網膜芽細胞腫

子どもの悪性腫瘍「網膜芽細胞腫」の治療方法を解説

網膜芽細胞腫は子どもに発症する「眼のがん」といわれています。ここでは、網膜芽細胞腫の基本的な概要と共に、一般的な治療の方法について解説します。

網膜に悪性腫瘍が発生する網膜芽細胞腫

網膜芽細胞腫(もうまくがさいぼうしゅ)とは、眼球の内側を覆う薄い膜である網膜に発生する悪性腫瘍です。外界から入る光は網膜で像(焦点)を結び脳へ伝えるため、網膜で悪性腫瘍が発生すると視力低下が懸念されます。また、網膜の腫瘍に光が反射して瞳が白色に見える白色瞳孔(はくしょくどうこう)や、左右の眼球の向きが揃わない斜視(しゃし)の症状が現れることがあります。

網膜芽細胞腫が疑われる場合、主に以下のような検査が実施されます。

【眼底検査】
点眼薬で瞳孔を開き、眼の奥の眼底に位置する網膜や周辺組織の状態を調べ、腫瘍の有無を確認します。

【画像検査】
・ エコー(超音波)検査:腫瘍のサイズと共に腫瘍の石灰化の有無を確認します。
・ MRI検査:腫瘍が視神経や眼球の外側へ広がっていないか確認します。

眼球温存治療と眼球摘出手術に大別される

網膜芽細胞腫の治療は、一般的に視機能と眼球を残す眼球温存治療と眼球摘出手術に大別されています。腫瘍が眼球内に留まっている場合、できる限り以下のような眼球温存治療を検討するケースが多いです。
・ 抗がん剤治療
・ 放射線治療
・ レーザーによる局所治療(冷凍凝固、温熱療法など)

しかし、視力を保つことが難しい場合や緑内障などの合併症がみられる場合、眼球摘出が検討されることがあります。眼球を摘出した場合は、手術の傷が落ち着いた後に義眼を入れる選択肢があります。
また、眼球の外側に腫瘍の広がりがみられる場合はできる限り腫瘍を摘出し、抗がん剤治療や放射線治療が併用されることがあります。

網膜芽細胞腫の治療方法は、主に以下のような要素を検討し適切な方法が選択されます。
・ 腫瘍の数やサイズ
・ 眼球の外側への浸潤の有無
・ 両眼性、片眼性

網膜芽細胞腫の予後について、10年生存率は90.6%といわれていますが、眼球の外側に腫瘍が広がっている場合の10年生存率は66.0%に低下 するという調査結果が報告されています。

<まとめ>
網膜芽細胞腫は、子どもに発症することがある網膜の悪性腫瘍です。網膜芽細胞腫の治療方針は各種検査結果を踏まえて検討されますが、主に視力や眼球を残す眼球温存治療と眼球摘出手術という2つの方向性に大別されます。


2016/11/29

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