臍帯血

臍帯血バンクってなに?公的バンクと民間バンクの違いや国内外の利用状況について先生に聞いてみた

臍帯血(さいたいけつ)については、妊娠経験のあるママなら1度は聞いたり、産婦人科の待合室などでパンフレットを見かけた方もいることでしょう。一般的に重度の血液疾患の治療に使用されていますが、まだまだ認知度も低いのが現状です。そもそもそれがどんなものなのか、どんなことができるのか、今回はそんな臍帯血について東京都立多摩総合医療センター血液内科幸道秀樹先生にお話しをお伺いしました。

そもそも臍帯血とは?

臍帯血とはお母さんと赤ちゃんをつないでいる、へその緒や胎盤の中に含まれている血液の事を指します。臍帯血の中には、血液中の赤血球、白血球、血小板などの血液細胞を産生する造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)が豊富に含まれていて、これは白血病や再生不良性貧血などの血液疾患の移植医療に利用されています。また、骨・神経・筋肉等のもとになる幹細胞や中枢神経・自己免疫・虚血性障害などの修復に役立つ可能性を持つ細胞なども含まれており、再生医療や細胞治療への応用が期待されています。

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臍帯血によってできることとは?

現在、臍帯血は、白血病や悪性リンパ腫などの血液疾患の治療として役立てられています。また近年、自閉症や脳性まひといった脳障害の患者さんに臍帯血を使った臨床試験が海外でも始まってきています。日本では大阪市立大学病院を中心とした研究グループが低酸素性虚血性脳症の臨床試験を行っており、2015年には倉敷中央病院で日本初である新生児仮死の子供に対する脳性まひを防ぐことを目的とした臍帯血移植が行われました。このように臍帯血についての可能性や医学的な関心が高まってきたと言えると思います。

臍帯血はどのようにとるのか?

臍帯血を採取するというと痛みがあるのではないか、赤ちゃんに影響がでないかと不安を感じる方もいると思いますが、実は採取はとても簡単で、赤ちゃんが誕生してへその緒が切り離された後にへその緒の血管から採取するので痛みや危険はありません。

公的バンクと民間バンクのちがいとは?

公的バンク(日本赤十字社血液センターなど)は妊婦さんが無償で臍帯血を提供し、白血病などで苦しんでいる人たちの治療に利用されます。一方、民間バンクは自分の子どももしくは血縁関係者に臍帯血が必要になった時に備えて保管するものです。分かりやすく言うと公的バンクは献血のようなもので、民間バンクは家族が病気になった時のお守りのような役割と説明するとイメージがもちやすいのではないでしょうか。

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民間バンクは保管するにあたって料金が発生します。そのことで思い悩む方もいらっしゃいますが、将来ご自身のお子さんが病気にかかった際、自己臍帯血をとっておくと治療の選択肢を増やす事になる可能性があります。

世界と比べた日本の認知度について

実は日本は海外に比べ、採取率が低いのが現状です。その理由は、臍帯血についての認知不足だと考えます。日本では年間約100万人の出生数に対して、採取数は約6千人。採取率は約0.6%です。公的バンクへ寄付するか、民間バンクにて保管するか、または医療廃棄物として破棄するという選択肢がある一方、米国では産婦人科医が妊婦さんに対して、臍帯血をどのようにするかという選択肢を説明する事を定めている州もあります。

妊婦さんへのメッセージ

現在、臍帯血を活用した再生医療や細胞治療の研究が国内外で進んでいます。今まで有効な治療法がなかった疾患に対しても研究が進められており、そのことは、こうしている現在も闘病中である人たちの望みであり、希望であるといえるでしょう。 しかし、公的バンクは、臍帯血の寄付を受け付けている病院・提携している病院は限られた病院のみであるということ、母体の健康状態など、いくつかの条件が満たしていなければ寄付することができないこと、また民間バンクの場合、凍結保存にはある程度費用がかかるため、保存したいとおもっていても悩む方がいるという点があります。
しかしながら、いま国内でも一部の病気への臨床研究が進み始め、注目が高まっています。
臍帯血は出産の時にしか、採取することができない血液ですので、病気で苦しんでいる方のため、または我が子の病気に備えて、医療資源としての貴重な臍帯血が有効利用されることを願っています。


2016/12/16

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この記事の監修/執筆

イクシル編集部