妊娠超初期と下痢 

実は妊娠超初期の症状?下痢や出血が起こる理由とは

生理予定日の頃に出血や下痢があったら、それは妊娠の兆候である場合もあるかもしれません。妊娠によって下痢や出血が起こる理由と、病気の可能性があって注意が必要な場合について知っておきましょう。下痢や出血があった場合の対処法についてもご紹介します。

そもそも妊娠超初期って?

妊娠の成立
日本では、妊娠週数は最終月経の開始日を「0周0日」としてカウントします。たとえば月経周期が28日の人の場合、妊娠0週目は月経中で、1週目の終わりから2週目頃にかけて排卵・受精の時期となります。このときうまく受精した場合は、3週目頃になると子宮内の壁(子宮内膜)に受精卵が着床して妊娠が成立します。

妊娠初期と妊娠超初期
妊娠2ヶ月以降(4~5週目)になると検査で妊娠の判定ができるようになります。本人も「生理が来ない」ムカムカする」といった症状を自覚するようになります。この妊娠2~4ヶ月(4週~15週)までを「妊娠初期」と呼んでいます。
中には、4週より前に何らかのサインによって「もしかして妊娠?」と感じる人もいます。そこで、妊娠0週から4週までを「妊娠超初期」と呼んでいます。妊娠成立後は、妊娠を継続するためにhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されます。妊娠4~5週以降の時期になると、その分泌量が増えて尿にも排出されるので、市販の妊娠検査薬などでも確認することができるようになってきます。その意味で「妊娠超初期」は、市販薬などによって検査できるかどうかが微妙な時期ともいえるでしょう。

妊娠超初期~妊娠初期に起こる主な症状

妊娠初期になると、つわりをはじめ下腹部痛やお腹の張りなどさまざまな症状が起こってきますが、中には超初期から同様の兆候を感じ始める人もいます。おもな初期症状は次のようなものです。

出血
生理予定日頃に少量の出血があると、受精卵が子宮内に着床したときに起こる「着床出血」の可能性があります。妊娠超初期に起こるので「生理が早まったのかな?」と思う人もいるようです。ただし、出血量や出血期間には個人差があり、ごく少量でほとんど気づかない程度の人もいますし、全くない人もいます。他の病気が隠れていて不正出血をしている場合もあるので、産婦人科医の診断を受けるのがおすすめです。

基礎体温の変化
エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンの働きによって、基礎体温は変化しています。生理中はエストロゲンの影響で低温期に、排卵後は黄体ホルモンのプロゲステロンによる影響で高温期になります。通常だとこの高温期が2週間ほど続いてプロゲステロンの分泌が低下し、体温も低下しますが、妊娠すると高温期が続きます。

微熱・だるさ・眠気など
妊娠後数ヶ月は、プロゲステロンが分泌し続けることで高温期が継続するので、微熱っぽい、だるい、頭痛がするといった症状が起こる場合があります。風邪と間違えられることもあるようです。また、それに加えて異様な眠気を感じる人も少なくありません。

腰痛
妊娠後にはリラキシンというホルモンが分泌され、出産を助けるために関節などがゆるんで、赤ちゃんが骨盤を通りやすくなります。しかし関節がゆるんだ結果、筋肉がこれをカバーしようと緊張するため、腰に痛みや違和感を覚える人もいます。

おりものの変化
排卵期はエストロゲンの影響で比較的透明でさらっとしたおりものが出ます。ところが妊娠すると、エストロゲンとプロゲステロンの両方が分泌するので、白色から透明でさらっとした感じに変化したり、おりものが減ったりといった人もいます。また着床出血の血液が混ざって茶褐色やピンク色のおりものが出る場合もあります。ただし、おりものの量や色の変化で妊娠を判断することは難しいでしょう。

食欲不振・吐き気・胸やけ
個人差は大きいものの、食欲がなくなったり気持ち悪くなったり、吐き気に襲われたり嘔吐したりと、消化器症状を経験する人は多くいます。このほか、下痢や便秘がちになったり、腹痛やお腹が張ったりするなど、胃腸に不調が起こる場合もあります。においに敏感になる人も少なくありません。妊娠16週を過ぎる頃には症状も治まってくるといわれますが、仕事や育児のストレスや、環境の影響などもあるので、その後も症状が続く妊婦さんもいます。症状の重いものは「妊娠悪阻(にんしんおそ)」といって治療が必要になります。

同時に腹痛が起きた場合は?

下痢と腹痛の原因
妊娠初期に下痢があり、なおかつ腹痛もあった場合を考えてみると、お腹の冷えがあります。つわりなどで口をさっぱりするために冷たいものを多く摂っていると、腹痛を伴った下痢を起こす可能性があります。また妊娠する前には何でもなかった、たとえば果物やヨーグルトなどの食品でも腹痛を伴う下痢を起こす可能性があります。
強い腹痛とともに嘔吐などがあれば、それはウイルス性胃腸炎や食中毒の可能性もあります。すぐに受診しましょう。

出血と腹痛の原因
お腹が痛くて出血をしている場合に考えられることの一番は、切迫流産(流産の危険性がある状態)です。以下にも述べるように、腹痛と出血が長く続く場合は、流産になる可能性があります。速やかに産婦人科で診察を受けて、正常な妊娠かどうかを確認してもらいましょう。

下痢や出血は流産には関係ない?

下痢と流産の関係
妊娠するとさまざまな原因で下痢を起こしやすくなります。下痢をすると流産になるというわけではありませんが、下痢が続くと脱水などの心配が出てきて、それによって妊婦や胎児にも負担がかかって悪影響があり、流産につながる恐れがあります。

下痢が続く原因


・ホルモンバランスの乱れ
妊娠するとホルモンバランスが大きく変化しますし、自律神経も乱れるので排泄機能に悪影響を与え、下痢を招いてしまいます。また、プロゲステロンが腸の運動を抑制するため、腸内の水分バランスが不安定になって便秘や下痢を引き起こします。

・食事の偏りや冷え
人によってはつわりで食べられるものが偏ってしまうこともあります。身体を冷やすような食べ物しか食べられない場合は、それによって気分がよくなったりつわりの症状が改善したりする一方で、お腹が冷えて下痢が起こることもあります。

下痢への対処法
妊娠中は体内のプロゲステロンの影響で、胃腸機能が低下しがちになります。
下痢の予防の方法としては、食べ物は脂っこいものや生ものは避け、おかゆや温かい飲み物、食物繊維の豊富な野菜などを摂って、胃腸に優しい食生活を意識しましょう。冷たい飲み物はお腹が冷えますから、一気に飲まずに少しずつ飲むといった工夫が必要です。冷えは赤ちゃんにとっても大敵ですから、腹巻や靴下などで身体を温めることが大切です。
下痢になってしまったときは脱水になりがちです。対策としては、水分が不足しないようにこまめに水分補給をし、ミネラルなどの栄養分も摂取するようにしましょう。
なお、長時間にわたって水様性の下痢が続く場合は、ウイルスによる感染症を起こしている可能性もあります。基本的に、妊娠中は処方できる薬が普段とは違いますので、市販薬を飲む前に産婦人科医に相談してみると安心でしょう。

出血の場合
初期に出血するとまず流産を心配しますね。流産の可能性があるのは、鮮血が3日以上続いている、妊娠12週を過ぎているのに出血しているなどの場合です。

出血の原因


・絨毛膜下血腫(じゅうもうまくかけっしゅ)
妊娠5週頃から起こる切迫流産の症状の一つです。出血や下腹部の痛みや張りがあったら、動き回ったりして無理をしないようにし、安静にしましょう。血腫(血液の塊)が大きくなるようなら、運動はもちろん日常生活にも制限がかかり、入院となる場合があります。
でも、症状が悪化せずにそのまま治まれば赤ちゃんへの影響はありませんし、胎盤が完成する妊娠5か月頃までには治まると言われます。血腫があったとしても妊婦健診時に胎児の心拍が確認できていれば、ほとんどの場合、胎児は問題なく順調に成長していきます。

・月経様出血(着床出血)
妊娠4週頃に月経のような出血が起こります。月経時と比べて出血量は少なく3日ほどで治まるのが特徴です。

・子宮膣部びらん
子宮の入口がただれている状態。

・子宮頚管ポリープ
子宮頚部にできる良性のポリープ。

以上はあまり心配しなくても大丈夫な出血ですが、以下のような場合には一刻を争う状態になる場合もありますから要注意です。


・胞状奇胎(ほうじょうきたい)
胎盤の元となる絨毛が病的に増殖して赤ちゃんを吸収してしまう病気で、500人に1人程度の割合で発症する異常妊娠です。不正出血とともに、妊娠悪祖症状が強く出ます。病院でなるべく早く子宮内膜除去術を行って治療しますが、2回行う必要のある場合もあります。

・異所性妊娠(子宮外妊娠)
受精卵が子宮外に着床してしまうことを意味します。そのうちの98%が卵管に着床するといいます。そのまま放置しておくと卵管が破裂する可能性があり、大量出血や激痛などのショック症状に陥り、命にかかわるような危険な状態になることもあります。
とくに、出血が多量で腹部に痛みを伴う場合には、自分で判断せず、すぐに産婦人科に連絡をして受診したほうがよいでしょう。

出血したときの対処法
出血したらまずは横になって安静にしましょう。安静にしても出血が止まらないという場合は、産婦人科を受診しましょう。ただし、妊娠初期の出血に効く薬はありません。

また、出血が全くなくても流産することもあります。稽留流産(けいりゅうりゅうざん)といって、妊娠6~7週に起こりやすく、一度は確認された胎児が子宮の中で死亡したまま留まっている状態です。自覚症状がないのが特徴で、原因の多くは染色体異常や先天性異常によるものです。週数によりますが、自然に排出されるのを待つか、子宮内除去術を行う場合もあります。

執筆者:南部 洋子(なんぶ・ようこ)
助産師・看護師・タッチケアトレーナー。株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での勤務を経て、とらうべ 社設立。医療職が企業人として女性の一生に寄り添うことを旨とし、30年にわたって各種サービスを展開中。

監修者:株式会社 とらうべ
助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士などの医療職や専門家が在籍し、医師とも提携。医療や健康、妊娠・出産・育児や女性の身体についての記事執筆や、医療監修によって情報の信頼性を確認・検証するサービスを提供。

2018/12/29

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この記事の監修/執筆

保健・衛生・妊娠・育児コンサルタント株式会社とらうべ