息抜き・小ネタ

よく聞く「ヘルニア」とはどういう病気?

腰痛を代表する病気として知られる「ヘルニア」。
名前はよく聞く、という方は多いかもしれません。
今回は、ヘルニアとはどんな病気について、その原因やメカニズム、さらに対策・予防法などについてご紹介しようと思います。

ヘルニアは腰だけではない!?

ヘルニアと聞くと腰の病気がイメージされますが、腰以外にもいろいろな場所でおこります。
ヘルニアというのはラテン語で、“臓器の一部が飛び出した状態”をあらわす言葉です。
腰以外にも首のヘルニア、内臓のヘルニアなどがあります。
一般にヘルニアと聞いて連想されるのは背骨にヘルニアがおこるもので、
「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」といわれるものです。

今回はこの腰のヘルニアである椎間板ヘルニアにフォーカスしたいと思います。
まずはこの椎間板ヘルニアという病気のメカニズムからみてみましょう。

椎間板ヘルニアのメカニズム

私たちの背骨は、小さな骨が積み木のように重なって一本の背骨をつくります。
背骨をつくる小さな骨の間には椎間板というクッションの役割をもった弾力性のある組織がサンドイッチされています。

この椎間板はちょうどバームクーヘンのようなつくりをしています。
真ん中は「髄核(ずいかく)」といわれ水分の多い柔らかい組織です。
そのまわりを「線維輪(せんいりん)」という少し硬い組織が取り囲んでいます。
この椎間板があることで、うごいたときの衝撃が吸収され、スムーズに運動することができるのです。

ただ何かのきっかけで椎間板が破れ、なかの髄核が飛び出してしまうことがあります。
背骨の後ろには「脊髄(せきずい)」という大きな神経の束があります。
そして背骨のまわりにもたくさんの神経があります。
髄核がとびだしてしまうと、まわりの神経を圧迫したり、傷つけたりするために、
痛み、しびれ、からだのマヒなどがおこってしまうのです。

ヘルニアの原因について

ヘルニアは比較的よく知られた病気ですが、じつはその原因については謎が多く、
詳しいことはわかっていません。
重い荷物をもつ仕事や作業、スポーツなどが原因になるともいわれますが、
最近の研究によって科学的な根拠が乏しいといわれるようになりました。

一方で、現在注目されている原因として喫煙と遺伝があります。
喫煙する人は、椎間板ヘルニアをおこす確率が、しない人の10倍高くなると報告されています。
1日あたり10本タバコを吸うことで、ヘルニアになるリスクが20%上がるともいわれています。
また最近ヘルニアは遺伝と関係しているという研究報告もあります。
日本の理化学研究所が、ヘルニアの原因には遺伝子との関係があることを発表し、
医学的も大きな注目を集めているのです。

このように、ヘルニアはその原因がまだはっきりとしないところが多いです。
そして“スポーツや重労働もヘルニアの原因ではない”と否定されているわけではありません。
現時点では、作業やスポーツ、喫煙、遺伝、加齢といったいろいろなものが重なっておこるのではないかと考えられています。

対策や予防するためのポイント

腰のヘルニアの対策についてみていきます。
予防法としても、また再発の防止のためにもおさえておきたいことです。
普段の生活のなかでも気をつけておきたいポイントは以下の3つです。

・姿勢を良くする
・重たい物をもつときの姿勢に注意する
・適度な運動を心がけて筋力をつける

姿勢が悪いと腰にかかる負担が大きくなります。
人間の体重の約60%は上半身が占めます。
このうち、さらに30%が椎間板にかかります。体重60kgの人であれば、
約11kgの重さが椎間板にかかることになるのです。

運動すればさらに大きな負荷がかかることになります。
真っ直ぐに立った姿勢のとき、背中を曲げると腰にかかる負担は1.5倍大きくなり、
座ると約1.8倍大きくなります。

姿勢が悪いと腰にかかる負担は当然大きくなってしまいます。
猫背のような姿勢不良は、腰にとっても負担の重い状態です。
普段から正しい姿勢を心がけることが大切です。
理想的な姿勢をみるときのポイントは、からだを横からみたとき、
以下の部位が一直線のライン状に並ぶことです。

・耳
・肩(肩峰:けんぽう)
  肩を触りながら腕を真横にあげたときに凹みを感じるところ。
・骨盤(大転子:だいてんし)
  骨盤と太もももつなぎ目の部分で、横から触ると出っ張りを感じるところ。
・膝(膝のお皿の後ろ)
・外くるぶし

重たいものを持ち上げるとき、運ぶときにも注意をしましょう。
重すぎるものを無理に持たないようにすることも大切なのですが、
持ち上げるときの姿勢にも注意が必要です。

中腰の姿勢で無理に持ち上げようとすると腰に大きな負担がかかります。
中腰の姿勢で荷物を持つと、腰にかかる負荷は立っているときの2倍以上になります。
そして荷物の重さによってはさらに大きくなります。
一度しゃがんだ状態から持ち上げるようにすると、腰にかかる負担を軽くすることができます。

適度な運動やストレッチは腰のまわりの筋肉の血流をよくする、腰の骨を支える筋力をアップさせることができ、ヘルニアの予防や再発防止の対策としても有効です。
ウォーキング、ジョギング、水泳などの有酸素運動を無理のない範囲で取り組むようにします。
時間がなければ、通勤中はできるだけ階段を登る、
最寄りの駅まではできるだけ歩くようにするだけでも運動を習慣にすることができます。

またストレッチも筋肉の血流を改善する効果があります。
ヘルニアを患っている人は、腰を曲げたときに痛みが出ることが多いので、
体の向きを反対に反らせるようにストレッチします。

仕事でデスクワークを行う人も要注意。
長時間のデスクワークは腰にかかる負担が大きいだけでなく、
ずっと同じ姿勢をとることで、筋肉の血流が悪くなる傾向があります。
休憩時間やちょっとしたスキマ時間を活用して、ストレッチを取り入れてみましょう。

そして喫煙もひとつの原因とされていることを考えると、
禁煙はヘルニアの対策になるとい言えます。
愛煙家の方は「これを機に禁煙する」というのも予防策になるといえます。

いかがでしたでしょうか。
ヘルニアという病気の中でも、今回は「腰」にフォーカスしてご紹介してきました。
ヘルニアの予防策としてのセルフケアのポイントは「腰に無理な負担をかけないこと」です。
日頃の姿勢に気をつけて、適度な運動やストレッチを上手に取り入れていきましょう。

【参考文献】

*伊藤 俊一、鶴見 隆正編:腰痛の理学療法 (理学療法MOOK 14) 三輪書店, 2008
*淺井 仁、奈良 勲編:姿勢制御と理学療法の実際 文光堂, 2016
*日本整形外科学会診療ガイドライン委員会・腰椎椎間板ヘルニアガイドライン策定委員会 編さん:患者さんのための腰椎椎間板ヘルニアガイドブック―診療ガイドラインに基づいて,南江堂 2008
*Hohlfeld BI, Merritt JL, Onofrio BM, et al.: Incidence of lumbar disc surgery: a population-based study in Olmsted County, Minnesota, 1950-1979. Spine 15: 31-35,1990
*Hoffman RM, Wheeler KJ, Deyo RA:Surgery for herniated lumbar discs: A literature synthesis. J Gen Intern Med 1993; 8 : 487―496.
*厚生労働省・腰痛対策(http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d.pdf 2016/11/16閲覧)
*公益社団法人日本理学療法士協会・腰椎椎間板ヘルニア理学療法診療ガイドライン(http://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/guideline/08_hernia.pdf 2016/11/16閲覧)

<執筆者プロフィール>
森 ジュンヤ(もり・じゅんや)
理学療法士国家資格取得
急性期総合病院、回復期リハビリ専門病院、訪問看護ステーションにて臨床経験を経る(現在10年目)
専門分野は保健衛生分野
現在は医療関連記事、動物臨床医学、保健衛生学についての執筆を行う

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この記事の監修/執筆

Mocosuku編集部