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鼠径ヘルニアの原因と発症のメカニズム

「ヘルニア」の中でも、子どもに多く発症するのが「鼠径(そけい)ヘルニア」です。ヘルニアとは、ある臓器が本来あるべき位置から脱出した状態のことを指します。今回は、鼠径ヘルニアの原因と発症のメカニズムについて解説します。

鼠径ヘルニアとは

鼠径ヘルニアとは、鼠径部(脚の付け根から恥骨にかけての部分) が皮膚の下へとはみ出る病気です。高齢者の鼠径ヘルニアは加齢による筋膜の緩みが原因で起こることが多く、子どもの場合は腹壁筋膜が先天的に弱いために起こることが多いといわれています。また、腹膜鞘状突起という構造により引き起こされる場合もあります。

鼠径ヘルニアの発症時期

鼠径ヘルニアの発症時期は1歳未満が30~40%を占めます。それ以降は、幼児期や学童期に発見されることがあります。鼠径ヘルニアは男女で症状が異なります。男児は睾丸が陰嚢内に下がり、その際に腹膜が引っ張られることで袋が形成されます。この部分を腹膜鞘状突起といいます。睾丸が陰嚢に到達すると腹膜は元の位置に戻ります。しかし、腹膜が元の位置に戻らず、そこに腸などの臓器が入り込むと鼠径ヘルニアを発症します。女児は、子宮を支える靭帯に沿う形で臓器が脱出します。脱出した組織や臓器を包む袋のことをヘルニア嚢と呼びます。

鼠径ヘルニアの症状

赤ちゃんがお腹に力を入れることで、臓器や組織が脱出します。また、お腹に力を入れていない場合は、膨らみが治まります。ヘルニア嚢の中身(ヘルニア内容)は主に小腸で、女児の場合は卵巣が脱出することもあります。腸の場合は手で押すと音が立つことがあります。

腸管が腹壁の出口で締め付けられると腸が閉塞し、血流が障害されて壊死する場合があります。卵巣が脱出した場合も皮膚の下で捻じれてしまい、血流が障害されて壊死することがあります。腹膜筋膜の穴は自然に塞がることもありますが、腸が腹壁の出口で締め付けられている場合は、緊急手術が必要です。

<まとめ>
鼠径ヘルニアの多くは、1歳未満に発症するといわれています。子どもの鼠径ヘルニアは、睾丸が形成される際に伸びた腹膜が元に戻らないことが原因で起こります。膨らんだ脱腸が腹壁の出口で締め付けられた場合は緊急手術が必要です。腹膜筋膜の穴は自然に閉じることがありますが、自然治癒を期待して放置してはいけません。


2016/11/29

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