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子どもの鼠径ヘルニアの治療法と予後

子どもの鼠径(そけい)ヘルニアは、身体が作られる過程で伸びた腹膜が元の位置に戻らず、そこに内臓が脱出することで起こります。また、腹壁筋膜が生まれつき弱いために穴が空き、内臓が膨らむこともあります。今回は、鼠径ヘルニアの治療法と予後について解説します。

鼠径ヘルニアを治療を開始する時期

子どもの鼠径ヘルニアは自然治癒することがありますが、急激に症状が悪化する場合があるため基本的に手術で治療をした方が良いでしょう。腹膜壁の出口(ヘルニア門)に腸が挟まると、飛び出した組織が壊死する嵌頓(かんとん)という状態に陥ります。この状態を放置すると死亡するケースがあるため、緊急手術が行われます。自然に治癒する傾向が無い場合は、生後4~6カ月以降に手術を予定することが多いようです。

鼠径ヘルニアの治療法

鼠径ヘルニアの手術では、原因となる腹膜の伸びを改善させ、腹圧をかけても内臓が膨らまないように処置します。成人の鼠径ヘルニアの手術では、形状記憶メッシュを用いたクーゲル法という手術が適応されますが、小児の場合は身体が成長途中であるため手術に異物は使用されません。

子どもの鼠径ヘルニアでは、高位結紮法(こういけっさつほう)という手術が適用されます。伸びた腹膜の一部を、溶ける糸で縛ります。袋が大きかったり水が溜まっている場合は袋を摘出します。手術による傷は約10~15ミリメートルほどです。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術

腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は、内視鏡を用いて腹腔内の状況を観察しながら行う手術です。へその中央から3ミリメートルの内視鏡を挿入し、腹膜壁の出口を観察します。そして、2mmメートルの小さな切開部から器具を入れ、内部から腹膜壁の出口を糸で塞ぎます。男児の鼠径ヘルニアの手術では、精管や精巣動静脈を傷つけないよう細心の注意が必要です。内視鏡を使用することで、 精管や精巣動静脈を傷つけるリスクが低くなるといわれています。

<まとめ>
鼠径ヘルニアは自然治癒することがありますが、治癒しない場合は早期の手術が望ましいといわれています。嵌頓を起こしている場合は、緊急手術が必要です。手術の方法には 高位結紮法と腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術があり、後者の方が精管や精巣動静脈を傷つけるリスクが低いといわれています。


2016/11/29

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