骨盤腹膜炎

2016/10/28

悪化すると内臓の癒着が起こる骨盤腹膜炎の診断と治療法

この記事の監修/執筆

産婦人科専門医/女医プラス今井 愛

悪化すると内臓の癒着が起こる骨盤腹膜炎の診断と治療法

骨盤腹膜炎はクラミジアや淋菌に感染することで発症するため、性行為の際にはコンドームを装着することが大切です。今回は、悪化すると内臓の癒着が起こる骨盤腹膜炎の診断と治療法について解説します。

骨盤腹膜炎の検査

妊娠可能年齢の女性が下腹部痛や原因不明の異常な分泌物などの症状を訴えた場合、骨盤腹膜炎を疑います。細菌感染時には膣分泌物に白血球が含まれるため、白血球が含まれていない場合は他の病気を疑います。また、骨盤腹膜炎の原因であるクラミジアや、淋菌の感染の有無を確認します。検査としては、経腟超音波検査や経腹超音波検査、血液検査(炎症反応)などを行います。

骨盤腹膜炎の治療

淋菌感染が原因の骨盤腹膜炎では、耐性菌の存在により内服薬では完治しない場合があります。そのため、早期に抗生物質の点滴をすることが望ましいです。また、診断する前に治療を開始することがあります。診断の結果、淋菌以外が原因だと判明した場合は抗生物質を変更します。

入院を必要とする場合

次のような場合は治療に入院が必要です。

(1)48時間以内に症状が軽快しない場合
(2)重症の骨盤腹膜炎
(3)妊娠が疑われる場合
(4)膿瘍がある場合

入院中は抗生物質を静脈投与し、それでも膿瘍が消失しない場合は膿を排出する処置が必要になることがあります。皮膚を小さく切開して、超音波検査やCT検査などで注射針の位置を確認しながら切開部から注射針を膿瘍に挿入します。基本的には手術(腹腔鏡や開腹手術)となります。

癒着する前に治療を開始することが大切

骨盤腹膜炎が悪化すると、骨盤内にある直腸や膀胱などの臓器が癒着する恐れがあります。一度癒着してしまうと、元の状態に戻すことはできません。癒着を起こす前に治療を開始することが大切です。また、骨盤腹膜炎を起こす前に卵管炎を発症していることが多く、卵管が癒着すると子宮外妊娠や不妊を招きます。そのため、卵管炎を起こす前に治療を開始することが望ましいです。下腹部痛や不正出血、性交時痛などの症状が現れることがありますが、どの症状も軽いことが多いため見逃してしまいやすいです。

まとめ

骨盤腹膜炎が悪化すると骨盤の内部の臓器が癒着し、元の状態に戻らなくなることがあります。また、卵管炎を起こすと子宮外妊娠や不妊を招きます。骨盤腹膜炎を発症する前の段階で炎症を食い止めるために、下腹部痛や不正出血などの症状が現れた場合は必ず検査を受けましょう。


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