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2016/11/29

ダウン症候群の治療を行う上で大切なこと

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ダウン症候群の治療を行う上で大切なこと

ダウン症候群は胎児の染色体異常で起こる先天性障害のため、現在の医療技術では抜本的な治療が出来ません。しかし、子どもが大人になって生活に困らないよう様々なサポートを受けることが出来ます。ここでは、ダウン症候群の治療を行う上で大切なポイントを解説します。

ダウン症候群は抜本的な治療は出来ない

ダウン症候群は人の細胞を作る染色体の中で21番目の染色体が1本多いため、細胞の働きに異常をきたし、心身の発達障害が現れる先天性の病気です。ダウン症候群を抜本的に治療するには約60兆個といわれる体内細胞に存在する21番目の染色体異常の全てを治す必要があり、現在の医療技術では実現出来ていません。従って、ダウン症候群の治療は抜本的な治療ではなく、合併症のリスクを抑えることや生涯を通しての健康管理などが中心となります。

ダウン症候群の治療で欠かせない合併症の早期発見

ダウン症候群は身体を構成するタンパク質の働きに異常が見られるため、全身の様々な器官に合併症が起こるリスクが高くなります。治療では以下のような合併症を早期発見することが重要です。

<ダウン症候群に起こりやすい合併症>
1.白血病
白血病は小児がんの約4割を占め、ダウン症候群の子供に発症リスクが高くなると言われています。白血病の中でもダウン症候群の合併症で多いのは急性骨髄性白血病があります。

2.心臓疾患
ダウン症候群の子どもの約半数が、生まれつき何らかの心臓疾患を抱えているといわれています。心室中隔欠損症や心内膜床欠損症、ファロー四徴症などがあります。

3.消化器系疾患
ダウン症候群の子どもの約20%が何らかの消化器系疾患を生まれつき持っているといわれています。十二指腸閉塞や鎖肛、ヒルシュスプルング病などがあります。

4.呼吸器疾患
ダウン症候群は呼吸器系がもともと弱い特徴があり、風邪を引きやすく気管支炎や肺炎などを引き起こすリスクが高いといわれています。

5.目や耳の病気
ダウン症候群の子どもの多くは難聴で、中耳炎になりやすい特徴があります。また、約60%のダウン症候群患者に目の疾患があるといわれ、斜視や白内障、眼振、近視、遠視などが挙げられます。

ダウン症候群の治療ではダウン症候群そのものを治すのではなく、これらの合併症を早期に発見し治癒することが重要です。

ダウン症候群の治療は子どもの自立を目的とした「療育」が中心

ダウン症候群は抜本的な治療がまだ無いため、身体的・精神的なハンディキャップを持つ子どもが将来自立して社会生活を送れるよう療育する対応が取られています。合併症が無ければ元気に過ごせるケースも多く見られます。そのため、ダウン症候群と向き合いながら自立した生活が送れるよう、以下のような身体的な訓練や教育などが行われます。

<ダウン症候群の療育例>
・身体の機能を伸ばすリハビリ
・定期健診
・栄養相談
・肥満予防
・乳幼児期の集団療育
・育児相談

一言でダウン症候群といっても、障害の種類や程度は千差万別です。ダウン症候群の療育は子ども一人一人に合った訓練や教育、生活指導などが受けられます。

<まとめ>
ダウン症候群は根本的な治療法はまだ見つかっていないものの、合併症の早期発見や治療技術は進歩し、ダウン症候群患者の平均寿命は50歳を超えるようになりました。子どもの自立を目的とした療育では一人一人に合った方法が選択されるため、同じダウン症候群で症状が違うケースでも効果を発揮しています。症状は年数を経て変わる場合があるため、定期的に検査や医療機関などのサポートを活用しましょう。本人が満足出来る生活を送るために、家族や周囲の温かいサポートが欠かせません。


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