ADHDなどの先天性遺伝の子がいる場合、次に生まれる子へのリスクも高くなるのでしょうか。今回はADHDの子どものママで、排卵誘発剤のクロミッドを服用中という38歳の女性からの相談です。専門家たちのアドバイスはどうでしょうか。
ママからの相談:「連れ子同士の再婚…それぞれADHDの子あり」
13歳と10歳の子がいます。昨年再婚同士で結婚し妊活中ですが、昔より体重が20kg増、排卵がないのでクロミッドを服用しています。身体を温めたりサプリメントも摂っていますが、妊娠にリスクはあるでしょうか?1人目は未熟児でADHD、2人目は生後1日保育器に入り、いまは元気ですが、3人目も未熟児や先天性異常にならないかと不安になります。夫にもADHDの子が2人いるので、私達の子どもはADHDかなと思っています。(30代・女性)
先天性による遺伝について
遺伝による要素の高いADHDは次の子どもにも遺伝する可能性はありますが、もちろん全員に当てはまるわけではありません。
体重20kgの増加はそれなりの体型であると想像しますし、40歳前の高齢出産ということも重なり妊娠による高血圧や糖尿病のリスクもさらに高くなるため注意が必要です。また卵子もそれなりに老化しているためダウン症などの先天性異常、染色体異常の赤ちゃんになる確率も高くなっているのが通説です。(一般内科看護師)
ADHDは遺伝的要素もありますので、もしかしたら次に生まれてくる赤ちゃんもADHDである可能性は否定できません。また卵子も老化しているので、可能性はさらに高くなるかもしれません。しかしこれはあくまで可能性の話ですので、必ずADHDの赤ちゃんが生まれるということではありません。(一般内科看護師)
はっきりした遺伝の根拠はありませんが、ADHDが家族内にいらっしゃれば、いない家族にくらべ確率は若干、高くなるといわれています。しかし、無事に元気な赤ちゃんを出産した方もたくさんいますから、今後の妊娠計画はご主人や産科の主治医とよく相談して決めてください。(産科・婦人科医師)
妊婦の年齢によるリスクの確率
妊婦の年齢が上がるにつれ、妊娠や出産のリスクが高くなることは念頭に置いたほうがよいかもしれません。
日本産科婦人科学会の定義によると、35歳以上の出産を高齢出産といい、妊婦側や胎児側のリスクが高まるといわれています。例えばダウン症の発症率は20代では1000人に1人以下、30代で1000人に2~3人、40代では1000人中10人と急激に確率が高まります。(産科・婦人科医師)
妊娠高血圧症候群などの合併症は、35歳以上で約15~20%、45歳以上では約30%が起こしやすくなり、流産や早産のリスクも高まります。 (産科・婦人科医師)
高齢出産によるリスクや、先天性遺伝のリスクがあることはデータでも証明されていますが、必ずしもそうなるとは限りません。今後の妊娠に関しては、ご家族や主治医とよく相談されることをお勧めします。