妊娠検査薬の基礎

2016/12/07

【産婦人科医監修】妊娠検査薬について徹底解説。その種類やタイミング、判定の見方や注意点について

この記事の監修/執筆

産婦人科医/女医プラス中村 容子

【産婦人科医監修】妊娠検査薬について徹底解説。その種類やタイミング、判定の見方や注意点について

妊娠しているか否かを簡易的に判断する方法として妊娠検査薬があります。妊娠検査薬は、ドラッグストアなどで誰でも購入することができ、手軽ではありますが、使用方法を誤ると正しく判定できない場合があります。ここでは、妊娠検査薬の使用方法や適切な使用時期などについて詳しく解説をしていきます。

目次

1. 妊娠検査薬とは
2. 妊娠検査薬のメカニズム
3. 妊娠検査薬の使用方法
4. 妊娠検査薬の種類
5. デジタル妊娠検査薬とは
6. 妊娠検査薬を使用する時期
7. 妊娠検査薬を使うタイミング
8. 検査薬で陰性でも妊娠の可能性はある?
9. 検査薬で陽性でも妊娠していない可能性はある?
10. 陽性反応後陰性になることもある?
11. 閉経後は妊娠検査薬で陽性になる?
12. 妊娠検査薬を使用する際の注意点
13. 妊娠検査薬で陽性が出たときの受診について
14. 妊娠検査薬で微妙な判定がでたときの見方
15. 妊娠検査薬の保存方法

1. 妊娠検査薬とは

・妊娠検査薬の役割
妊娠検査薬とは、絨毛より分泌されるヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)というホルモンを尿で検出する検査薬です。検査薬で陽性となっていても、初期流産や子宮以外の場所に妊娠している可能性、ホルモン治療を受けていることで妊娠していない状態でも陽性反応が出ることがあります。そのため、自分で検査して陽性の反応が出たら、産婦人科での診察を受ける必要があります。

・妊娠検査薬はどこで買えるの?
妊娠検査薬の購入には処方箋は必要なく、多くの薬局で入手できます。早期妊娠検査薬という、通常よりも早くから妊娠の有無を判定できる検査薬については、インターネットなどを通じて通販で購入する方が多いようです。海外製のものは日本製よりも安価ですが、安価な早期妊娠検査薬は精度が低い可能性があるため、注意が必要です。

2. 妊娠検査薬のメカニズム

・妊娠とホルモンの変化
卵胞から卵子が排出されることを排卵と言います。排卵後、卵胞は黄色い顆粒状の色素を含む細胞へと変化します。これを黄体化と言い、やがて妊娠を助ける黄体ホルモンを分泌し始めます。黄体ホルモンは、子宮内膜を、受精卵が着床しやすい状態にととのえ、妊娠後は妊娠を継続させる働きをします。受精卵が子宮内膜に着床するために、子宮内膜は1cm程度の厚みが必要だと言われています。黄体ホルモンは、子宮内膜とその周辺の血流を促進させて、子宮内膜に栄養を与えて厚くするよう働きます。また、胎児に栄養を送る胎盤の形成や乳腺の発達にも関わり、妊娠を継続できるよう働きます。 

・妊娠検査薬で妊娠がわかるメカニズム
黄体ホルモンの分泌を継続するためには、hCGが必要です。妊娠すると、絨毛からhCGが分泌されて尿中に排出されます。受精卵が着床すると、少しずつhCGの産生が始まり、そのまま増加し続けて、生理予定日から1週間後には妊娠検査薬で妊娠を判定できるほどの量が尿中に排出されるようになります。

3. 妊娠検査薬の使用方法

・尿をかける
妊娠検査薬は、説明書の指示に従って使用しましょう。病院で使用しているものと市販のものは形状が異なる場合がありますが、どちらも検査薬に尿をかけるだけで判定できます。

・尿をひたす
妊娠検査薬の指定の部位を尿にひたすことで判定できます。この場合は、尿を容器に入れて2~5秒程ひたしましょう。尿量が少なくても多くても正しく判定できないので注意が必要です。尿をかけるよりも、尿をひたす方が簡単に判定出来ると思われます。これは、尿がしっかりと指定の箇所にかからなかったり、判定結果が出る窓にかかったりすることがあるためです。コップに入れた尿にひたすのであれば、落ち着いて検査することができます。コップに尿を入れたら、長時間放置せず速やかに検査しましょう。

・判定の見方
妊娠検査薬の判定窓に線が出たら陽性、出ない場合は陰性であることが多いです。妊娠検査薬によって判定結果の表示が異なるので、説明書を必ず読みましょう。尿にひたす時間や判定が出るまでにかかる時間も異なります。判定結果を待つ時に、妊娠検査薬を水平にする必要がある場合があります。説明書の指示に従いましょう。異物が混じっていたり、酷く濁ったりしている尿では正確に判定できない可能性があるので、使用しないでください。

4. 妊娠検査薬の種類

・一般的な妊娠検査薬
一般的な妊娠検査薬と早期妊娠検査薬があります。一般的な妊娠検査薬は、hCG濃度が50mIU/mL以上で陽性反応が出ます。現在の妊娠検査薬は好感度であるため、生理予定日か約1週間後に判定できます。早ければ、生理予定日付近に検査をしても薄く陽性反応の線が入ることもあります。

・早期妊娠検査薬
早期妊娠検査薬は、hCG濃度が25mIU/mLで陽性反応が出ます。そのため、一般的な妊娠検査薬と比べて早い段階で妊娠を判定できます。しかし、あまりにも早い段階での検査は、妊娠していても陰性判定になる場合があります。確実に妊娠を判定したいのであれば、hCGの濃度が十分に増加している時期に一般的な妊娠検査薬を使用しましょう。

5. デジタル妊娠検査薬とは

・デジタル妊娠検査薬って?
一般的なアナログ式の妊娠検査薬は、判定線が薄く出ることがあるなどの理由により、妊娠の有無をはっきりと確認できない場合があります。デジタル式の妊娠検査薬であれば、液晶のディスプレイに陽性は「+」、陰性は「-」と表示されるので、判定に困ることがありません。

・デジタル妊娠検査薬の使い方
液晶ディスプレイや側面にかからないように尿をかけましょう。難しく感じるのであれば、コップに入れた尿にひたすことをお勧めします。ひたす時間は5秒程度であるため、時間が無い時にも判定できます。

・デジタル妊娠検査薬のメリット
デジタル妊娠検査薬によって機能や表示方法が異なります。判定に必要な量の尿が妊娠検査薬にかかったことを示すマークや検査中、判定結果と細かく表示されるものもあります。また、スティックを取り替えることで、複数回検査できるものもあります。一度、陰性や陽性が出ても、後から状況が変わる場合があるので、心配な方はそのようなデジタル妊娠検査薬を選びましょう。また、陽性の場合に排卵日からわかる妊娠週数が表示されるものもあります。

6. 妊娠検査薬を使用する時期

・一般的な妊娠検査薬の場合
尿中のhCGの濃度は、排卵日から12~16日後ぐらいには50mIU/mLに達するので、生理予定日から1週間後が妊娠検査薬を使用する時期の目安です。排卵日は、生理周期が規則的な場合、生理開始日から予測することができますが、生理周期が不規則な場合や開始日を把握していない場合は、性交渉をした日から3週間後が目安です。

・早期妊娠検査薬の場合
尿中のhCGの濃度は、着床から約3日で25mIU/mLに達します。排卵日から約7~11日後に着床するので、排卵日から約10~14日後に判定が可能になります。しかし、あまりにも早い段階での検査は、陰性反応が必ずしも妊娠の不成立を示すとは限りません。また、目安として性交渉をした日から2週間以降に検査しても良いでしょう。

・時期を間違えるとどうなるの?
妊娠検査薬を使用する時期を間違えた場合は、妊娠していても陰性反応が出ることになります。検査時期を間違えたことに気づいた場合は、正しい時期に再検査しましょう。陰性であるのにも関わらず生理が来ないのは、何か原因がある可能性もあるので、一度産婦人科での診察を受けてください。

7. 妊娠検査薬を使うタイミング

・朝一番の尿がベスト
妊娠検査薬には、1日のうちいつの尿を使っても構いません。 hCGの濃度が、まだ陽性反応が出始める程度の低い時期の場合、水分の過剰摂取などが原因で尿が薄まると、正確な判定ができないことがあります。その場合、薄くなりにくい朝一番の尿で検査をすることがおすすめです。しかし、夜間に水分を過剰摂取した場合は朝一番の尿でも薄くなる場合があります。妊娠検査薬を使用する場合は水分の摂取量に注意しましょう。

8. 検査薬で陰性でも妊娠の可能性はある?

・陰性でも妊娠しているケースとは
妊娠検査薬で一度陰性と判定されても、後日妊娠が発覚した場合は、妊娠検査薬を使用する時期が早すぎたと考えられます。これまでの周期と排卵日がずれていたり、予測した排卵日が間違ったりすることで、早すぎる時期に検査をしてしまうことがあります。絨毛組織が異常に増殖することで、hCGの濃度が極端に上昇して妊娠検査薬が正常に反応しなくなり、妊娠しているのに陰性になる場合もあります。これは、適切な時期よりも遅いタイミングで妊娠検査薬を使用しても起こり得ることです。

・間違いなく陰性かを確認するには
確実に陰性であることを確認するためには、しばらく経過してから再検査する必要があります。これは、排卵の遅れなどによりhCGの濃度が一定に達していない可能性があるためです。再検査をしても陰性で生理が来ない場合は、病院で診察してもらいましょう。

9. 検査薬で陽性でも妊娠していない可能性はある?

・陽性でも妊娠していないケースとは
不妊治療では、hCG製剤を使用する場合があります。hCG製剤の投与から7~10日頃までは尿中のhCGの濃度が高まるため、妊娠検査薬が陽性になる場合があります。また、hCGを産生する胞状奇胎などの腫瘍がある場合もhCGの濃度が上昇します。そのため、陽性でも、正常な妊娠ではないことが発覚した場合には、原因を突き止める必要があります。中絶や流産から日数が経過していない時期に妊娠検査薬を使用しても陽性反応が出ます。これは、妊娠を継続出来なくなった場合、hCGの濃度が少しずつ低下していくためです。

・間違いなく陽性かを確認するには
hCGの濃度の上昇には個人差がありますが、その個人差を考慮して推定排卵日か性交渉をした日から3週間後以降に検査をしましょう。そうすることで、確実に陽性の有無を確認できます。また、陽性反応が出ても正常な妊娠かどうかの判別はできませんので、病院で診察を受けて妊娠の確定診断を受けることが大切です。

10. 陽性反応後陰性になることもある?

・陽性後陰性になるケースとは
陽性反応が出て、数日後に陰性反応へと変化した場合は、化学流産をしたと考えられます。受精した後に、子宮内膜に着床したものの、極めて初期の段階で発育が停止した場合を化学流産と言います。早い時期に妊娠検査薬を使用することで、ごく初期の化学流産を知ってしまいショックを受ける方もいるので、適切な時期に使用することが大切です。また、着床して順調に成長していても、途中で胎児が死亡する場合があります。この場合もhCGが減少するため陽性が、時間の経過とともに陰性となります。

・一度でも陽性が出たら念のため受診を
判定が陽性であれば妊娠している可能性がありますが、正常な妊娠かどうかまで判別できません。早めに産婦人科で診察してもらいましょう。

11. 閉経後は妊娠検査薬で陽性になる?

・閉経とは
閉経とは、卵巣にある卵胞が消失して、生理が来なくなることです。約1年間生理が来ない場合に閉経と判断されます。閉経の時期には個人差がありますが、早くて40歳前半で起こります(それ以前に閉経となる場合を早発閉経と言います)。初期の個人差がありますが、閉経前には、出血量や生理の間隔が変化しながら、少しずつ量が減少していき、生理の間隔が長くなり、最終的に生理が来なくなります。顔の火照り、感情の起伏、疲れやすいなどの症状が現れることがあります。

・閉経後の陽性反応
また、閉経後にはhCGと似た物質が分泌されるため、弱い陽性反応が出ることがあります。20~30代でも早発閉経によるhCGと似た物質の分泌が起こる場合もあるので注意が必要です。

12. 妊娠検査薬を使用する際の注意点

・妊娠検査薬を使用する時期
一般的な妊娠検査薬と早期妊娠検査薬で使用する時期が異なるので、間違えないように選びましょう。また、hCG製剤の投与や閉経など、様々な原因で正確に判定出来なくなるので、それらの要因を排除した上で検査することが大切です。

・妊娠検査薬に使う尿の状態
妊娠検査薬には、1日のうちいつの尿を使っても構いませんが、血液などが含まれたにごりのある尿を用いると正確に判定できない場合があります。

・説明書を必ず読む
妊娠検査薬を間違えた方法で使用すると、正しく判定できません。正しい判定結果を出すために、必ず説明書を読んでから使用しましょう。妊娠検査薬は、商品によって使い方が異なるので、以前に使用したことがある場合も説明書を読むことが大切です。

・妊娠検査薬は確定診断ではない
妊娠検査薬で陽性反応が出ても、正常な妊娠かどうかまで判別できません。早めに産婦人科で診察してもらいましょう。

13. 妊娠検査薬で陽性が出たときの受診について

・いつ受診すればよい?
妊娠検査薬で陽性が出たら、出来るだけ早めに診察してもらいましょう。必ずしも正常な妊娠をしているとは限らず、子宮外妊娠や胞状奇胎などの異常妊娠の可能性もあるからです。妊娠4週辺りでは、超音波検査で変化は確認できませんが、妊娠5週頃では、胎嚢という胎児がいる部屋を確認できるようになります。妊娠6週頃では、胎嚢内の胎児を確認できるようになります。

・妊娠検査薬で陽性でも病院で確認できないことも
妊娠検査薬で陽性判定なのに、妊娠5~6週以降になっても子宮内に胎嚢を確認できないことがあります。この場合は、異所性妊娠(子宮外妊娠)が疑われるため、より精密な検査が必要です。このような状態を放置すると、大量出血を起こして生命に危険が及ぶことがあります。子宮内に胎嚢が確認できれば異所性妊娠の可能性は概ね除外できます。診察のタイミングが早すぎると、胎嚢が確認出来ない場合があり、約1週間後に再診が必要になります。この間に腹痛や出血が起きた場合は、再診日を待たずに病院に連絡しましょう。

14. 妊娠検査薬で微妙な判定がでたときの見方

・ラインが薄い
妊娠検査薬で陽性反応が出ているものの、ラインが薄い場合があります。これは、指定の時期よりも早くに使用した場合に起こることがあります。一般的な妊娠検査薬では50mIU/mL、早期妊娠検査薬では25mIU/mLが陽性反応の基準ですので、hCGが分泌されているものの、これらの濃度を下回っている場合に薄いラインが出る可能性があります。また、水分の過剰摂取などで尿が薄まることでhCGの濃度が低下して、薄いラインが出ることもあります。また、適切な時期よりも遅いタイミングで、hCGの濃度が大きく上昇している時に検査をおこなった場合も、検査薬が反応せずに薄いラインが出ることがあります。

・陽性の例とは違う線が出た
妊娠検査薬の判定にかかる時間は1~10分ですが、それ以上経過してから薄いグレーのラインが浮き出る場合があります。これは、妊娠検査薬に染み込んだ尿が蒸発する時に、濃縮された尿の成分が浮き上がるものです。

・一度線が出たが時間がたったら消えてしまった
薄い線が出ても、判定完了時間までに消えた場合は陰性だと考えられます。これは、尿の水分が妊娠検査薬に染み込む過程で、検査薬が仕込んである判定窓に一時的に薄いラインが浮き出たように見えた可能性があります。また、判定時間内にラインが浮き上がらず、10分以上経過してから少しずつ薄い線が浮き出た場合も陰性です。この場合は、hCGの濃度が基準に達していないだけの可能性があるので、再検査の余地があります。

15. 妊娠検査薬の保存方法

・妊娠検査薬の保管方法
妊娠検査薬は、直射日光を避けて涼しい場所に保管しましょう。気温などの影響を避けるために、外箱に入れた状態で保管することをお勧めします。また、妊娠検査薬で陽性反応が出た場合に、記念として残す方もいるようです。しかし、浮き出たラインは時間の経過と共に薄れていくことがほとんどです。

・妊娠検査薬の使用期限
妊娠検査薬には、使用期限があります。外箱に使用期限が記載されているので確認しておきましょう。

・使用期限が過ぎた妊娠検査薬は使えるの?
使用期限が過ぎた妊娠検査薬を使用して陰性が出た場合は、再検査をすることをお勧めします。逆に陽性が出た場合は、必ずしも再検査の必要はありません。これは、妊娠検査薬がhCGにのみ反応するという性質を持つからです。薬剤の劣化によって妊娠していないのに陽性になるとは考えにくいです。しかし、ラインが薄かったり途切れたりする可能性はあります。


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