稽留流産

流産したことに気づかない「稽留流産」の原因と兆候

お腹のなかに新しい命が宿るということは、ママにとってはとても嬉しいことですよね。しかし、なかには無事に生まれることができず、流産により亡くなってしまうというケースもあります。元気な我が子の姿を見ることができず、その悲しみはとても大きいことでしょう。

この、しばしば起こってしまう流産は防ぐことができるのでしょうか?また、流産したことに気づかない、ということもあるのでしょうか?この記事では、流産や流産したことに気づかないといわれる「稽留流産(けいりゅうりゅうざん)」について解説します。

流産にはさまざまなタイプがある

ママのお腹のなかで赤ちゃんが亡くなってしまう流産ですが、同じ流産でもいろいろな状態があります。お腹のなかの赤ちゃんが、胎盤と共に完全に子宮の外へ流れ出てしまうことを「完全流産」一部分が子宮に残ってしまうことを「不全流産」といいます。

そして、赤ちゃんが子宮内で亡くなり、子宮内に赤ちゃんの身体の組織が残っている状態を「稽留流産」(けいりゅうりゅうざん)といい、流産をしたことに気づくことが難しいといわれています。

自覚症状のない稽留流産とは?

稽留流産は、完全流産や不全流産のように、子宮口が開いて赤ちゃんが子宮の外に流れでてしまうわけではありません。そのため、他の流産に見られるような出血や下腹部の痛みといった自覚症状がでないことが特徴です。

自分では気が付きにくく、定期健診のときにはじめてわかった、ということも少なくありません。そのため医師に稽留流産を告げられても、なかなか現実を受け止められない人も多く、「誤診なのでは」と違う病院へ健診を受けに行く人もいます。

稽留流産の確率は健常な20代の女性でも15%、40代の女性なら30%とされており、高い確率で起こりうる珍しくないものなのです。

■稽留流産が起こる原因は?

稽留流産だけに関わらず、妊娠初期に起こる流産の原因の多くは、胎児の染色体に異常が生じたためである、と考えられています。もともと染色体異常を持つ受精卵が着床し、妊娠が成立したあとに細胞分裂の課程で成長が止まってしまい、残念ながら流産となります。

一方ストレスや仕事、生活習慣など、現代特有の環境の変化によって子宮の機能が低下したために、良い胎盤を作ることができず妊娠が継続できなくなって赤ちゃんが死んでしまう、という可能性も指摘されています。また冷えによって血行不良となり、赤ちゃんに必要な栄養素や酸素が十分に届かなくなってしまうことも原因になり得ると考えられています。

■稽留流産の兆候は?

稽留流産には自覚症状がないため、兆候を知ることはできません。そのため、定期健診の診察によって心拍が確認できないときに、はじめて稽留流産だと診断されることになります。

■稽留流産の診断方法とは

稽留流産の診断は、妊婦健診の超音波検査(エコー検査)で確認されることがほとんどです。1度心拍数が確認できてもその後確認できない、といった場合に、稽留流産だと判断されるケースが多くあります。
また、心拍が確認される前に稽留流産が疑われるケースもあります。その場合は、基礎体温などで受精卵が排卵した時期を明らかにし、妊娠週数を明確にします。そのうえで超音波検査を行い、妊娠6~7週になっても胎児が確認できない、胎児は確認できたものの心拍が確認できない、と判断された場合に稽留流産であると診断されます。

稽留流産をする可能性がある時期と起こりやすい時期とは?

稽留流産をする可能性がある時期は、妊娠22週未満の時期です。この時期であれば稽留流産はいつでも起こる可能性があります。 したがって、心拍を確認したあとであっても、稽留流産をする可能性があるといえます。そのなかでも特に稽留流産が起こりやすい時期は、妊娠初期の6~7週にかけてだといわれます。
一般的に、流産の兆候として基礎体温が下がるというものがありますが、稽留流産の場合は当てはまらず、基礎体温が下がらないまま高温期が続くことがあります。

稽留流産をしていてもつわりがある?

自覚症状があり、出血や強い腹痛といった自覚症状がある進行流産の場合は、つわりが無くなることがほとんどです。しかし、稽留流産の場合は、赤ちゃんは子宮のなかにいる状態が続くため、赤ちゃんの心臓が止まっていても、つわりが続くことがあります。
稽留流産が起こった場合、兆候や自覚症状はないといわれていますが、身体に変化が起こった、という体験談が多くあります。多くが茶おりものや腰痛、腹痛といったもので、胚芽が自然に排出される自然流産が進んでいる兆候の場合が多いようです。

ほかには、腹痛や腰痛といった生理痛のような症状が強く起こるケースや、出血、吐き気、冷や汗、貧血の症状などが起こることがあります。

稽留流産が起こったあとの措置について

稽留流産が起こった場合は、自然に胎芽が入った袋が排出される自然流産を待つか、手術により胎芽を排出するか、のどちらかの措置を選択することになります。
一般的には、妊娠の状態に個人差があるため、産婦人科の先生の判断により、経過を見て自然流産を待つか、手術をするかを相談により決定します。
稽留流産は、胎芽や組織を子宮内放置してしまうと大量出血や強い痛みを引き起こす進行流産に移行することがあり、場合によっては母体に危険が生じることもあります。
そのため、稽留流産だと診断されたあとに放置されることはなく、手術が必要な場合は、できるだけ早い処置が求められます。しかし、赤ちゃんが死亡してしまった、というショックから、ママが処置を受けることをなかなか受け入れられない場合、少し時間を置いて気持ちが落ち着いてから手術に入ることもあるようです。

■稽留流産の手術方法と費用は?

稽留流産の手術は不全流産と同じく、子宮に残っている胎児の組織を全てかき出す「子宮内容物除去手術」という方法が用いられます。手術自体は局所麻酔か全身麻酔をして行うため、痛みを伴うものではありません。
手術時間は、通常は大体10分程度で済むといわれています。手術費用は約2万円から10万円で、健康保険が適用されますが、症状によっては金額に差がでることもあります。

■手術後の過ごし方と身体の変化

稽留流産の手術後は、通常は身体が順調に回復し、自力でトイレに行けるようになったら帰宅できます。手術をするときの妊娠週数や、手術をする病院やクリニックによっても異なりますが、日帰りで手術が済むこともあれば、数日間入院をすることもあります。
自宅に帰ってからも、1週間から2週間の間は無理は禁物で、安静が必要です。なかには手術後に出血するケースがありますが、通常は1週間ほどで落ち着きます。ただし、出血量が多い場合や、だらだらと出血が続いている場合は、手術をした病院やクリニックをすぐに受診しましょう。

■稽留流産後の妊活はいつからはじめてよいの?

稽留流産をしたあとの妊活は、身体が完全に回復した後がよいでしょう。最低でも1~2ヶ月ほど待ってから、妊活を再開させるようにしましょう。念のため産婦人科で検診や検査を受けて、子宮が回復したか、月経に異常がないか、といったことがわかってから、妊活を再開することをおすすめします。

赤ちゃんの供養の方法は

■稽留流産の場合供養は必ず行われるのか

稽留流産で生まれてくることができなかった赤ちゃんの供養については、供養を行う人と行わない人にわかれます。稽留流産の場合、胎児の死亡届や火葬許可証などの手続きが不要である妊娠12週以前に起こることが多くあります。
まだ発育していない本当に小さな赤ちゃんを手術により母親の体外に出したとしても、法的には遺体がある状態ではありません。そのため、そのまま供養を行わない、という選択肢を選ぶケースも多くあります。一方、どの時期の流産であっても供養を行うケースもあります。

■供養の方法は

稽留流産の供養は、水子供養を行っている神社かお寺で供養を行います。全ての神社やお寺で水子供養をしているわけではないため、供養の前に神社やお寺に相談をしておくとよいでしょう。

〇神社での供養

水子供養の考え方は仏教の考え方であるため、水子供養自体を行っていない神社は多くあります。供養を受け付けてもらえるか心配な場合は、問合せをしてみましょう。
神社での供養は、仏教の位牌にあたる霊璽(れいじ)を作り祝詞(のりと)をあげ、霊璽を自宅の神棚に祀ります。そのため、そもそも神棚がない家の場合は供養ができないこともありますので、事前に説明を受けるようにしましょう。

〇お寺での供養

水子供養は仏教の考え方であるため、お寺で行うことが一般的です。仏教では亡くなった赤ちゃんを天国に導くのはお地蔵様であると考えているため、水子供養を行うお寺では、お地蔵様が多く建立されています。
供養の方法は、卒塔婆(そとば)をたてる方法や、位牌を作り、自宅で供養をする方法、自分の家のお墓にお地蔵様を祀る方法などがあります。

稽留流産は偶発的におこるもの

稽留流産の場合は自覚症状がないため、妊娠中に流産してしまったことになかなか気づきません。もともと不育症や不妊の治療中であれば、授かった赤ちゃんが急に亡くなってしまうという残念な気持ちは計り知れないことでしょう。
しかし、稽留流産の原因の多くは、胎児の染色体異常であるといわれています。また、流産が起こってしまうリスクは、一定の割合で決まっているものでもあります。
そのため、たとえ流産をしてしまったとしても、ママは自分を責め過ぎない、後悔しすぎないことが大切です。悲しみに暮れることもあるかもしれませんが、その気持ちを引きずりすぎないようにしましょう。
妊娠中で、これから出産を経験する予定のママも不必要に不安にならず、定期的に妊婦健診を受けながら、最終的に元気な赤ちゃんと会えることに希望を持ちましょう。子育てをしている産後の姿を想像しながら、安心感を持ち、出産の準備をすすめましょう。

参考:
・こそだてはっく「医師監修 稽留流産とは? 原因、症状、兆候などまとめ
・ゼクシィBaby「体験談 めまぐるしく変化する状況に、体も心も必死…妊娠から稽留流産までの1カ月
・いわさき石材「稽留流産では、水子供養はどうする?


2016/11/27

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この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部