多いといわれています。とくに10分間隔の陣痛が始まってから初産婦で30時間以内、経産婦で15時間以内に分娩しないものを「遷延分娩(せんえんぶんべん)」といいます。いわゆる難産のことです。
遷延分娩になると、分娩の三要素である「娩出力(べんしゅつりょく)・産道・娩出物(べんしゅつぶつ)」に問題がないかが検討されます。
娩出力とは、赤ちゃんを押し出す力のことで、陣痛や腹圧のことを指します。微弱陣痛が続くと、お産が進まず時間がかかってしまいます。また、産道とは骨盤や子宮頚管のことを、娩出物は赤ちゃんや胎盤のことで、これらに問題がある場合もお産が進みません。
遷延分娩のケースでは、まずはお母さんの体力を回復させるために、口からあるいは点滴を用いて水分補給や栄養補給を行う、睡眠をとるなどします。それでも陣痛が強くならない場合には、陣痛促進剤の使用や人工的に破水させる人工破膜などが行われます。また、お産がある程度経過してから止まってしまった場合には、赤ちゃんの頭の位置などをチェックしながら、吸引分娩、鉗子(かんし)分娩、帝王切開などの対応が選択されます。

陣痛を促すために運動は必要?

ウォーキングや階段の上り下り、スクワットなどをすると陣痛が促されるという話を聞いたことがあるかもしれません。「雑巾がけをするとよい」などともよくいわれていました。
このような運動をすることで、胎児によって物理的に子宮の神経が圧迫され、子宮壁が刺激されて陣痛が誘発されるという説もありますが、具体的に運動がどのように影響しているかは、まだ明らかになっていません。
それよりも、運動をすることで心身がリラックスし、お産に臨めるという意味合いで勧められることのほうが多いかもしれません。ですから、陣痛を来させようと必死で運動するよりも、運動不足にならない程度に、ゆったりした気持ちで好きな運動を生活に取り入れるほうがよいでしょう。
ただし、切迫早産など経過にトラブルがあって、運動をしてはいけない人もいます。運動をする場合は病院での診察時に医師や助産師に確認をし、頻度や時間、やり方についても指示に従いましょう。また、このときに注意点も確認しておき、運動中にお腹の張りなどの症状がある場合には中止しましょう。
巷では、陣痛を誘発するのに効果的なおすすめの食べ物としてさまざまな物が紹介されているようですが、これらはあくまで経験者の体験談であったり、ジンクスのようなものだったりします。結局のところ、大事なことは栄養バランスのとれた食事をしっかり摂ることです。とくに塩分の摂り過ぎはむくみの原因にもなるので、一日の摂取量を意識してみましょう。

陣痛が来なくてイライラ…ストレスの解消法

ストレスは無事に健康な赤ちゃんを生むためにも良いものではありません。ですから、安産のためにも、陣痛が来ないことに過敏になるより、残り少ないマタニティライフを楽しむようにしましょう。居心地のよい部屋で十分な睡眠をとり、胎動を感じながら安心できる音楽を聴いたり、趣味に勤しんだりするのもよいですね。また、家族と一緒に温かい食べ物や飲み物をいただきながら、ゆったり過ごすのもよいでしょう。ただし、カフェインの摂りすぎには注意してください。
出産して育児が始まると、家事に赤ちゃんのお世話が加わる大変な生活が待っています。ゆったりする時間を持つことも難しくなりますから、赤ちゃんの誕生を迎える環境を整えながら、最後のマタニティライフを楽しんで過ごしてくださいね。

執筆者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

参考文献
医学専門ジャーナル・書籍の電子配信サービス
初産・経産婦における妊娠週数と周産期リスクの関係
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会 産婦人科診療ガイドライン 産科編2017
我が国の人口動態平成30年 厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)
産婦人科 松原医院 ホームページ
山陽新聞 さんデジ レディアホームドクター
産科医療まるわかりガイド
高畑香織 日本助産学会誌 分娩前7日間に妊婦が行った陣痛発来への取り組み


2019/03/10

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ